第1章-3 ギルド
ちょっと遅くなってしまいました。申し訳ない。
50ビュー突破できて嬉しいです。次は100ビュー目指して!
題名が間違っていたので訂正しました。
衛兵はゆっくりと歩いていく。俺たちを見張っているというのもあるのだろうが街の露店などに目を輝かせている俺たちを気遣ってくれているのだろう。こういうのも役目なのかも知れない。
この街はかなり賑わっている。旅行で行った雷門のあたりに良く似ている。見たことのない食べ物や色んな色の瓶、牙や骨を削ったアクセサリーなど様々な物が並んでいる。
「タッちゃん!あれ見て!」
目を向けるとそこでは大道芸人らしき人がいた。
右手からはボッと炎の玉を出し左手からは棒状の炎を出した。それをヒュッとくっつけるとヨーヨーのようにクルクルと身体の周りを回転させていく。歓声が沸くたびに度に人の輪が厚くなっていく。
「見えなくなっちゃったね…」
ちょっと沙耶は寂しそうだった。
「後で時間が出来たら見に来ようか」
「ダメだよ。いっぱいすることあるんだから!先にやる事やっちゃう!」
確かにそうなのだが釈然としなかった。
周辺の建物より一回りくらい大きな建物が見えてきた。おそらくここがギルドというところなのだろう。
レンガのようなもので綺麗に作られている。
「ギルドはここだ。入ってくれ。」
そう言って衛兵さんは俺たちとギルドに入って行きギルドのカウンターへと向かう。
「おやおや今日はどういった御依頼ですかな?」
性格の悪そうな話し方をする職員らしき人物がニヤニヤ笑いながら衛兵に話しかけた。
「サイラスを呼べ。」
それだけ言って黙った。
職員はムッとした顔をしたがもう一度話しかけてきた。
「登録で…」
「サイラスを呼べと言った!お前は他の冒険者の相手をしてろ!」
ぶちキレていた。
「おいおい。またかよ…」
事務所の奥の扉から強面のボディビルダーのような職員が出てくる。
「…お前は向こうの冒険者にこの書類を渡してくれ。あとあの冒険者の依頼の交渉を頼む。」
性格の悪そうな職員は舌打ちをして去って行った。
「なぁ…あいつが嫌いなのは分かるが、頼むから穏便にしてくれよ…んで今回はなんだ?貴族様か?それとも訳ありか?」
「分からないから連れてきた。判断は任せる。」
それだけ言うと衛兵は去っていった。
「あ、ありがとうございました!」と沙耶はその背中に声をかけた。
すると衛兵さんはこっちを振り向かずに手をヒラヒラ振ってギルドから出て行った。
「ええっと…とりあえず、はじめましてだな。俺はサイラスだ。よろしくな。ちなみに貴族じゃないよな?」
違うぞと否定する
「まぁ訳ありだろうな。深くは聞かないから安心しろ。今から身分証を発行するんだが年齢と名前を教えてくれるか?」
「2人とも17才だ。作ってくれるのはありがたいんだが簡単に身分証も作っていいのか?」
「後ろ見てみろ。やばそうなのいっぱいいるだろ?身分証なんかあって無いようなもんだ。ギルドの身分証…ギルドカードにはランクがあるんだ。ランクが上がれば上がるほど身分は確定されて待遇もよくなると考えればいい。分ったなら名前も教えろ。説明で分かると思うがランクが基準だ。名前は偽名でいいぞ。」
なるほどねと納得する。とりあえず偽名を考える事にした。
「偽名ね…タッちゃんはリュウだね!」
「リュウか…いいなそれ!サヤはどうする?」
「うーん。サヤカとか?でもなんだかなー」
「サヤエンドウ」
「嫌。」
「サーシャとかは?サーニャとか…」
「あ!サーニャがいい!可愛い!」
リュウとサーニャで登録する事になった。
「……分かった。リュウとサーニャだな。田舎の出なのか?」
「まぁそんなところだな」
「ふむ。"ステータス"は知ってるか?」
「ん?」
「やっぱり知らんようだな。俺に仕事を回した理由が分かったよ…以前さっきの職員が同じように案内した事があってな。情報が漏れて街の裏道で死体で出てきた事があるんだ。衛兵連中にあったら礼でもしとけ」
(情報は命って事か…)
沙耶だけはなんとか守りたい。そう思ってチラッと横を見ると沙耶は少し青ざめていた。
「あんたは信用してもいいって事なんだな?」
「あぁ。冒険者出だからな。手が足りない時は俺も出てる。それで"ステータス"の事なんだが…ちょっとついてこい。」
そう言うとサイラスはカウンターから出てきて俺たちを連れてギルドの2階まで上がる。そして誰もいない部屋に連れていく。
「胸のあたりで"ステータスオープン"と唱えてみろ。ある程度確認出来たら呼んでくれ。閉じる時は"ステータスクローズ"だ。俺は外で待ってる。」
そう言うとサイラスは外へ出ていった。
「サヤ?大丈夫か?」
「う、うん。」
「俺が絶対元の世界に連れて帰るから。今はやれる事をやっていこう」
そっと沙耶をそっと抱きしめる。
「え、えっと!ステータスだっけ!やってみよっか!」
「そうだったな。」
沙耶と離れて"ステータス"と唱える。
目の前に薄いガラスのような光の板が現れる。
<本多 龍也>
性別 : 男 年齢 :17 血液型 : AB型 種族 : 人族
レベル 3 職業:無職
HP : 53
MP : 31
STR:7 VIT:9 DEX:5
AGI:6 INT:2 LUK:15
テイムモンスター:クイーンスライム 状態:好き
スキル : 自動言語翻訳
どうやらライムはテイムしていたようだ。本当に女の子だったんだなと驚く。
「サヤってどんな感じなんだ?」
後ろから覗き込む
<遠藤 沙耶>
性別 : 女 年齢 :17 血液型 : B型 種族 : 人族
レベル 9 職業:無職
HP :54
MP :60
STR:16 VIT:15 DEX:25
AGI:14 INT:30 LUK:20
テイムモンスター:クイーンスライム 状態:仲良し
スキル:自動言語翻訳、危機感知
「……」
「ん?タッちゃんのも見せて!…ライムは2人でテイムしたみたいだね。うん」
ステータスに触れられなかった。余計悲しい。
沙耶が強いのか俺が弱いのかどっちだ!?
