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14/17

10ー1

「ほんとにごめん。

 ちょっと取り逃がしたばかりに、あんなことになっちゃって」

「まったく、あいつにもしものことがあったら、どうするつもりだったんだ」


 もっとも一番悪いは、例の花のことを洩らしてしまった自分にあるのだろうがと、レグルスは自嘲の笑みをこぼした。


 アネッタを塔に送るついでに訪ねてきた友人を、いつもなら(といっても、数えるほどだが)問答無用で部屋から蹴り出すレグナスだったが、今日はチェスの誘いに乗ってみることにした。


「にしてもあのレグルスが、やっと手紙の返事が来たと思ったら...ハハッ」

「笑うな」


 今までの世話係とは違うアネッタにレグルスは、暗殺者かあるいは篭絡のために送られた密偵かと疑い、友人に手紙で素性を問いただしていたのだが...。

 

「毎回のろけ話が届くものだから、もう...」

「行動を逐一報告してただけだろ」

「しまいには...新聞に載ってたケーキが食べたそうだから、買ってやれって...ブフ」

「お前、あとで覚えてろよ」


 あの時のアネッタの喜びようといったら、頼んでよかったとは思った。

 こうして笑われるまでは。


「あの時は、陛下と祝杯をあげたんだよね。

 か~な~り、高いやつ」

「...あの人は、どうなんだ?」


 ここ最近、守護魔法が弱まっていることに、気付かないレグルスではない。


「...もう、長くないだろうね。一度会っておく?」

「バカ言え。合わせる顔がどこにある?

 ...チェックメイト。とっとと帰れ」

「おい、レグ...痛ででで!」


 体が鈍っているとはいっても、それは執務漬けである向こうも同じこと。

 さっきのお返しにレグルスがアイアンクロ―を決めると、友人は情けない悲鳴をあげた。

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