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一旦削除します  作者: ペーパー投稿者
第1章
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第1章-1 新しい世界

機械音痴過ぎて辛い。重複してる可能性が…

はるか昔とある猿の目の前に稲妻が落ちた。稲妻は木に当たり、木は燃え始めた。それを見た猿は怖さを押し殺し好奇心からその木に近づいてゆく。


そして木に向かい稲妻を落とそうとした。落ちるイメージを持ち好奇心に後押しされた猿の手から電気が流れた。その瞬間猿の体に異変が起こる。何かに体を作り変えられるかのような感覚。


魔力。この世に魔力が生み出された瞬間である。


その猿は沢山の子孫を残した。


魔族、獣族、魚人族、人族…様々な種族の元となった。


そしてそれらは互いにテリトリーを持つようになった。



その星の名前は<オデッセイ>


地球と似た、はるか遠くにある星である。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



人生で初めてキスをした!


当たり前だが母親は除くぞ、ばぁちゃんもな!


キスだ!キス!俺が!それも沙耶と!


もう無理なんじゃないかと諦めてたのに!


ふふふ…はははは!今ならなんでも出来そうだ!


葉っぱの擦れる音とともに風が吹いてくる。


予想していたよりも唇って硬いんだって思ったけどそれでもなんだか嬉しい。


冬なのに身体が暖かい。暖かい。…暑いぞ?


口を沙耶の口から離し目をそっと開ける。


沙耶がいた。沙耶も目を開け始める。頬が少し赤い。可愛いなって思う。


目が合う。睨まれる。


(あれ?…調子に乗りすぎた?)


冷や汗が流れる。目を見ていられなくなり目をそらす。


そこで我に帰る。俺は今草原…いや丘の上に立っている。神社ではない。朝も登って朝になっている。いや朝だったというべきか。


「へ?」

「……」

「ここどこ?」

「……」


沙耶も龍也の様子の変化に気づいたのか睨んでいた目であたりを見渡した。


「え?」


知らず知らずのうちに龍也の手を強く握っていた。


「サ、サヤ〜…サヤさーん!手!手折れちゃう!」

「…」


(この馬鹿力め!)


沙耶にキッと睨まれる。


(あ、あれ?沙耶は笑顔のイメージなんだけど…あれ?嫌われた?でもその顔も可愛い!)


少し後ずさりすると背中に硬い感触がある。


振り向くとそこには木があった。幹の途中から二つの幹に分かれている。そして木の横には木の立て札があった。


「なんて読むんだ?…知らない文字だな…」


じぃっと見つめる。すると意味が明確になってきた。


「ん?分かるぞ…き…ゅ…り…お…す?キュリオス?

好奇心って事か?」


何故読めるのか分からない。でもなんだか読めた事に少し嬉しさを感じた。


「キュリオス…お前キュリオスって言うのか」


そう言って幹を少し撫でる。優しい感じがした。


「ね…ねぇ。どこなの…ここ…なんなの…?」


そして初めて気付く。沙耶の手が少し震えていた事に。でも力強い。痛い。


「夢…じゃないよね?」

「あぁ夢じゃなさそうだ。夢なら楽しめるんだがな」


そういって手を軽くキュッキュッっと握る。

沙耶もキュッキュッっと返してくる。

手の骨がゴリッって鳴った。

そこで流石に気づいたのか沙耶が手を離す。


「ご、ごめん!」

「いや、いいんだ」


笑顔を沙耶に向ける。沙耶はそっと顔を逸らした。

なんか可愛い。心無しか頬が赤い気がする。


(ハハーン。照れてんのかこいつ。)気付かない振りをして、沙耶の顔を覗きこむ。


「どうしたの?大丈夫?顔赤いよ?」


そう言いながらさり気なく沙耶の右手を両手で包み込む。


「…っ⁉︎」


沙耶は顔がさらに赤くなったかと思うと左手で顔を隠して顔を逸らした。


(可愛い!なんて可愛いんだこの生き物は!)


そう思ったのもつかの間。左手を握り潰されてそうになって意識を戻す。


「ご、ごめん。わ、悪かった。許して…いだい!」


そしてその場にしゃがみ込んだ。もう沙耶に悪戯するのやめよう。そう心に誓った。



「どこなのかな…ここ」

「さ、さぁ…」

「ねぇ、あれ見て!」


沙耶が指差す方に目を向ける。


草むらの中に何かがいるようで草が不自然に揺れている。そしてチラチラと透明で青い物体が見え隠れする。


「え…スライム?」

「…何それ?」

「ゲームによく出てくるモンスターだよ…まぁ見間違えだと思うけど…」

「モンスター?嘘でしょ?」

「見てこないと分からないな…じゃあ俺がみてく…」

「私が見てくるからタッちゃんはそこにいて!」

「いやオ…」

「分かった?」


どうしてこうなった…カケラも信用されてない。

でもなんでこんなに意地を張るのかは長年一緒にいるから分かる。


俺が行くと戦い始めると思っているのだ。

おそらく沙耶はあれが何なのか見るだけみてモンスターなら逃げるつもりだろう。


とりあえず良さげな木の枝を拾っておこうとこっそり手を伸ばす…と、沙耶の顔がグルリと回ってこっちを見た。真顔だ。


(怖えぇ…)


