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回数券

作者: 深町珠

いつも避暑に赴く高原へは、駅前から路面電車で向かった。

小さな、マッチ箱のような客車に乗ると、いつも車掌から回数券を買う。


冊子が薄くなり、蝉時雨が遠ざかる頃

夏は終わってしまうので、僕にはそれが時流を現しているかのように思え、少し淋しかった。


券片が切り離される度、夏が薄れてゆく。


そして、秋が訪れるのだ。




残った回数券を消費すると言う口実で、冬休みにスキーに訪れるのだけれど

何となく、夏休みに買った冊子は使う気になれなかった。

それは、夏時間の想い出であり、神聖な記録である。そういう想いから、新たに回数券を購入した。



思い起こせば、稚なかった、と思う。


今、路面電車は存在せず。

けれども、私の心の中には今でも、あの夏の日が鮮明に遺っている。

色褪せた冊子を眺めていると、神々しい夏の輝きが蘇るのだ。

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