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いつかの夢  作者: kaikoyon
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遠い昔話

 この村には三つの決まりがある。


一つ、人間と魔族は共に共存し、友好な関係を築かなければならない。

一つ、禁止区する場合へは何人も立ち入りを禁止する。

一つ、魔星石の保持を禁止する。


 これらははるか大昔、人間の王が率いる栄光倭人国(アリュート)と魔族の王が率いる魔帝輪王国(デリーム)の間で戦争が起こったために作られた。その戦争の発端となったのが「魔星石」である。魔星石は星塊(エナター)と呼ばれる魔法の源の塊であり、魔星石があればどんな者であっても上級魔法を簡単に扱えれるとされている。この魔星石をめぐって果てしない争いがあり、その争いを止めたのが人魔の英雄、セエズ・スイオディカである。セエズはその時代では珍しかったとされる人間と魔族のハーフであり、たった一人で両国を滅亡まで追い詰めた。セエズは今でもこの村に決まりとして残っている制約と、その他セエズから提案による制約により、両国は滅亡を回避した。それから数十年の時が経ち、栄光倭人国と魔帝輪王国は人魔友好国(パーモンフレントリー)の一つの国になった。これが私たちの国の始まりというわけだ。

「先生ー!」

 先生に質問をしたあの子は「歌承三実(かしょうみつみ)」さん。「歌星(スタング)」という(うた)を実態化させることのできる力を持つ歌承家の娘だ。

「どうした、歌承?」

「セエズはどうやって両国を滅亡まで追い詰めたのですか?」

「セエズは勇者、大魔導師、精霊師などの様々な才を持っていたとされていて、そのどれもが一生をかけても誰も追いつかないと思わされるほど可憐で繊細なものだったそうだ。しかし、その現実離れした力からセエズは人々が作り出した架空の英雄なのではないかと考える学者も少なくはないそうだ。」

「先生はセエズは存在したと思ってるんですか?」

 俺は「起勇秋夜(きゆうしゅうや)」。訳あって起勇家っていう勇者一族の家系の養子だ。

「起勇、お前が質問をするなんて珍しいな。」

「まあ…。」

 はっきり言って俺は勉強に興味がない。ただ、セエズっていう言葉をあの人から聞いたことがある気がするのだ。名前も姿も思い出せないあの人が言っていた気がする。

「先生はセエズは存在すると思う。あまり人前では言えないのだが、私は禁止区と言われる場所に入ろうとしたことがある。」

 真面目な先生ということもあり、クラスが驚きに包まれた中、先生は話を続ける。

「禁止区の向こう側には特に変化もないこの村の風景の延長上のように感じた。しかし、禁止区を越えようとするとそこにはこの村と一切見た目は変わらないが、明らかに何かが違う風景があったのだ。引き返そうにも引き返せない。そんな場所だった。上級魔法の魔結界鼻で笑えるレベルの魔結界であった。あれだけの力を使えるのはきっとセエズだけだろう。その後は気を失ってしまい、気がついたら家で寝ていた。」

 クラス中が笑いに包み込まれる。あの真面目な先生も面白いことを言うのだなと思った。

「先生、それは寝てただけですよ。」

 クラス中が笑いながら先生に言うと、

「先生も最初はそう思っていたのだが…。いやそうかもしれないな。」

 先生は何かを言いそうな気がしたが、それを聞いてはいけない気がして、聞くことができなかった。それにしても、禁止区ねぇ、そこならあの人を思い出せるかな?

【用語解説】

・起勇秋夜

人間。起勇家の養子。ある日を境に起勇家の養子となった。秋に関する能力を持っており、おれは秋夜が秋のイメージ次第で能力が変化する。養子に入る前の記憶は曖昧で両親に関する記憶などもない。密かに歌承に想いを寄せている。


・歌承三実

人間。歌承家の長女。詩を具現化させることができる。


・先生

禁止区に入ったことのある人間。何か隠し事があるようだ。


・セエズ

古代の戦争を終わらせた人魔の英雄。その膨大な力から架空の英雄だと考える者も多い。


・初級魔法

学校で教えられるレベルの魔法。日常生活で使うものもある。このレベルの魔法を使う者を魔導師見習いという。


・中級魔法

このレベルの魔法を使う者を魔導師という。初級魔法と異なり、扱えるのはごく一部である。


・上級魔法

このレベルの魔法を使う者を大魔導師という。魔導師の中でも選ばれた者しか扱うことができない。


・勇者

かつては魔族を倒すために選ばれた人間のことをそう呼んでいた。今は平和を守るため、悪事をはたらく者にのみ刃を向ける。


・精霊士

上級精霊を扱うことができる者を指す。中級精霊を扱えるものを精霊使い、初級精霊を扱うものを精霊見習いという。


・魔星石

星塊の塊であり、上級魔法すら簡単に扱えるとされている。現在、どこにあるのかは不明である。


・星塊

生物の誰しもが持っている魔法の源。生物の誰もが持っているがその量はとても少なく、鍛錬がなければ初級魔法も扱えない場合がある。


・人間

純粋な人間の血を引く者。


・魔族

純粋な魔族の血を引く者。


・人魔

人間と魔族のハーフ。昔は人間と魔族は敵対関係にあったが、中にはそれを気にせず、恋愛をしている者もいたため、昔からいたとされている。人間と魔族が共存する今となっては、人間や魔族の割合よりも人魔の割合の方が大きい。


・栄光倭人国

人間のみが暮らしていた国。古代の王が原因で魔帝輪王国と戦争が始まった。


・魔帝輪王国

魔人のみが暮らしていた国。古代の王が原因ぜ栄光倭人国と戦争が始まった。


・人魔友好国

人間、魔人、人魔の種族が暮らす国。人口は人魔が最も多く人間と魔族は少数民族となった。

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