愛する人
掲載日:2015/03/03
聞こえてくる。誰かの声。
それは、あなたを罵る言葉。
あなたは、私のため、私たちのため、犠牲になったのに……
いつからか、幸せは、自分が決めるものではなくなった。
正しさは、自分が信じたものではなくなった。
あなたの幸せはここにいること、
そうですよね……
今でも思い出す。あなたがここを去る日。
「行きたくない」
「逃げ出したい」
「一緒にいたい」
小さな声であなたは言った。
静かに涙を流した。
聞こえてくる、「立派だ」と「流石だ」と……
あなたは最後に決断した。国に尽くすと戦うと……
しかし、それは遅過ぎたようだ。
今、あなたを敬う人はいません。
口を揃えて、「非国民」だといいます。
国民がいてこその国ではないのでしょうか?
望んだ幸せが食い違うだけで、あなたの命は、どうして、こうも軽くなってしまうのでしょうか……
私は、知っているに……
あなたが、どれだけ優しいか、美しいか、愛おしいか……
これを、知っているは、もう……私だけなのですね。
……私、だけなのですね……
あなたのすべてを私は、私だけは忘れない。
あなたが、何も遺らずとも、私は忘れない。
私の愛する人




