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白い部屋と女神2

女に掴まれている足を伸ばし、片方だけで胡座をかく様に座った


起こしてもめんどくさいと思い、無理に起こすのはやめた

その代わりに女を観察する事にした


女の頭上ある黄色い輪っかに顔を近づける


まずはこれだな...


さっきからフォンフォンと、風を切るような音が聞こえる、浮かぶ輪っかをよく見ると、高速で回転してる事がわかった


なるほどなぁ、そうやって浮かんでやがったわけか

一瞬本物かと思ったぜ!

まぁ、本物がどういうもんか知らないけど。


...ふ〜ん、止めたらどうなんだろ?

よし、やってみるか


秋人は勢いよく手を伸ばして、輪っかに触れようとしたが、バチンッ!と音を立てて何か薄い膜の様なものに弾かれて、その衝撃で腕が後ろに吹っ飛んだ


「ッつ〜‼︎痛えなちきしょお!

なんで触れねーんだ、よっ!」


今度は拳を作って、輪っかを殴りつけようとしたが、またも膜のような何かに弾かれてしまう


「す、凄えなこれ。

最新機器って奴か...いいねえ!

ますます欲しくなっきたぜ」


秋人は、女に掴まれている左足を下にし

横になり、右足で標的を定めていた


「ふッ!!」


足が女に当たらないようにするため

斜め下から、輪っか目掛け蹴りを放つ


すると、今度は膜に触れる感覚がなく

そのまま輪っかを蹴り飛ばした


「よっしゃ!」


20mほど飛んだ後、輪っかが白い床に落ちた


早速取りに行こうとするが、女に掴まれている事を忘れていた事に気付く


ああ〜、そうだった...

まぁ、後に取りに行けばいいわな


もう起こすか?

いや、気になる事は輪っか以外にもあんだ

先そっちみるか


女を膝の上に引き寄せて乗せ

背中にある白く、デカい翼を見る事にした


「うーむ、この形、この色は...白鳥だな?

そうに違いない」


鑑定師の真似をして、テキトーな事を言う秋人


「可哀想に白鳥さんや。

この翼はこんな女ではなく、俺にこそふさわしい!もらうぞ!」



翼を引っ張ろうと力を入れようとした時

左側から何かが飛んでくるのを感じた


飛んでくる気配に合わせて左手でキャッチし、見てみると、それはさっき蹴飛ばした黄色の輪っかだった


「なっにぃ⁉︎自分から飛んできやがった!

すげーよ、マジですげえ!

日本も進化したなー


...あれ、そういや手で掴めたな

まっ、どうでもいいか」


秋人はそれを自分の頭の上に乗せる

すると、輪っかが少し浮かび、さっき女の上で鳴ってたように、フォンフォン と音を立てて立てて回り出した


おおッ‼︎


秋人は頭を縦に振ったり横に振ったり、ぐるぐる回したりしていた


「ちょっとうるさいなこれ...

だけどやっぱ凄え、どんなに頭の動かしても余裕でついてきやがる‼︎」


おお!と興奮し頭を揺らしていた秋人の声で女が目を覚ました



「あれ...?私何やってたんだっけ」


「お、やっと起きたのかよ

お前気絶し過ぎだろー、今までどうやって生きてきたんだ?」


あっ!と女が俺のジャージから手を離し、口を抑える



「そ、そうだった...

この人転ばせちゃったんだ...私」


声が小さくて、よく聞き取れなかったが、言っているだろう事は、大体わかった


「別にもう気にしてねーよ

だから謝んな、めんどくせぇ」


「えっ!?ほ、本当ですか!?

あんな事したのに許してもらえるんですか⁉︎」


女が俺へと顔を寄せてきた



「だからいいって...ん?

お前、口になんか付いてるぞ」


「え...? なんでしょうか、さっき食べたチョコレートですかね?えへへへ」

女が指で拭おうとするが、なかなか上手くいっていない


「いや、赤いから違うと思うぞ。

あ〜違う、そっちじゃなくてこっちだ」

自分の顔を指しながら説明をする


「あ〜、じゃあきっとその後に食べた

りんご飴ですね!私、りんご飴大好きなんですよ!」


「知らねえよ...

てか食い過ぎだろお前。


あー、いやだからそっちじゃねえって...

チッ、ちょっと手ぇ貸せ」

付着した汚れの位置まで指を導く為に手を取る


「い、いいんですよ少しくらい!ちょっとした自分へのご褒美なんですから‼︎」


「わかったわかった

ほら、ここだ」


「あっ、ありました!

ありがとうございます!!

結構優しいんですね〜」


「一言余計だろ...

まあ、取れて良かったな」


女の手を離す時、ヌメッとした感触があり、

なんだ?と、手を見るとそこが赤く染まっていた


えっ、あ...!!


秋人の中で全てが繋がった


あの時足に着いたナイフの血か‼︎

左足で拭いたんだった!

さっきまでコイツ、俺の左足のジャージ掴んで気絶してたよな

それにその後口も抑えてた。


間違いねえ、それだ



女が汚れを拭った指を、飴の味思い出したのか、幸せそうな顔で口に咥えようとしている


「おい待て‼︎やめーーー」


「あーーむっ!」

女は、口の中でモゴモゴと、指を転がした後、ちゅるちゅるッと音をたてて、血の着いていた指を舐めている


「あーあ!知らねえぞ...」


女が指を一通り舐め終わり

ごくんっ、と喉を鳴らした


「あ〜!やっぱ美味し!...くない。苦い。

な、何なんですかこれ! おえっ。」

ぺっぺっと、顔を歪めて口に残る嫌な味を吐き出している


「自分の手と、俺の左足をよく見てみろ」

俺は女に見えやすいように左足をあげた


「これは...血、ですか?

な、なぜ血があるのですか?

怪我、してないじゃないですか」


「それはあっちだ」

親指で後ろを指す


俺が邪魔だったのか、身体を曲げて後ろにあるものを探していた



「あっ!あのナイフ‼︎

あなたが持ってきた物じゃないですか!

その血って事はまさか...」


「はぁ?持ってくるわけねえだろ!

何言ってんだお前!

俺はお前に誘拐されてここにいるんだろうが!」




「何を言ってーーー


えっ...?もしかして覚えてないんですか?」

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