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魔法少女の奉仕活動  作者: シイバ
魔法少女の奉仕活動三
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魔法少女と明日

 参守町の北に位置する山の麓には送電線を運ぶ鉄塔が連なっており、人々の生活に欠かせない電気を送り続けている。

 幾重にもそびえる送電鉄塔の一つ、横に突き出た鉄骨に腰掛けた双葉明は夕暮れに染まる街を見下ろしていた。

 以前にタウラスとユニコーンの力が激しくぶつかり合い、エストルガーがその身を潜めてから今日まで随分長い時が経っていた。

 見つけることができたのは僥倖であったが、それと同じくらい思いがけなかったことは類似した力を持つ者に巡り合ったことだった。

 そのような者にこれまで遭遇しなかったのは彼がエストルガー以外に目を呉れることがなかったからであるが、標的に出会ったその場に彼の者たちがいたことに何らかの縁を感じずにはいられなかった。


「……」


 とは言え、特別な感慨を抱くことはしない。余計な感情を抱けば拳が鈍ることをよく知っているからだ。

 この強大な力で黒十字結社のしがらみに捕らわれることはないが、自我の芽生えたその瞬間から常に駒としてしか見られていなかった。

 結社の首領も幹部連中もタウラスの力を利用しユニコーンの力を手にすることしか考えてはいない。二つの力を手にした彼をどのような手段で従わせるのか本人にすら分からないが、その目論見通りになるつもりはなかった。

 二つの力を手にしたならば、間髪入れずに黒十字を壊滅させるつもりなのだ。彼もまた、結社に仇なす者である。

 無論、明の浅はかな考えなど黒十字には筒抜けだろう。だから一刻も早くユニコーンの力を手に入れ、未だ完全には引き出せぬ領域にある己の力を解放せねばならない。

 聖と共闘することで二つの力が共鳴し力を解き放つことも可能である。が、彼は共闘など考えない。余計な感情を抱けば拳が鈍ることをよく知っていたからだ。

 逃走し、自由を得、心を許せる者を手にした聖が、それを失い、嘆き、慟哭する声が明の耳に張り付いていた。

 俺はああはならない。力を手にし、全てを潰し尽くしてから自由を手に入れる。

 聖を反面教師とし、明は一人で戦い続ける。

 差し当たっては明日、あの男と少女がいないところを見計らってエストに戦いを仕掛ける。戦いというより略奪か。

 そう考えた時、明の元に連絡が来た。


「なんだ?」


 彼の目の前に、ノイズしか映らない画面が現れる。空中に浮かぶディスプレイは、映像ではなく音声のみを彼へ伝えてきた。


「……分かった」


 それだけ言うと空中の映像は霧散した。ほとんど行うことのない黒十字結社との映像通話。余程の伝達事項がない限り、この端末に連絡が来ることはない。

 伝えられた内容を胸に刻み、沈む夕陽を茫と見つめながら彼は明日を待った。

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