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01 見知らぬ美形と初夜だった

 燃えるような赤髪をした超絶美形が、ベッドの上に押し倒した私を、覗き込んでいる。

 獲物を狙うように目を細めて。

 その瞳の中に宿っているのは、欲情の色。


 ……え。

 ちょっと待って。

 なにこの状況。

 なんで私、超絶美形に押し倒されているの……!?


 この状況になった理由がまったく思い出せなくて、愕然とする。

 一秒前の記憶を蘇らせようとしても、頭の中は真っ白。


 そもそもこの美形は誰?

 名前すら思い出せない。

 ……ん?

 あれ? んん!?

 この美形のことどころか、自分の名前も出てこない。


 まさかこれ、記憶喪失……!?


 混乱したまま視線を動かすと、まず目に入ってきたのは、自分が横たえられている天蓋つきのベッド。

 美形の肩越しには、豪華絢爛な寝室が見える。

 月明かりの届かない先まで部屋は広がっていて、呆気にとられた。

 こんな広い部屋に住むのは、貴族か王族ぐらいなものだけれど……。


「俺のアデリーヌ、愛しい人。どこを見ているの?」


「いや、あの待ってください」


「ほら、ちゃんとこっちを向いて」


「待ってってば! 顔近い! ぐいぐい迫ってこないで!」


「君が俺だけのものになったって、この夜の間中、感じていたいんだよ」


「あなたは私の話を聞いて!!」


「うん、どうしたの?」


 絶叫した後、ぜえぜえと肩で息をする。

 彼はとりあえず、待ちの体勢になってくれた。


「とにかくちょっとそのまま動かないでください」


「君に触れたいよ」


「動かないで」


「わがままさんだね、アデリーヌ」


 わがままさんという言葉は聞き流す。


 ――アデリーヌ。

 呼びかけられた名前を、頭の中で反芻してみる。

 ……うん、そう。

 たしかに私、そんな名前だった。

 ……気がする。

 でも気がするだけで、確信が得られない。


「まったく君という人は。まだ心ここにあらずという感じだ。まあ、いいさ。それなら溺れさせるまで……」


 シーツの上に手をついた彼が、ゆっくりと顔を近づけてくる。


「まだ動かないで……!」


「まだ? でも今までさんざん待ってきたんだし、ここにきて焦らすのはなしだよ」


「焦らすとかではないんですが、とにかく確認したいことがあって。――あなたは誰で、私は誰ですか」


「……え? 誰って……。その冗談、全然笑えないよアデリーヌ」


 笑えないと言いながら、彼が口元に微笑を浮かべる。

 なんだかゾクッとする微笑みだ。

 心の中で何を考えているのか全然伝わってこない感じの……。


 でも、それより今は説明をしなければ。

 この私の頭の中身がどうなっているのかを。


「冗談ではなくて、本当にわからないんです。あなたのことも自分のことも。思い出そうとしても頭の中から何も出てこなくて。つまり記憶喪失の可能性が高いんです」


「なにそれ。キスしたら思い出すから早くキスしてとか、そういうおとぎ話ごっこがしたいとか? いいよ、わかった。してあげる。はい、目を閉じて。王子様のキスだよ」


 ち、違う! 違います! 顎をつかまないで……!

 ヒッとなって、とにかく暴れて顔を背けると、美形は無表情のまま私を見下ろしてきた。

 完璧に整っている人の無表情は、迫力がすごい。

 蝋人形みたいで、気味が悪いという意味で。


「そんな昔のように全力で拒否されると心が抉られるよ。やっと初夜まで辿り着いたというのに」


「え!? 初夜!?」


「そう初夜」


 美形がきっぱりと言い切る。

 う、うそ……。

 彼のいうことが真実なら、私、新婚初夜に記憶喪失になっちゃってこと……!?

勢いで書いているので、粗があったらすみません……!

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