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6話 編入と入団式とパーティー

「こんな感じでいいのかしら?」


波縷は鏡の前で何度も確認し、最後にネクタイを整えた。そう、今日は王立魔法騎士学園の転入の日だった。


そして全ての準備ができた時ドアをノックされた。


「あ、はーい!」

「すまない、流石に女性寮に行くのは失礼だと思ったのだ、が…」

「あ、いえ!全然大丈夫です!ユウさん!」


ドアの前にいたのはユウだった。そして波縷を見た瞬間顔を逸らした。少し顔が赤くなっているのは気のせいだろう。


「似合っているな」

「あ、ありがとうございます」


そう、ユウが驚いた(顔を逸らした)理由は久しぶりに波縷がスカートを履いていたからだ。しかも制服なので膝丈だ。ユウも初めて制服姿を見て驚いたのだろう。制服が似合っていたからだが。


「ネクタイ、結び方上手いな。どこで知ったんだ?」

「あ、父がやっていたのを真似たんです。それに召喚前の制服もネクタイをつけていたので」

「なるほど」


騎士が入っているのでもちろん男子生徒が多い。魔法も入っているので女性もいるが。なので全員ネクタイなのだ。かっこいいので波縷は気に入っているが。


「じゃあ、行くか」

「はい!」


そして2人は寮を出た。出たのだが…


「あんな女子うちの学校にいたか?」

「え、ドンピシャなんですけど」

「ハーレル先輩が隣に!?あの女誰よ!」


などひどいことになっていた。全ては2人の顔の良さが原因だが。


「はぁ、毎回何なんだか」


実は波縷、ユウについて分かった事がある。いつもはクールで紳士的な性格だがごくたまに明るい、クールとは違い活発な年相応な男子になるのだ。どちらもユウの性格なのだろうが、表と裏があるのかもしれない。


「じゃあ、また入団式で」

「はい。また」


そしてユウと波縷は別れ、波縷は転入生として紹介された。


「ハル=ナカワと言います。まだ分からないことが多いので皆さんに教えていただきながら学校生活を送りたいと思っています。」


そして拍手が起きた。起きたのだが…


(目線が痛いわ…私も男爵の位をもらったけどまぁ、転入生なんて言われたら驚くし、不安になるものね。いじめが始まらなきゃいいけど…)


そう。召喚者組は全員男爵の位を貰っている。活躍のおかげだろうが。

そして案の定、いじめが始まった。

といっても口だけの暴言である。そして転入生だからというのもあるが、いじめになった理由は


「あなたがハーレル先輩の隣にいていいと本当に思ってるの?」

「思っていません、ユウ先輩とは騎士団であったからなので全く関係ないといったら嘘になりますが、彼も私もそういう感情は一切…ない…ので…」

「ふっ、そう」

「そういえば、来月パーティーがありますね、毎年恒例の」

「えぇ、パートナーを貴方は見つけられるのでしょうかね?」


そう、ユウとの関係についてだった。


(さすがユウさん…人気者…。でも私、どうして一切ないっていえなかったのかしら…)

(パーティー…ダンス、間に合うかな…)


実はパーティーのことはもう知っていて、ダンスは王城で学んでいる。アニメでも観ていたので、意外と上手くできている。パートナーをどうするかはまだ決めていないのだが…どうすればいいやらまだ波縷も悩んでいるのだ。


(まぁ、後で考えるとして入団式、頑張らないと)


そして女子達の目を盗んで入団式へ向かった。


ーーーーーーー

「急に呼び出してすまないな」

「いえ」


無事入団式が終わり、帰ろうと思うと騎士団長に呼ばれてしまった。


「学校はどうだ」

「まぁ、予想通りってところです。ユウさん関連で絡まれてます」

「まぁそうなるよな」


騎士団長は分かっていたらしい。


「それで今回はどのような?」

「あぁ、パーティーがあるのは知っているだろう?」

「はい。聞いていてダンスのレッスンもやっています。」

「それでだ。パートナーをユウにしてもらえないだろうか」

「え?」


波縷は目をぱちくりしながら団長に理由を聞いた。


「実はな、ユウは恋愛経験ゼロで恋愛に疎いんだ」

「知ってます」


コクリコクリと波縷は頷く


「まぁ、こちらとしては婚約者がいない分、騎士団の仕事を存分にできるから有り難いんだが…」

「パーティーで婚約を申しこまれると」


団長は渋い顔で頷く。波縷は悩んだ。虐めがひどくなると確信しているからだ。だが、だがだ。ユウや騎士団長にはお世話になっている。恋愛に疎いユウが女性に好意を向けられたとしても断れないだろう。それを踏まえて波縷は口を開いた。


「分かりました。ユウさんと会う機会が最近ないので騎士団長から言ってもらってもいいですか?ドレスとかは多分王城で用意してくださるので」

「分かった。ありがとな」

「いえ、私にできることがあれば」


波縷がにっこり笑うと騎士団長は不敵の笑みのようなすんごい悪そうな顔をした。


「今後が本当に楽しみだ…クックック…」

「?」


波縷も波縷で恋愛に疎いのだった。















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