(ん?)
ふとHPバーとMPバーの色が龍也と沙耶で違うのに気付く。
「HPバーは2人とも緑色だな」
「ちょっと私の方が濃いみたいだね」
「MPバーが俺が濃い青でサヤが薄い赤か…性別で違うのかな?」
「さぁ。でもこの色綺麗で好き」
一通り見たところでサイラスを呼ぶ。
「すまん。待たせたな。」
「最初はそんなもんだ。ステータスは人前では使うなよ。情報売られるだけで済めばいいが下手すりゃ殺されるからな。気をつけろよ」
サイラスは見た目や話し方と違ってかなり優しい。見ず知らずの相手に優しくする義理もないだろう。
そう思って聞いてみると、どうやら冒険者時代の時に丁寧に教えて貰ったからという事らしい。
ふとステータスで気になった事を聞いてみる。
「MP ってマジックポイントって事だよな?魔法ってあるのか?」
「本当に何も知らないんだな…人間はみんな神聖属性だけは絶対に使える。強弱はあるが…まぁあまり使ってるのは見た事がない。」
どういう事なのか分からないでいると
「ステータスのスキルに雷耐性ってあっただろ?人族から魔物まで全ての生き物についてるんだ。だから神聖魔法は他の魔法と違って応用魔法すらないんだ」
(なんで神聖魔法に雷耐性が関係あるんだ?というか雷耐性なんてスキルに無かったような気がする)
それを聞こうと口を開こうとすると沙耶に手を掴まれて止められる。
そして代わりに沙耶が口を開いた。
「何か魔法について書いてある本とかありますか?基礎的なものでよいので見せて貰えるとありがたいのですが…」
「一応貸し出しはしてるぞ。ただ基礎の基礎しかここにはない。応用が必要になったら大きな街の図書館へ行ってくれ。」
それと。と繋げて聞いてきた。
「あんまり荷物持ってなさそうだが、そのバッグは魔法袋か?そのお揃いのバッグの事だ。」
「魔法袋?」
「バッグの中を拡張する魔法が施されてるバッグの事だ」
「あぁじゃあそれだ。」
「まじかよ。親にでも貰ったのか?そのサイズだと金貨10枚はするぞ」
「…それはどれくらいなんだ」
「この街での一泊が銀貨3〜5枚ぐらいで金貨1枚が銀貨100枚だと考えてくれるといい。」
200日くらい泊まれる金額って事かそれは凄い。
「それでお前さんたちはどれくらい金持ってるんだ?」
「全くない?」
「魔法袋持ってるのにか?親から貰ったなら入れてくれてるかも知らんぞ。」
って言われても中を見ても入ってなかったし親から貰ったもんでもない。ショッピングモールで買ったのだから。
「魔法袋に"ステータスオープン"って唱えてみろ。」
なるほど。唱えてみると光の板が現れた。
<マジックボックス>
持ち主:本多龍也 所持金額 0A 5G 0S 0C
茶、クイーンスライム
「ほら5Gも入ってるじゃ……なんでスライムがいるんだ?」
「テイムしてたみたいなんだ。懐いてたからここに放り込んでおいたんだが」
「テイムか。神聖属性にそんな魔法があったような気がするな。…次魔物をテイムした時は報告してくれ。テイム用の首輪か足輪をつけてもらう。」
「今回はいいのか?」
「スライムにつけられない。というか食べちまうんだあいつら。まぁ弱いから人間に特に害はないって事でスライムには措置はとっていない。」
なるほど。ってことは外に出して歩いててもいいって事なのか。
「そろそろ依頼の話に移ろうと思うんだがギルドカードってのを渡さなきゃならないんだ。すまんが一階のカウンターに戻っておいてくれるか?俺はカードの用意をしてくる。」
分かったと頷き2人は部屋を出て1階に降りる事にした。
設定を書き溜めていた書類がシュレッダーにかけられてしまいました。とても悲しいです。でも頑張ります。