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投資1枚目 転生…転移…パチンコは死んでもやめられない

35歳 無職 素人童貞

月5万の安アパートで独り暮らしをしており生計はパチンコで立てている。

いわゆるパチプロである。

貯金もなく日々の楽しさもなくあるのは将来の不安だけ。

それが俺、高崎海である。

大学卒業から13年…パチプロとして生活してきた俺にはもうこの道以外に生きるすべをしらないのだ。

そうして俺はいつものようにパチンコ屋に通う。素人が辞めた期待値のある台をハイエナし今日の生活費を稼ぐ、いつもと変わらない日常

のはずだった。

(もうすぐ天井だな、これで今日も目標金額をかせげるな)

そう考えながら上部のデータランプを確認する。

と、同時に俺の背中に激痛が走る。

「っつうぅ…!!」

声にならないうめき声をあげながら台に倒れこむ

「それは俺が打ってた台だぁぁぁぁぁ」

「お前…なに言って…」

次々と上がる悲鳴と怒号、視界のはしで我先にと逃げ出していく人々が見える。

薄れゆく意識の中で

(俺の人生ってこれでおわるのか…まだ…まだ…)


(悲しき人生をおくりし者よ…そなたが望むなら…)

「まだ死にたくない!!!」

飛び起きた視界に入ってくるのは異様な光景だった。

「なんだよこれ…どういうことなんだよ」

真っ白い空間に数えきれないほどの球体が浮遊しておりその中には燃え盛る大地や一面に広がる農地、大量の魚が泳いでいる海…様々な光景が映し出されている。

目の前の光景に目を奪われていると

「私に救いを求めし者よ、そなたの望みを申すがよい」

俺の前には地面につくほどの長い髪と言葉に表せられないほどの美貌の少女がたたずんでいる。

「我のことを無視するとは…まあ無理もないか」

「ここは球、我は貴様らの世界で言うところの神である。」

(球…神…意味が分からない、なんで俺はここに、なんで俺が)

まとまらない思考がさらに俺の思考の邪魔をする。

「ふむ…まだわからぬか貴様は死んだのだ。そして我が貴様をここに呼んだのだ」

「お前が俺を?なんで」

神を名乗るその少女はあきれたような眼をしながらけだるさそうに口を開く

「我の質問に答えないくせに自分は質問しかしないのだな」

「はっきりともう一度言おう貴様はあの世界で死んだのだ。そして死ぬ際に貴様が望んだ願いを我がかなえたのだ」

「願い…俺はまだ死にたくないって」

「はぁ…まだ理解できないか。しかし望みは聞いてやったのだこちらの要件も聞いてもらうぞ」

「は…?要件ってなんだよ、それよりもっと聞きたいことが

「5時になりました。業務を切り上げてください。今日の一日お疲れさまでした。」

どこからともなく謎のアナウンスが聞こえてくる。

理解が追い付かない。なにが起こっているかが理解できない。ここはどこで目の前のこの娘は結局、何者なのか

そんなことを考えている俺をしり目に謎の少女はどこかへ行こうとする

「おい、待てよ俺は何も…」

少女は俺の後方に指をさす

「5時、定時だから今日の業務は終わり。何か知りたいなら奥の資料室に行って自分で調べて」

そういうと、俺が言い返す前にどこかへと消えていった。

何もわからないまま呆然と立ちつくす。

「何もしないよりは…ましか」

そういって俺は指をさされた方向に進んでいく。ここはどこで今から何が起こるのかそして俺は何をすればよいのか、疑問が尽きることはない。そんなことを考えながら歩いていると目の前に資料室と書かれたラベルが張られている扉が見えた。

扉を開けた先には壁一覧に敷き詰められた書棚と部屋の中央にポツンと一つだけ机があった。

周りを見渡しながら中央の机に近づく。机の上には「転生初心者のすすめ」とかかれた本がおかれてあった。

その本を手に取りぱらぱらとめくっていく。

本の中には様々なことがかかれていた。今いるこの謎の空間のこと。無数に浮かんでいた球体について。そして俺におこるこれからについて。ひさしぶりにこんなに頭を使ったからか、それとも俺の理解を超える出来事が連続できたせいか、どっと疲れが出てきた。

意識を失うように俺はその場に倒れるようにして寝た。


(目覚めなさい転生者よ…)

