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言の葉のチカラ  作者:
侯爵家? ありえない
19/27

お見舞い? 嫌がらせ?


2月ですね!

寒いですね!


更新です。



 だるい、かったるい。何でわざわざこんなところまで来るかな、この人は。来てと言った記憶も無いし、そこまで仲良くしていた記憶も無い。

 なのに、どうしてドーリス公爵家のオジョーサマ(アリサ)はここにいる? これではまるで、初めて会ったあの日と反対だ。


「アキラちゃん大丈夫?」

「……アレグラ」


 何でこの人がここにいるのか説明が欲しいんだけど。アレグラに声をかけ、目だけで質問する。


「い、いえ、先日エルミナ様にお会いしたときにアキラのことを話したらアリサ嬢がアキラに会いたいと仰られまして……」

「エルミナって誰さ」

「私のすぐ上のねえさまだよ」


 エルミナってホント、誰だよ。そう思ってアレグラに尋ねたのだが、答えをくれたのはその張本人の公爵家のオジョーサマだった。


「アレグラ」


 少し、二人で話がしたいなぁ? やはり口に出さずに目だけでそれを訴える。アレグラはそれを分かってくれたらしくアリサを一時的に私の部屋から出し、リビングへと誘った。

 そしてその後はアレグラだけが戻ってくる。さーて、じっくりしっかり、話を聞かせてもらおうかな?


「いえ、先日エルミナ様にお会いした際、アリサ嬢のことをお伺いしたらアキラのことも尋ねられてしまい……」


 正直に答えたらオジョーサマがここに来たがったと。迷惑千万、お見舞いという名の嫌がらせですね。


「と、とりあえず体に障らない程度にアリサ嬢とお話をしてもらえませんか?」

「ならすぐ帰せ。まだダルイ」


 あの暗闇にいた時間はさほど長くなかったとは思うのだが、実際は結構長時間いたようで、今はあまり上手に体が動かせないのだ。


「相手するだけで疲れそう。寝る」

「いえいえいえいえいえ! 少しだけですから!!」

「めんどい、鬱陶しい、寝る」


 オジョーサマには悪いけど、相手するのは面倒だから寝させてもらおう。


「いえいえいえ、少しだけでいいからお話してさしあげて下さい、お願いします!」

「話してる間に寝るかもよ?」

「少しでかまいませんから!」


 いいから寝かせろよ。何でか分からないけど恐ろしいほどに体力が減ってるみたいだから起きておくことすら面倒なんだ。

 が、そんな訴えを聞くような義姉ではないようだね。いつの間にかオジョーサマが目の前にいたし。


「今日はいきなり来てごめんね? アキラちゃんが調子悪いって聞いて、いても立ってもいられなくなっちゃって……」


 で、かあさまたちにわがまま言って来ちゃった。オジョーサマは言うが、何故来た。何故、他人の不調でいても立ってもいられなくなる。分からない。

 ちなみに、オジョーサマは母である公爵夫人と一緒に来ており、公爵夫人は現在、アレグラと話をしているとのこと。

 アレグラ、オジョーサマも一緒に引き取って話でもしていればいいものを。あぁ、疲れる。


「あ、ゴメンね、辛い?」

「悪いけど、寝たい」

「え? あ、ゴメンね、帰るから! でも、その……、また来てもいい?」

「ご自由に」


 本気で眠たいので、その襲い来る睡魔に身を委ねるためにも言葉の意味をあまり考えずに返事を返す。

 ……が、私、さっきなんて答えた? ご自由にとか言ったら本気でまた来るだろ。………ま、いっか。今は寝よ。眠いし。




 そして、アキラが寝入ったあと、アリサはどうしようか真剣に考えていた。自分で母やアレグラの元へ向かうか、メイドを呼んで案内をしてもらうか、だ。


「うぅ、アキラちゃん、もう寝ちゃった?」


 どうしようか考えても中々結論が出ないのか、アリサはアキラに話しかけるのだがこの段階でアキラは既に眠っている。結果、何の返事も帰ってくることなく、アリサは寂しげにアキラの寝顔を眺めていた。


 それから数十分後、部屋を出ることなくアキラの寝顔を眺め続けていたアリサの元に、公爵夫人()が現れた。

 公爵夫人はにこやかに微笑みながら可愛い愛娘の下へ近寄る。


「あら? アキラ嬢は眠っているの?」

「うん、疲れちゃったみたい。だから、今日は帰ろう、かあさま。アレグラ、また来てもいい?」

「えぇ、是非いらしてください」

「今日は突然来たいなんて言ってごめんなさいね、アレグラ」

「いえ、お気になさらず」


 その後、公爵夫人とアレグラで一言二言言葉を交わし、その後その二人は帰っていった。

 そしてアレグラはアキラの眠る部屋に足を踏み入れ、眠っているアキラを眺める。すやすやと、深い眠りについている少女。少しずつ、人を信じるということを覚え始めている彼女の義妹。


「ゆっくり休んでくださいね。ゆっくり休んで元気になってください」


 そうしたら、またあの湖へ一緒に行きましょう。アレグラは眠っているアキラの枕元で優しく告げる。アキラの耳にその言葉が届いていないことは分かっていても、それでも優しく話しかけていた。

 深く深く眠っているのか、アキラの頭をアレグラが優しく撫でても、アキラは何の反応も返さない。それほどに、深い眠りに落ちていた。


「ん………んぅ……」


 眠っているアキラは、時折魘されたように声を上げ、眉間にしわを寄せる。そのたびにアレグラは優しくアキラの頭を撫で、落ち着かせていた。


「大丈夫です、何も怖いものなんてありませんからね」

「ん………」


 その声が聞こえているのか否か、分からずともそれでも安心できたのかアキラの呼吸は落ち着き、そのまま再び柔らかな眠りに落ちる。

 何の憂いもなさそうな、気持ちのよさそうな寝顔。アレグラはそんなアキラを優しい瞳で見つめ、その後、アキラが目を覚ましたときに飲ませるべき薬を取りに向かうのであった。



「薬? 拒否、いらない、絶対飲まない」

「ダメです、飲みなさい」

「そんな怪しいもの誰が飲むか」

「怪しいとは何ですか。薬剤所の方々が作った薬です。効用は立派なものですよ」

「薬なんて必要ないし。問題はない」

「あなたの魔力値は相当低くなっているんですよ? このまま自然に回復するのを待っていては、あなたが持ちません。大人しくこの薬を飲みなさい」

「だーかーら、いらないって!」


 こんな言い合いをしばらく繰り返した結果、最後にはアキラが負けて嫌々ながら苦い薬を嫌そうな表情を隠しもせずに飲むようになったのであった。


「うっえ、ゲロマズ」

「薬というものは皆総じて苦いものです。我慢してください」

「絶対今後一切薬なんて口にしない」


 そして最後はアキラがこの決意を定め、アレグラは今後どうやってアキラに薬を飲ませるか考える時間になった。


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