第1章-4 ギルド出る
短いけどキリがいいので区切りました。
読んでくれてありがとうございます!
俺と沙耶はギルド1階でサイラスを待っていた。
「まずいな…」
「だよね。やっぱりそう思うよね」
金貨が5枚入っていた。沙耶の魔法袋にも同じ枚数入っていた。
何日か生きていけるだけの金額が入っていた。という事は誰かが意図的にこの世界に飛ばしたという事なのだ。
そして魔法。神聖属性は人族全員が使えるらしい。幸いな事に雷耐性も全員についているので戦闘でも使う事はないらしい。
だが意図せぬときにそれがバレてしまうとどうなるか…少数派は弾圧されるのが常だ。最悪殺されるだろう。
まずい…知らない事が多すぎる。相手がサイラスで良かった。
この世界の理を学ぶべきだ。
金貨を一枚魔法袋から取り出す。キューズ・アリナール・モンテカルロ・ランセント……王様か…実感が湧かない俺はポツリと名前を呟く。
「おう。待たせたな。これがお前さん達のギルドカードだ。これに魔力を少し流してくれれば登録完了だ。」
「あぁそうだった。えっとな…人差し指を立ててみろ。」
言われた通りに立ててみる。
「指のすぐ先にボールがあると思え。それを少しずつ回転させてみろ。その次はそれを上に持ち上げる。想像出来るようになったら本当にやってやるって気持ちで力を入れてみろ。手にじゃないぞ。イメージしてる場所に向かってだ。」
キュルッ!という音とともに指の上に水球が現れる。
沙耶の方では炎の玉が指の上に浮いていた。
「なかなかいい出来じゃないか。」
そう言ってギルドカードを2人の目の前に置く。
「これを握って少し力を注いでみてくれ。」
力を注いでみるとギルドカードに名前が現れた。
そして下にパーティ一覧、依頼一覧、特記事項という文字が現れた。
「依頼は入り口近くに貼ってある。今FランクだからFランクかEランクのを持ってこい。俺はFランクのをこなして行くのを進めてる。出来ればFランクのから始めてくれ。」
「分かったそうする。他に気をつけた方がいい事あるか?」
「そうだな。宿はここを出たら直ぐに取りに行った方がいいぞ。もうすぐ夜が来る。いい宿は早くなくなる。少し高くても鍵がかかる安全そうなところを探せ。お前さん達は金を持ってる。自衛も出来ないうちは気をつけた方がいい。嬢ちゃんは見た目いいからなお前さんはそれも気をつけておいてやれ。」
「分かった気をつける。貸し出してる武器とかはあったりするのか?」
「無くしたら罰金だがあるぞ?」
「剣とナイフを一本ずつ頼む。あと両替頼めるか?」
金貨を一枚渡す。
「依頼でも見とけ基礎魔法教本も数冊選んできてやる」
そう言ってサイラスは事務所の奥の方に入っていった。
俺たちは席を立ち依頼を見に行く。日はだいぶ落ちてきていてギルドの中はだいぶ混み始めた。
入ってきた時には気がつかなかったが入り口の近くに酒場のような一角があり丸テーブルがいくつか置いてある。今はその周りにジョッキを片手に大笑いしている男や他の冒険者の女性にちょっかいかけている男性など色んな人がいた。
依頼は沢山あった。捜索依頼。収集依頼。討伐依頼。
収集依頼の中には定期収集というのもあった。
ざっと見てみるがDランク以上は2枚しか無かった。
その他は大半がEランクで残りがFランクだった。
「これ良さそうじゃない?」
沙耶が指差しているのは収集依頼だった。三葉草という草らしい。それを10本で銅貨2枚。ちょっと少ない気もするがこういうのから始めてもいいだろう。
沙耶はどこからかメモを取り出して書き出し始めた。
綺麗な文字で特徴を書いていき、ささっと絵を描く。
それを2.3回繰り返す。
「お?渦巻き傘草を取りにいくのか?俺収集のプロなんだ。良ければ案内してやるぜ」
と血色の悪く、だが人の良さそうな顔をした男が突然話しかけてきた。
「すみません。大丈夫なんで」と、沙耶が丁重に断ると
「何警戒してんだ。見たところ新人さんだろ。先輩は教えるのも役目なんだよ。みんな通る道だから大丈夫だよ。信用しなよ。」
「は、はぁ。」
(あーやばい。付いてくるやつだ。)なんて思っていると
「おい!リュウ!依頼は見つかったか?なら早くこっちに来い!」
と大声で呼ばれる。
好機!とばかりに沙耶の手を引っ張り俺たちは男から逃げ出した。
「すまない。」
「いいって事よ。新人の多いところはああいうのが多い。間違ってもパーティに入れちゃいかんぞ。ろくな事ねぇ。収集依頼は収集してからでもいいからな。依頼がなくなってたら知らんが」
そういうと武器を手渡してくる。
「貸し出しは2本だな。ギルドカードに記載はしておいた。無くさないように。あとこれが本だ。3冊。無くさないように。貸し出しは一応1週間だ。延長する時は言ってくれ。返さなかったら依頼の報酬から天引きする。それとこれが金貨一枚分だ。」
そう言っておそらく銀貨99枚に銅貨100枚を渡される。
数えろと言われて2人で数えていく。ぴったりあっていた。
それを魔法袋にさっとしまう。
「よしこんな感じだな」
そう言いながらサイラスは ふぅっとため息をつく。
最初の職員じゃなくてよかったと心から思う。
「ようこそカリヤの街へ」
そう言ってサイラスは俺と沙耶を送り出してくれた
会話はかけても描写が難しい…
どうしても単調になる…
多分もうちょっとの辛抱。世界観さえ描き終えたら冒険の始まりなのだから!