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プロローグ
今から百年前、傾国の美女を巡って争いが始まり、死んでもなお禍根は残った。
しまいには、どこかの王が真実の愛だとかで、隣国から嫁いできた姫を虐待死させたとか。
嫁入り予定だったどこかの姫が、駆け落ちで同盟を台無しにしたとか。
そうやって、大陸中に燃え広がった戦火は収まってもまた燃え上がり、多くの血と涙が流れた。
そんな中、一人の女性が立ち上がった。
白銀の髪をたなびかせ、金緑の瞳で先を見据え、見事大陸を平定してのけた。
もう、男衆が戦に駆り出されることも、村や町が焼かれることもない。
ようやく訪れた夜明けに、人々は歓声をあげた。
のちに、百年戦争と呼ばれるようになったそれを終わらせた英雄にして、識字率の向上、水道の整備、その他もろもろと多くの偉業を成していった、栄光の王。
偉大で慈悲深き、我らが母なる聖王クラウディアの治世は、今もなお続いている。