1話 天職:??ってどういうこと?
教室からクラスメイトが全員消え、全員がついた場所はシャンデリアがあるとても高そうな場所だった。全員が戸惑いながらキョロキョロしていると、初老の男がこちらへやってきた。
「ようこそいらっしゃいました。勇者様、そして召喚者の皆様。」
この言葉を聞いて理解したのは1人しかいなかった。それはもちろん波縷である。その理由は言わずもがな。
「質問をさせてください。貴方方は恐らく何かの召喚術で私達を呼び出した。この世界のいえ、この国のために呼ばれたのですね?」
普段話しかけないと話さない波縷がめっちゃ質問したのでクラスメイト全員が驚いている様子だ。単なる好奇心からなのだが・・・
「えぇ、肯定いたします。貴方方をお呼びした理由はダンジョン攻略と魔物討伐であります。」
そして初老の男は波縷達を呼んだ理由を喋り始めた。
この世界、ナールには魔物が生息する魔界が存在するそうで、聖女や騎士達が魔界から来た魔物を討伐していたが、最後の聖女が亡くなり、騎士達だけでは手が足りなくなり、いずれ世界が滅んでしまうと各国のもの達が思っていた矢先にダンジョンが4つ見つかった。ダンジョンは魔物より弱いものの、結構な強さで、ダンジョンのことも知るため呼ばれたらしい。
まとめると、魔界から来た魔物の討伐とダンジョン攻略のために呼ばれたらしい。元々波縷が予想していたのとほぼ一緒で興奮気味で波縷は話を聞いた。
「皆様はこの国のものよりもとてもレベルが高い。天職も全て戦闘職でしょう」
「天職とは一人一人あった戦闘職があるということですか?」
「その通りでございます」
なんとこのナールには天職があるらしい。ガチの異世界にいる波縷は目がキラキラしていた。中学の頃、異世界召喚されたら何しようなど妄想してニヤニヤしていたことを思い出す。リビングでも妄想していたため、家族に後退りされたが・・・。元々異世界アニメを教えたのは波縷の父親だったが、父親よりも詳しくなった。
教えた当の本人(父)は波縷の中学の頃など自分の中学を述懐した気持ちになり、頭を抱えたが自業自得だと、妻にも息子(波縷の兄)も慰められず妻など息子娘の前で付き合いたての話をしながら揶揄い始めたのでまた頭を抱えた。
妻が揶揄い、それを聞いて笑う息子。自分の中学を述懐しているような娘の姿。
波縷の父は中々哀れな日々を過ごしていた。
閑話休題
「皆様にはこちらへ来てもらいます。そこでステータスプレートを渡します」
(ステータスプレート…なんてテンプレなの!ナール最高!)
1人召喚されたばっかなのに異世界を真っ先に謳歌している波縷。
他のクラスメイト達も少し落ち着いてきたのか、ちゃんと話を聞くようになった。ちょうど休み時間が始まったばかりだったので、教師はおらず、本当に高校生だけである。
そして、ネイチェルについていくと球技場のような場所に連れてこられた。
そこで一人一人にステータスプレートが渡された。ネイチェルの言う通り治癒師、剣士、結界師、双剣師など戦闘職が全員だった。そしてナルはというと、
「何…これ…?」
波縷は動揺した。非戦闘職でショックを受けた訳ではない。
「天職??って何?しかもレベルも?になってるし」
そういうことだった。他のクラスメイトは全て天職名が書かれているのに波縷だけ〝??〟なのだから。
「君が勇者か!」
「やっぱり勇者は招輝くんか」
招輝鷹也イケメンで学力も上位で勉強もできるというまさにカリスマである。スクールカーストだと上の上である。波縷にも気を遣ってくれる王子様のような男子である。
「魔力1000!素晴らしい!」
「は?」
波縷は動揺した。その理由は、
「私、魔力12000なんだけど…」
まさかの勇者よりも強い波縷の天職は一体何なのか。だが、波縷は言わなかった。なぜか、ステータスプレートを持つと、『隠蔽魔法をかけますか?』という表示が出てしまうのだ。指紋認証ができるらしく波縷がステータスプレートを持ってないと天職は分からないらしい。ちなみに隠蔽魔法をかけると天職暗殺者になる。
暗殺者は異世界アニメの登場人物でも大好きなので、嬉しい波縷であった。だが、暗殺者の表示になると魔力が70になるのだ。どういうことかさっぱり分からないが、一応天職は伏せて暗殺者としてここで生きようと決めた波縷であった。
だが、波縷は心配になることがあった。
「体力9000だけど、運動神経ないから大丈夫かしら…?」
インドア一択、外?出かける意味どこにあるの?カラオケでアニソン熱唱するくらいでしょ?タイプだったので、運動は全くできない。テストの点数は意外といいが、体育で平常点を落とすという運動音痴にはよくあるやつである。
「まぁ、頑張ろう」
波縷はそう誓ったのだった。
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