二月二十八日
お、光ってる。
「うんうん」
隣でお母さんが頷くのを他所に、まじまじと見詰める。見た目は普通のピアスだ。パッケージには『書込み日記』って書いてあった。電池を入れただけで日記を書いてくれると、言っている。
「耳に付けてあげる。お母さんに貸して?」
「うん。」
ピアス開けた記念に買ってくれたんだけど、個人的にはもう少し普通のピアスの方がいいと思う。色も変えられるって書いてるから、余計に初めてとは似合わない感じがする。
「似合うじゃん」
お母さんが嬉しそうに、にひひと笑う。その笑顔の右には今付けたのと同じ物が光った。きらり、と。
「似合う似合う」
後ろから肩に手を乗せたパパも同じく一言。
「ん、いいかも。」
結構お洒落な形をしてるけど、悪くない。
しゃらしゃら。
お洒落だけど、邪魔じゃない。
しゃらしゃら。
動くと音がするなこれ。
しゃらしゃら。
音は邪魔かも。
「お揃い……ふふ、娘とお揃いのピアス…」
「耳痛くない?」
しゃらしゃらと顔を動かしまくると耳が心配なのか、パパが優しく問い掛けてきた。お揃いのピアスに気を取られているお母さんとは全く違う。
「大丈夫。」
少し強めに頭を撫でる手に従って頷く。
「よかった」