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魔法少女の奉仕活動  作者: シイバ
魔法少女の奉仕活動一
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魔法少女と放課後

 没収されたスマートフォンを取りに職員室へ行った時、メロン先生に委員長んことについてのか訊ねてみたが言葉を濁された。個人的な事情か、心配に思いつつ職員室を後にする。


「柏木さんも心配していたし、理由くらいは聞き出したかったけどな」


 俺では役に立てなかった。少々悔いは残るものの、旧校舎にいるはずの先輩を待たせるのも忍びなく、靴を履き替えて部室へと向かった。

 部室へは今日で二度目の訪問となるが、まだ緊張はしてしまう。ゴールデンウィークを挟みあと何回来ることになるか分からないが、来ているうちに慣れるだろうか。


「失礼します」


 ガラガラと引き戸を開けて入ると、中にいたのは四之宮先輩ただ一人だった。


「お疲れさまセクハラ少年」

「すいませんでしたってば……音無先輩は?」


 嫌味を受け止めつつ、昨日と同じく窓際の席に腰掛け読書に耽っていた先輩の前の机に自分の荷物を置いて訊ねた。


「先に体育館に行ってるわ」

「じゃあ俺たちも早く……」

「そんなに慌てなくっても、もう少し盛り上がってから行きましょう」

「はあ……」


 そんな感じでいいんですかね、と生返事をしたが、なら俺は何をしてればいいだろうと手持ち無沙汰になってしまった。そわそわと落ち着きなくしている姿を見せてしまうのも悪いしと、とりあえず部室内にある本棚の前に立ってみる。


「ぎっしり詰まってますね」

「興味を惹かれたのがあったら自由に読んでいいわよ」

「昨日もでしたけど、先輩は何を読んでるんですか?」

「アルジャーノン。図書館で借りてきたものだからここにある本とは違うわよ」


 聞いたことはあるけど読んだことはない。曖昧に頷き、本棚に並ぶ書物を観察していく。


『魔法と科学』

『魔術理論の基礎知識』

『魔女の歴史その変遷』

『世界超能力者百集』

『神悪魔幻獣大全』

『初心者にやさしい魔法少女入門』

『魔法少女キューティブレス特装版』


 エトセトラエトセトラ。目に留まったそれらはほんの一部だ。しかも棚はここだけではなく部室の後ろにもある。そちらにも本がみっちりと並んでいる。


「魔法とか超能力とか……そんな本が多いですね」

「主にオカルト関係の書物ね。実戦で役立つ機会は多くないけど、知識として知っておくのも楽しいものよ」


 俺を襲った魔物か怪物のこともこの本に載っているだろうか。手に取った『世界中にある! 魔物の伝承と生態』というタイトルの本をパラパラとめくってみる。

 人の命を吸い、空を飛んで、尻尾と羽根が生えてる女性。一番近いのはサキュバスと呼ばれる魔物になる。ただしそいつは人の夢に現れる夢魔だし、吸うのは人の性気だから若干ニュアンスが違ってくる。

 とはいえよく似ているのも事実。個体差とかそういうものがあるのかもしれない。先輩に訊ねてみれば色々教えてくれるかなと思い、ちらっと横目で見る。

 白髪で眼鏡をかけて読書に浸る少女が陽に照らされている光景は、絵画のワンシーンを抜き出したように見える。画になる人だ、と率直な感想を抱き、質問するのも忘れて本を読むふりをしながら先輩の姿を脳裏に焼き付けるのだった。


「さて。読書はここまでにして、ゆっくり体育館に向かいましょうか。そろそろ序盤が終わる頃ね」

「はい、行きます」


 机に置いた荷物を取り、一緒に部室を出た時、ふと扉に掛かる札について訊ねた。


「この『ボランティア具楽部』って表札書いたのって」

「あたしに見える?」

「……ですよね」


 分かればよろしいと四之宮先輩。おかげでこれを書いた筆の主が誰かはっきりと理解した。

 体育館は部室棟と西棟の間、屋内プールと併設されてある。旧校舎から部室棟を過ぎればすぐなのでそう遠くない。


「うちの高校ってバスケット部は強いんですか?」

「去年のインターハイは男女ともに県大会ベスト8だったかしら。今日練習試合をする東台と実力伯仲してるはずよ」

「そんなチームとの練習試合に助っ人に入って大丈夫だったんですかね……」


 個人の競技ならともかくチームワークが必要なスポーツに先輩が混ざって上手く連携できるのか心配だが、口の端を釣り上げる四之宮先輩を見ていると、俺の考えは杞憂かもしれない。

