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3話 ダンジョンと秘密

波縷達が来て早一ヶ月、ついにダンジョンに行くことになった。


「!ユウさん!」

「!ハル!」


ダンジョン攻略のためもちろんこの国、ハサーネ国の騎士達も護衛も兼ねて攻略する。その騎士メンバーの中にユウがいたのだ。波縷はすぐに気づき、声をかけるとユウも気づき嬉しそうに波縷を見る。


「お久しぶりです!今日はよろしくお願いします!」

「あぁ、こちらこそ頼む。正直に言って俺達は召喚者組の君等より弱いからな」

「あはは…頑張ります…」


微妙な笑みを浮かべながら話す波縷。そんな時近くからある声が聞こえた。


「イケメンだわ…」

「異世界ってイケメン多いの?あの人ドンピシャだわ」


そういうことだった。ユウはもうもの凄くイケメンだ。異世界アニメの中の主人公といったほうがいいだろうか。会った瞬間召喚者組の女子に好かれるほどのイケメンである。実は波縷もまぁまぁ顔が整っており、メガネを外した瞬間騎士に好かれたものだ。波縷は恋愛経験ゼロなので好かれていることに気づいていない。周りの恋愛はとても気になるのだが。


「「…………」」


目線が痛い。召喚者組の目線が。ユウも騎士の目線が怖いので震えている。


「皆、準備はいいか!」


騎士団長が声を上げると静寂に包まれた。そして、


『はい!』『は!』


騎士と召喚者組の声が合わさった。波縷達はダンジョンの中に入った。


「そういえば、ユウさんって従騎士ですよね?どうしてここに?」

「あぁ、実はな俺はもう王立騎士団に入れるんだ」

「えぇ!?」


王立騎士団とは従騎士で素晴らしい活躍を見せた者だけが入れる場所だ。学力でいえば英国の大学に入るくらいむずかしいのだ。


「3年従騎士で学びそれでようやく行けるのだが、まだ俺は2年目だ。だから従騎士だが騎士団と同じ仕事をさせてもらっているんだ」

「そういうことだったんですね…」


凄い人と知り合った波縷はドン引きした。そして絶対何処でもモテるんだろうな〜と思った波縷だった。そんな時だった。


「「!」」


最初は波縷とユウだけしか分からなかったが、殺気がしたのだ。だがもちろん騎士団長も気づいているわけで、


「何かが現れる!戦闘準備!」


そして魔物が現れた。災害級の魔物と同じで騎士団と波縷だけは驚かなかったが、中級の魔物しかまだ倒したことのない召喚者組は後退した。


「鑑定」


小さな声で波縷がいうと魔物のステータスが現れた。


「毒に弱い…あとは闇魔法」


闇魔法は試したことがないのでできなかったが、あることを思いついた。そして波縷はスカートをめくり単なる好奇心で買った短剣を取り出した。隠蔽魔法で短剣は見せなくしている。鷹也などが災害級に立ち向かっているので鷹也などに当たらないよう考慮する。


「選定」


魔法で場所を決め短剣を投げた瞬間災害級はダメージを受け、攻撃をしなくなった。そしてさすがは勇者と騎士団長というべきか。ダメージで災害級が攻撃できない隙を見逃さず、災害級を倒した。


「やっぱり私は化け物…?デコピンであんなの瞬殺なのに…泣きたいわ…。勝ちすぎて病んできたかも…」


流石に異世界を謳歌していた波縷でもやはり病むこともあるらしい。災害級を瞬殺できちゃうためだが。


「………」

「ユウさん?どうかしました?」

「あ、いや何でもない。ハル、王城についたら質問したいことがあるんだ。」

「?分かりました。」


そしてどんどんダンジョンの魔物を(ほとんど波縷の援助ありだが)倒し、魔物討伐が終了したのだった。


ーーーーーーーーーーー

そして全てが終わり夜になった頃、波縷のドアがコンコンと叩かれた。


「はーい」

「すまない。もうちょっと早く行くつもりだったのだが…」

「!?」


そしてドアの前にいたのはユウだった。


(来るって言ってたの忘れてた!掃除しといて良かった〜じゃない!)


