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【光】のような貴方と永遠に  作者: 雪月花


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8/9

8:離別

 ***=============***


 ある所に可愛らしいお姫様がいました。

 お姫様にはいつも側で守ってくれる騎士がいました。

 お姫様は幸せに暮らしていましたが、そんなお姫様を好きになってしまった人がいました。

 その人は魔王でした。

 お姫様は魔王を怖がり逃げてしまいました。

 怒った魔王はある日の夜、暗闇の中から現れて誰にも気付かれずにお姫様様を攫ってしまいました。

 

 騎士はお姫様を探して世界中を旅しました。

 お姫様はなんと世界で1番深い海の底に閉じ込められていました。

 世界中を旅する間に騎士は聖剣を手に入れており、深い海をそして星空をも切り裂く程の聖剣の力でお姫様を救い出しました。

 

 そして2人で手を取り合い、魔王を倒しました。

 それから2人は決して離れることなく、いつまでも一緒にいました。


 ***=============***


 

 

 アマリリスはいつかシアンが話してくれた絵本の夢を見た。

 お姫様はアマリリス。

 騎士はシアン。

 ……じゃあ魔王はだぁれ??

 

 夢現(ゆめうつつ)の中アマリリスはふと思った。


 

 

**===========**


 日に日に戦況は悪化した。

 アマリリスがいるのは戦争が始まった地域とは反対側の国の端だったが、戦況の知らせはここまで届いた。

 戦争から逃げてくる民も沢山おり、アマリリスは嫌な噂を聞く機会も増えた。




 しばらくすると、とうとう王都が戦場になった。

 

 ……エスメルお姉様……

 ……みんな……


 家族の無事を願っていると、エスメルお姉様が古城に逃げてきた。

 

 逃げてくると言うことは、王都はおそらく……もう……




「ジェイドお兄様が戦死したわ」

 戦うため騎士服を着て髪を一つにまとめているエスメルお姉様から衝撃的な事実を知らされた。


 アマリリスは震えながら涙した。

「…………お兄様……」

 俯くと絨毯に涙がポタポタ落ちた。

 シアンが落ち着かせようと優しく背中を撫でてくれる。


「エスメルお姉様……私を帝国軍に差し出して下さい。こんな戦争終わらせて下さい」

 アマリリスは泣きながらもエスメルお姉様を見据えて言った。

「そんなのダメだ!」

 シアンが叫んだ。

「アマリリス……」

 エスメルお姉様は悲痛な表情をした。


「グリード王子が……私を奪うために戦争しているという噂を聞きました。……そうなのでしょう?」

 アマリリスはシアンとエスメルお姉様を涙で潤んだ瞳で見つめる。


 古城付近に逃げてきた民たちからの噂が嫌でも耳に入った。

 帝国のグリード王子がアマリリスを欲しがったのに、ジルモネア王国が頑(かたく)なに断ったのだ。

 長いあいだ話し合いの場はもたれていたが、頷かないジルモネア王国に痺れを切らして帝国が攻め入ってきたのだ。


 帝国はもともと交戦的な国であり、従わない国にはすぐに牙をむく。


「ダメよ……だめ。アマリリスはここから隣国へ逃げなさい。お兄様の死を無駄にしないで」

 エスメルお姉様がアマリリスの両肩を掴んで言い聞かせるように言った。

「グリード王子に貴方を差し出しても……アマリリスは絶対に幸せになれないわ。非道な王子だもの……」

 グリード王子は加虐心のある王子だった。

 妃になったとしてもアマリリスはジルモネアの第五王女で権力も地位も低い。

 どういった扱いをされるのか想像が出来た。


「……エスメルお姉様は?」

 アマリリスはエスメルお姉様に抱きついた。

 どうか一緒に逃げて欲しい願いを込めて。


 けれど、エスメルお姉様は一度アマリリスを抱きしめ返すとそっと離れた。

「私は、ここに付いてきてもらった王国の兵たちと戦います。お父様たちも王都で戦っている。残った王族として、ここを守ります」

 エスメルお姉様がそう言い切った。

「じゃぁ、私もっ!!」

 アマリリスが叫ぶ。

 けれどそれを拒絶するようにエスメルお姉様がアマリリスに背中を向けた。


「アマリリス……貴方はお父様が言うように王族じゃないわ。だから、ここに必要ない。……シアン様、アマリリスを連れて行って下さる?」

 背中越しにエスメルお姉様の厳しい声が聞こえた。

 アマリリスは泣き叫んだが、シアンに後ろから抱きしめられ強制的に部屋を退出させられる。


 閉まりゆく扉の向こうでエスメルお姉様がアマリリスに振り向き微笑んだ。


「ごめんなさいね、アマリリス。わたくしがパーティに誘ったからグリード王子と会ってしまった……貴方は幸せになってね。私の可愛い妹」

 エスメルお姉様が泣きながら笑っていた。




**===========**


 アマリリスは馬に乗っていた。

 シアンが乗馬している後ろに横乗りし、しっかりとシアンの腰に手を回していた。

「落ちないように、しっかり捕まっていて下さい!」

 前からシアンの叫ぶ声がする。

 古城近くに敵が攻め込んできたため、急いでいたのだ。

「このまま国境まで行って、隣国へ抜けましょう!」

 シアンが続けて叫ぶ。


 アマリリスは力無く聞いていた。

 

 ……お父様、お兄様、お姉様、国民の人たち……みんな、ごめんなさい……

 私にもっと王族としての力があれば……

 こんな守られるだけじゃなくて、みんなを守る力があれば……


 沢山の人を巻き込んで、沢山の人の命を奪ってしまった


 ごめんなさい。

 ごめんなさい。


 アマリリスは静かに涙を流した。





「止まれ!! そこに居るのはアマリリスではないか? こちらに渡せ!!」

 古城周辺の町を抜け、草原を走り出した所でよりによってグリード王子が率いる小隊に見つかってしまった。


 シアンは機転を効かせて、馬の進行方向を変えて止まらずに全速力を出す。

 まともにやり合っても勝ち目は無い。


 それをグリード王子が馬で追いかけてくる。

「やっと見つけた!!」

 アマリリスの後方から高笑いがきこえる。


 こわい……!


 やっぱり捕まりたくない……!!




 アマリリスはシアンの背中をギュッと抱きしめた。

 グリード王子の剣がシアンに向かって振りかざされる。


 


 

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