 だが俺たちが体育館に近づくと、歓声や応援とは異なる騒然とした雰囲気が漂っていた。


「何かあったんですかね」

「アヤメなら何か知っているかもしれないわ。探しましょう」


 体育館の入口から野次馬らしき男子生徒たちが外へ向かっている。すれ違いざまにその会話が聞こえた。


「東台の女子倒れたってさ」

「マジ? やばくね?」

「やべえマジやべえ。全員だってよ」


 一体何があったんだ。試合は、先輩は、倒れたという女子はどうなったんだろう。

 体育館のコートに着く直前、東台のユニフォームを着た女子バスケ部の生徒が左右を西台の生徒に支えられて運び出される場面に出くわした。次々運ばれてくる東台の人たちは、まるで人形のようにピクリともしていない。異様な状態だった。眉根を寄せる俺たちの所へ駆け寄ってきたのは、体操着姿の音無先輩である。


「ああ、今来たの?」

「はい。そうですけど」

「何があったの?」


 すかさず訊ねる四之宮先輩に、しかし先輩は頭を振った。


「分からない。前半が終わってインターバルに入った直後に、次々倒れちゃって。先生は貧血か食中りかもって言ってたけど……」


 コートの近くでは、うちの高校の顧問の先生と、そしておそらく東台の監督か顧問の人だろう、凄くスタイルのいい長い金髪の女性が何やら話し合っていた。これじゃ試合の続行も無理だし、どうするかについて決めているのだろう。


「あたしもあの人たちの看護に少し付き合って行こうと思うから、二人とも先に部室で待っててよ」


 言うが早いか、先輩はコートに戻り、まだ運ばれていない部員たちの所へと走っていった。

「仕方ない。力仕事なら彼女がいた方が助かるでしょう。相沢くん、部室へ戻りましょう」


 倒れてしまった人たちのことは気になるが、後から来た俺たちに何ができるとも限らない。四之宮先輩の言葉に従って俺たちはほんのわずかだけ立ち寄った体育館の外に出た。


「暇つぶしにマジックでもしましょうか」


 唐突にそう提案してくると、先輩が胸ポケットから取り出したのは年期の入った小さなケース。中から取り出したのは、見たことのない柄が描かれたカードの束だった。


「それって、先輩のトランプですか」


 初めて見た。昨日は話に出てきただけだの、先輩の使う魔法のトランプ。それを素早い手つきで操っていく。手元を見ずに様々なシャッフルでカードを混ぜ合わせながら、こちらに話しかける余裕もある。


「ええ。大切なモノだから、学校にいる間も肌身離さず携帯してるの。さて」


 シャッフルし終えたカードの山をこちらに向け、一番上のカードの柄をトンと叩いて、


「今ここには何枚のカードがあるでしょう?」

「え、っと……五十二……」


 突然の問いに、単純に十三×四をした枚数を答えそうになったが、ここにジョーカーが混ざっていたとしたら。


「五十三枚だと思います」

「正解」


 当たった。険しかった先輩の顔も、知らぬ間に柔和なものになっていた。気分転換になっているのかもしれないな。


「確認のために枚数を数えてくれる? 裏のままでいいわよ」

「はい……っていいんですか!」


 受け取ろうとした手を慌てて引っ込めて聞き返した。先輩の大切なトランプ、おばあちゃんから譲り受けたトランプ、不思議な力が宿っているというトランプだ。そんなものに俺なんかが触れて平気なのか。


