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レグルスが滅ぼしたことになっている町村は、大半が軍による略奪で、見つけるたびに全滅させて自分の悪行にしていた。
「いつか、お礼を言いたいと思っていました。
お世話係として雇われて、あんな形で再会するとは思いませんでしたが」
「...殺し、まくったのは...事実だ」
アネッタたちを助けたのは、ただの気まぐれに過ぎない。
戦場の兵はまだいい。
通りすがりの行商人を殺した。
老人や女子供だって殺した。
『大バカ者が...』
彼女の心を踏みにじった。
「俺の、したことは...赦され、るもの...じゃない」
「だったら、私が赦します」
レグルスの握られた手が、アネッタの頬に触れる。
「あなたのおかげで、私はこうして生きています。
あなたがくそったれな戦争を終わらせてくれたから、父だけでも帰って来れました。
あのあと、双子の妹まで生まれたんですよ。
あなたがいなかったら、生まれなかった命です」
アネッタの涙が、レグルスの手を伝う。
「だから、あなたも...自分を赦してあげてください」
レグルスの視界がにじむ。
「うるさい。
お前、なんかに...お前なん、かに...」
レグルスはもう片方の腕で目元を隠すと、10年ぶりに泣いた。