シュッと手を引っ込めると笑顔になった。


そしてモンスターの方にそっと歩き出した。


経験というのは面白い。これから何が起こるのかなんとなくわかる。問題はスライムだ。あれは間違いなくスライムだと断定できる。戦闘能力がどれくらいあるかだ。弱ければ倒せるが強いと2人とも死ぬだろう。

やっと付き合えたのにそれはない。


とりあえず武装しておこうと木の棒だけ拾っておく。


そろそろかなと思う。言いつけは守らず後ろをつけていく。沙耶はスライムに集中していて気付かない。


「キャァぶっ……」


予想通りの展開だった。


スライムは沙耶が逃げる隙も与えず飛びついたようだ。

顔に張り付いて窒息死させる気なのだろう。


言わんこっちゃないと沙耶に近づき木の棒でなんとか剥がす。


スライムに粘り気があって良かった。サラッとしていたら木の棒で取れなかっただろう。


沙耶は気絶していた。窒息からではなく恐怖からだろう。予想済みなので驚きはしなかった。


とりあえずそこにそっと寝かせておく。


「さぁスライム君。俺が相手だ。」



30分くらい経つだろうか。勝てない。

というのも攻撃が通っていないのだ。そこで拾っただけの木の棒では限界があった。

ならば負けるかというとそうでもない。所詮相手はスライム。飛び掛かってくるだけなので全て弾く。その内スライムは何もしてこなくなった。俺もどうせ倒せないんだろと座ってスライムを突いていた。


沙耶は相当疲れていたみたいで起きない。


俺もなんだか体がダルい。


スライムは何もする事なく近くにいた。


暑いのでとりあえずコートを脱ぎ地面に敷いてその上に沙耶を寝かせた。沙耶も暑そうだったのでコートを脱がせようとする。


ボタンに手を伸ばす。一つ一つ外して行きファスナーを下げる。内側にこもっていた空気が漏れ出す。


(いい匂いだな……早く終わらせよう。理性があるうちに…)


コートを脱がせるだけで四苦八苦した龍也だったが顔はニヤけていた。すけべ親父のそれだった。


(はぁ…本当に可愛いよな…幼馴染じゃなきゃ話せても無かったよな…)


なんて寝ている沙耶を見て思う。俺の前ではどんな時でもいつも笑おうとしていた。笑顔の見分けがつき始めてから寂しい思いをした。だから素の顔が見れて少し嬉しかった。とても綺麗な顔だ。まるでお人形さんのように整っている。


龍也が沙耶を舐め回すように見ている頃、スライムは龍也の木の棒で遊んでいた。つついて転がしつついて転がし…


そんなスライムに龍也はそっと手を伸ばす。


スライムは気づくと後退りした。


俺はなんにもしないよと手をヒラヒラ振ってからてをもう一度だす。


するとスライムはおずおずと手の上によじ登ってきた。


人懐っこい奴だな。案外寂しがり屋なのかもしれない。なんて思い近くの草の葉っぱを取る。


そしてスライムに葉っぱを千切って近づけると近寄ってニュッと吸収した。吸収した草はスライムの中でじわっと溶けてゆく。


しばらく餌をやっていると沙耶の方へと動き出した。


何するのか分からないけど危なかったら止めようと思ってみていると沙耶の肘あたりにペタッとくっついた。よく見ると擦りむけている。

あとで絆創膏ぐらい貼ってやるかとか思っているとスライムはムニュムニュと動き出す。すると傷口がどんどん閉じていき、何も無かったかのように綺麗な肌となる。


(んんんん⁉︎)


傷ってそんなに簡単に消えるのか⁉︎絆創膏いらないじゃん。たまたま財布に入ってたから沙耶にアピールしたかったのに…。


「お前いい奴だな。友達になるか?」

「!」


スライムは少し嬉しそうだ。言葉が通じてるのか少し謎だが…


「スライムだと呼びにくいから今日から君はライムと呼ぶぞ!よろしくなライム君!」

「!」


ちょっと偉そうに名付けをしてみた。なにごと楽しまなきゃな。



「う…うーん…」


と、か弱い声が聞こえた。

沙耶は少しうなされている…悪い夢でも見ているのだろうか…


「タッちゃん…」


待てぇ!悪夢に俺出てるやん!


(あれ?もしかして本当は嫌われてるのか?告白タイムはドッキリだったのか⁉︎)


(告白したのは俺だもんな…10年も友達だったもんな…関係壊れるから振らなかったのかな…)


少し涙目になる。


沙耶の前では泣かないようにしてるが龍也は実は泣き虫だ。喧嘩した後は必ず泣いていた。なぜか涙が出てくるのだ。


そんな龍也をライム君は静かに見ている。


昼ぐらいだろうか。お腹が空いてくる。


何か飲み物も飲みたいところである。

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