「心配しなくても今は何の変哲もないただのトランプよ。呪われたりしないわ」

「は、はい」


 そう言ってもらえたけど念のためツン、ツン、と突いてから受け取った。

 確かに変わった模様をしているだけで普通のカードの束だ。不思議な力なんて感じない。自分なんかが感じられるものでもないと思うけど。

 一枚一枚しっかりと数えていく。きっちりと五十三枚、間違いない。


「確かに五十三枚です」

「はいありがとう」


 先輩に大切なトランプを返すと、先輩がまた問いを出してきた。


「それじゃあ質問。ケースから出した時、このトランプは何枚だったでしょう」

「えぇ!? 五十三じゃないんですか?」

「残念ハズレ。答えは五十四枚でした」


 嘘だそんなこと。だって今数えた枚数は確かに五十三枚だったし、もし本当に五十四枚だとしたら今その山にない一枚はどこに行ったというのか。

 疑わしげな視線を投げかけるが、それを受けても四之宮先輩の表情は不敵に笑っている。


「最後の一枚はどこに行ったのでしょうか」

「それは俺が聞きたいですね」


 先輩が回答を口にするのを待っていたその時、学校の敷地内に響く校内放送が聞こえた。


『二年B組四之宮花梨さん。至急職員室まで来るように』

「呼び出し? 先輩ですね」

「……何事かしら」


 四之宮先輩がトランプを胸ポケットに仕舞った。結局最後の一枚とやらはどこにあるのだろう。それともそんなものは存在しないのか。


「一緒に行きましょう。どこにあるかはその後教えてあげるから」


 ポン、と肩を叩いてきた。ついてきてという合図だと思い、それに従い歩き出した。先輩の言ったマジックとは、消えたカードのことか。消失マジックですね。

 本校舎の昇降口に着いたところで、背後から俺に声を掛けられた。


「相沢くん」

「委員長! 学校にいたんだ!」

「当たり前だよ」


 そこにいたのは、お昼に一度も教室に姿を見せなかった委員長だった。てっきりもう学校にはいないものだと思っていたので、まだ残っていたことに驚きだ。


「心配してたんだよ、柏木さんも。先生に呼ばれた後、お昼からどこに行ってたの?」

「中園さんに何かあったの?」

「先輩には関係ありません」


 委員長のことを心配してくれたんだろう、四之宮先輩が俺に話を聞いてきた。なのに委員長が、そんな先輩のことをバッサリと言って捨てた。

 ニコッと笑いながら世間話をするような落ち着いた口調。俺も先輩も、委員長の言葉に虚を突かれ、数瞬固まってしまった。


「相沢くん。少しお話があるんだけど」

「え? あ、ああ……」

「……あたしは職員室に行ってくるわ」

「早く行ってください」


 また委員長がそんなことを言う。俺に話があるから、四之宮先輩を追い払おうとしているような、邪険に扱うような感じ。そんな委員長に酷く違和感を抱いた。


「……相沢くん、勝手に帰っちゃダメよ。すぐに戻ってくるから」

「は、はい」


 最後に委員長へ刺すような視線を投げかけてから職員室へと向かって行った。先輩、あんな目もするんだと少しだけ慄いた。


「ついてきて」

「あ……おい委員長!」


 こちらの返事も聞かず、委員長は校舎の外へ歩いて行った。参ったな、あんまりここから離れるのも四之宮先輩に申し訳ない。かといって委員長も話があると言うし、何よりあんなに様子の変な委員長を放っておいていいとも思えなかったので、なるべくゆっくりと委員長の後ろをついていった。


「ちょっと待ってくれよ!」


 委員長が校門を越えて外に出たところで、俺は足を止めた。しばらく歩んでいたが、こちらが止まったことに気付いたのかようやく委員長が振り返ってくれた。


「何してるの?」

「これ以上行ったら先輩たちを置いて帰ることになっちゃうよ! それはできないし、話があるなら別に学校の中でもいいだろ」

「先輩の許可がいるの?」


 目を丸くして微笑んでいる表情は、なんだか正気を感じさせない。本当にどうしちゃったんだよと困惑しているところで、ポケットの中のスマートフォンが着信を告げてくる。

 笑いかけてくる委員長に気を配りながら、着信相手を確認する。今どき珍しい公衆電話であることを訝しく思いながら、電話に出る。


『もしもし相沢くん? あたしあたし』

「音無先輩……?」


 電話の向こうから聞こえる声は、間違いなく先輩のものだった。


「どこから掛けてるんですか」

『校内の公衆電話だよ。それよりちょっとこっちは時間がかかりそうだからさ、先に帰っていていいよ』

「いや、それは聞けません」

『いいって。気にしないでよ』

「もう一人の先輩が待ってるように言ってたんで、それに従いますよ」

『うわ……あたしよりその子の言葉に従うの? ちょっとショックだなあ』

「当たり前だろ。知らない奴の言うことなんか聞けるか」


 ガツンと言い切ってやった。もしこれで電話の主が音無先輩だったらとんだ赤っ恥だけど、そうじゃないと踏んだ俺の勘にかけてみた。どうせ恥をかくならかっこつけてやる。


「先輩は俺のことは下の名前で呼ぶんだよ。どこで苗字を知ったか知らないけど、つまんないミスしちまったな」

『…………フフ。そうだったか』


 先輩の声、だけど先輩とは似つかない口調。別人だという俺の判断はビンゴだった。


「スマホの番号はどうやって知ったんだ。委員長が変になったのもあんたのせいか? あんたは……俺を襲ったアイツなのか」

『質問が多いのは怯えてるからか。声が震えてるぞ』


 図星を突かれて言葉に詰まった。言われた通り、俺は心底ビビってる。電話を持つ手は震えるし、足は力が抜けそうだ、心臓も早鐘を打って喉がカラカラになってきた。

 でも、少しでも時間を稼いで待っていれば四之宮先輩が来てくれるはずだ。だから虚勢でもいいから気を張って、なんとか言葉を吐き出してるんだ。


『少し手伝ってやろうと思ったが、上手くいかないものだな。あとは勝手にやられてくれ』


 それだけ言い残し、電話はプツンと打ち切られた。なんだ、どういうことだ、俺を襲うために委員長を利用してその言葉に従うように誘導するつもりかと身構えたのに、やけにあっさり捨て台詞を残して切ったな。