波縷は誰もいないことを確認するとユウの手首を握って部屋の中に入れた。


「すいません、引っ張ったりして…」

「あ、いやいいんだ。」


波縷はよくよく考えたら部屋に2人きりということに気づき顔が真っ赤になった。


「紅茶入ります?いや、疲れていますよね」

「いや、大丈夫だ。もらってもいいか?」

「分かりました。」


波縷は自分の部屋にあるミニキッチンに向かった。そして魔法でお湯を作り紅茶を準備した。その時あることに気づいた。


「ユウさん、甘いものってお好きですか?」

「あるのか!?」


すごいニコニコ笑顔で聞いてくるユウ。波縷は思った。


(あ、好きなんだな、ギャップやば)

と。


「はい、昨日作ったんです。料理は普段そんなにしなかったんですけど、親戚が得意で」


そして波縷は紅茶と紅茶のケーキを出した。そして真夜中に絶対に食べてはいけない禁断の甘いケーキ……を一瞬でまるで慣れているかのように食べるユウ。ギャップが凄い・・・


「とても美味しい」

「良かったです」


食べまくるユウを微笑みながら紅茶を飲む波縷。そしてケーキを食べ終え、紅茶も2杯目に入る時、ユウは真剣な顔になった。


「それで、尋ねた理由なのだが…」

「はい、なんでしょうか?」

「単刀直入に言う。ハル、君は天職暗殺者ではないな?」

「!?」


どうしてそれを!?と顔にばっちり書かれている波縷。だが、一回静かな溜息をして、ユウに話し始めました。


「多分そのことだとは薄々感じていました。ユウさんの言うとおり私は暗殺者ではありません。でも一つ質問してもいいですか?」


こくりとユウが頷くと波縷は口を開いた。


「なんで私が暗殺者でないとわかったのですか?」

「あぁ、魔法を使うと魔素が空気中に増えるというのは来た最初の方で聞いただろう?ダンジョンで災害級が現れた際、君の周辺に強力な魔力と魔素が感じられたんだ。暗殺者は魔法を使えるが、隠蔽魔法を得意としている。体力はあるが、魔力は他の戦闘系天職より少ないからな」

「それだけでわかったんですね…」


なるほど、2年目で王立騎士団に入れる能力を持っている訳はこれかと、波縷は口にしなかったが、よほど凄い騎士なのだと波縷は実感した。


「君の天職を教えてほしい。素振りを見た時点で君はここに来てから努力をしていたことは知っている。だが、その前に姿勢や安定感をここに来てから初めてやったとは考えられなかったのだ。基礎体力が異常なほど高いとしか俺は考えられない」


この人の観察眼は恐ろしいと波縷は思った。素振りを数回見ただけで分かってしまうのだ。騎士団でそのうち重要人物になりそうである。そして数年後自分もいろんなところで重要人物になっているとは思っても見ないだろう。


「私の天職は分からないんです」

「分からない?」

「これを見た方が早いかと」

「これは…!」


波縷はユウにステータスプレートを見せた。そして波縷のステータスプレートはこうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

奈川波縷 17歳 女 レベル:???


天職:??


筋力:380[最大550]


体力:900[最大1780]


耐性:1200


敏捷:2010[最大3100]


魔力:12900


技能:全属性適正・複合魔法・魔力操作[効率上昇][魔素吸収][身体強化][限界突破]・創造構成[複数同時構成]・直感力[自動的]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユウは言葉を噤んだ。驚き過ぎて声が出ないのだ。宮廷魔法師団長でさえ魔力は1200なのに。基礎魔力が50あれば天才と称されているのに。その10倍ある魔力を目の前の少女が持っているのだ。それに創造構成や複合魔法、そして見たことがない全属性適正がステータスプレートに記載されているのだ。異端者認定されてしまう可能性すらあるのだ。そして長い時間がたったあと口を開いた。


「ユウさん、私のステータスプレート持ってみてください」

「こうか?って…」


ユウは波縷に言われるがまま机に置いていたステータスプレートを持った。その瞬間ステータスプレートの表記が変わったのだ。その表記はもちろん暗殺者。


「指紋認証でも付いているのか?それにしても、こんなすごい力だとは…なぜ隠して…いや、これが原因か」

「はい。初めてもらった時天職が表示されず驚いたんですけど、隠蔽魔法で暗殺者という天職が表示されたので私の天職は隠したほうがいいのだと思いました。それに、勇者の招輝くんがこの世界では一番凄いとされているんです。私がこの事を話した場合、招輝くんがどんな気持ちになるか分からないので」

「なるほど、まぁその話を聞くと納得出来るな。」

「ありがとうございます。」

「なぜ礼を言うんだ?」

「ユウさんが初めてだったんです。素振りの凄さにも。魔法のことも。私は直感力を持っています。この人になら話してもいいと分かったんです。だから、話しかけてくれて、分かってくれてありがとうございました。」


波縷は基本ネガティブで1人で抱え込むことが人一倍多い。今回のこともそうだ。勇者が一番凄いという考えで騎士団長にも見てもらったことがあるが手を抜いていた。隠すのが得意ではあるが嫌いである波縷はユウに気づいてもらい嬉しかったのだろう。直感力が反応し、信じてもいいと感じたように。


「こちらこそありがとう。教えてくれて。それでこれは提案なんだが…」

「?」

「波縷、魔法騎士団に入らないか?」

「え?」


波縷は驚き、目を見開いたのだった。















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