「ねえ相沢くん」


 電話に集中したせいで委員長から気が逸れていたことにハッとし、再び彼女に視線を戻した時、血の気が引くのを感じた。


「何やってんだ!」


 委員長が自分の首筋にナイフを当てている。肌に食い込む刃がはっきりと見て取れる。


「一緒に来てくれるよね?」


 笑いながら誘ってくれるのは、状況が違えばとても嬉しいものなのに。異常な雰囲気を纏う委員長に言われても素直についていけるわけがない。

 こんな時に限って周囲に誰も来てくれない。日常が遠ざかっていく感覚に目眩がしてくる。


「来てくれないの?」

 首を傾げた委員長が、両手をダラリと下げる。ナイフが首から離れたのを見届けた次の瞬間、音もなく突き立てられたナイフの切っ先から鮮血が滴っていた。


「あ……委員長……?」

「次は本当に首を切るよ?」


 傾けた顔に笑顔を張り付けたまま、左手の平に根本まで突き刺したナイフを抜くと、小さな血溜まりが委員長の足元にできていた。


「ついてきてくれないの?」

「行く! 行くから、傷の手当てしないと!」

「そんなのいいから早く行こう。それとも時間稼ぎして先輩が来るのを待ってるの?」


 右手で無造作に掲げたナイフを自分へと向け、そのまま首筋へ、


「待って! 分かった行こう!」


 今の委員長は自分を切りつけるのに躊躇いを感じさせない。だからその動きが見えた途端、そう口走っていた。


「初めから素直にきてくれたら無駄に傷付かずに済んだのに。相沢くんって酷い人だね」


 笑顔で言われるのは堪えた。きっと今は悪い奴に操られているからだ、委員長の本心なんかじゃない。そう思わないと胸が潰れそうだった。

 軽やかな足取りで進む委員長とは裏腹に俺の足は鈍重だったが、下手に距離が開けばまた難癖をつけて委員長が傷付けられるかもしれない。離れることもできずついていく俺の目には、点々と続く赤一の標が映る。俺のせいで傷ついていいわけがない。傷つけなないために俺にできることが何か一つでもないのか。

 先輩……俺にできることって、何かないんですか。自問している俺の目に、風に靡く委員長の髪が映った。露わになった首筋に2つの点と、不可思議な紋様が刻まれていることに初めて気付いた。


――――――


 職員室に赴いたところで何の用件もなかったことに、四之宮花梨は焦燥を抱いた。引き離された気がしてならない。思えば体育館で起きた出来事から続く一連の流れが不自然で堪らない。


「ったく。携帯に出ないなんて」


 まだ体調不良となった生徒に付き添っているのか、目に付く人を助けたいというのは彼女の長所だが、今最優先すべきは狙われる彼のことだ。

 いや、最優先すべきならあたしも離れるべきじゃなかった。

 後悔したのは、昇降口の周囲に彼の姿も、直前まで一緒にいた少女の姿もなかったからだ。


「勝手に帰らないでって言ったのに」


 愚痴を漏らしても彼が現れるわけでもない、その姿を探し求めながら校門まで来たところで、日常から乖離した異常の兆しを見つけた。

 その兆しを追いかけながら、再び折りたたみの携帯電話を取り出し先ほどの番号にかけ、次は留守番電話サービスになるまで待ち伝言を残す。


「ごめん、あたしの不手際で相沢くんに危険が迫ってる可能性がある。すぐ探す、場所が分かったら連絡する。貴女の方でも探してて。匂いで分かるでしょ。また後で」


 電話をポケットに戻し、彼女は走り続けた。

 地面に点々と続く血痕を辿る。それは自分に対して残されたメッセージだと理解した。

 根拠はある。そこに残された血痕とともに、微かな魔力の残滓を感じ取ったからだ。正確には自分ではなく、魔力を受信したトランプが胸ポケットの中で蠢動しているからなのだが。


「まだ出番じゃないわよ、四之宮花梨」


 制服の上からトランプの束を押さえつける。蠢動は収まらないが、不要な魔力の高まりと自身の気分の高揚は徐々に静まる。

 戦いに興奮を覚えるわけではない。ただ戦いの予感がある時、自分の中に巣食う闇が顔を覗かせる。今朝、相沢草太に語った異物のことである。

 久しぶりの血の香りが奥底に眠っていた衝動を起こしかけたが、すぐに押さえ込めたのはまだ全く力を奮っていなかったからだ。

 それに今はそいつに付き合っているわけにはいかない。まずは彼を早く見つけ出さないとという思いが、異物の抑制に一役買っているのも事実だ。


「北……こっちは山の方ね」


 体力に自身はない。山を登り始めたら追いつけないかもしれない。然程遠くに行っていないことを願いながら、ハァハァと息を喘がせて北へ向かい続けた。

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