脳内に響いてくるその声で俺は目覚める。

「ようやく起きましたか あなたがなかなか起きないから私の業務が進まないじゃないですか」

「そんなこといわれても…」

起き掛けにいきなり嫌味をいわれるとは思いもしなかった。神様というものはつくづく自分勝手なものだと考えてしまう。

「考えていること筒抜けですよ。」

ギロリとこちらを睨んでくる。

「しっかりと説明書は読んだようですね。それではこちらに記入をお願いします」

すると目の前に転生同意書とかかれた用紙が浮かび上がってくる。

それを手にすると同時に真っ二つに破りさる。

「なっ!何するんですか!」

「こんなふざけた契約結べるわけできるわけないだろ!馬鹿かっ!」

そういって俺は地面に座り込む

「確かに俺は死ぬときにまだ死にたくないと思ったが!こんなことは望んでない!」

「そんなこと言われても知りませんよ!こちらはあなたの望みを叶えようとしてるだけです!文句を言われる筋はありません!」

「こんな願いじゃない!元の世界にいますぐ戻せ!」

「無理なんです!説明書呼みましたよね!?一度死んだ者を同じ世界に戻すのは天界規定に違反するんです!」

「知るか!元の世界に返してもらうまで俺はここに居続ける!」

「わかりました!ならそこに居続けてください!」

ムッとした表情で顔を俺からそむける。

「後で謝りに来ても知らないからな」

「ふんっ」

顔を真っ赤にさせながら少女はどこかに消えていく。

俺はふたたび資料室に向かう。情報はどの世界でも有用なのだ。

そうして俺はこの世界にきてから1か月がたとうとしていた。

資料室にあった書籍はほとんど読みつくした。そして確信した今この空間でこの世界につて一番詳しいのは自分だと。


「ねぇスカラあなたこの前来た転生候補者の転生準備できてるの?もうすぐ転生期間すぎるでしょ?

「えっ…転生期間?」

「まさか忘れてたの?噓でしょ!?学校で一番最初に習うじゃない!」

「わ、忘れてた どうじよう」

目じりに少しのしずくがみえる。

「どうするも何も今すぐ本人のところに行って転生同意書に書いてもらうとしか…

「行ってくる!!!」

バサバサと周りに積み上げられた書類を落としながら部屋を出ていく

「大丈夫かしらあの子…」

とてつもない勢いでイノシシのようにこちらにスカラが走ってくる。

俺は闘牛士のようにそれをひらりとかわす。

「なんでよけるんですか!」

「ようやく来たか転生司者番号39番グラッシュ・スレット・スカラ」

やれやれと表情をわざとあらわにする。

「な、なんで私の名前を」

「転生司者一覧の職員リストで確認した。資料室にあったので調べさせてもらったよ」

「まさかあそこにある資料…全部読んだんですか!?」

「あぁもちろん。ちなみに趣味は旅行で休みの日には下界に降りて遊びに行くらしいな」

「そ、そんなこまで…どこまで知ってるんですか!」

もはや驚きの表情を隠そうともしない。

「資料に書いてあることは全部しっているよ。あと3日で俺の転生期間がきれることも」

「なら今すぐこの書類にサインを…」

俺は書類を受け取り真っ二つに破りさる。

同時にぎゃあああとスカラが悲鳴を上げる

「どうして…」

「言っただろ俺は元の世界に戻してもらうと」

「そんなこと言われても無理なのわかっていってますよね」

「あぁわかったうえで言ってる」

戻せ、無理だと延々と口論が続く。

「なんでそんなに嫌なんですか!いいじゃないですか新天地で心機一転新しい人生なんて」

「誰が好き好んで火山しかない世界や危険生物しかいない世界に行かないといけないんだ!?せめてまだマシな世界ならまだしも…

「今マシな世界といいましたね!」

スカラはニタリと笑う

「ここなんてどうですか!?つい先日人魔協定が結ばれてとても平和になった世界です!」

「いやだから俺は」

「永遠に無の世界をさ迷うより転生して頑張ったほうがいいと思いませんか」

確かに正論である。しかし、それだけでは納得できない。

「同意書にサインしてもいいが…「わかりました!今すぐ用意します!」

「待て待て待て、サインしてもいいが条件もある」

めんどくさそうな顔をしながらスカラは覗き込んでくる

「まだ何か不満があるんですか?もういいじゃないですか」

「転生規定には他世界から転生させる際にはより早く現地にとけ込めるよう能力を授けるようになっているはずだ!その説明をしてもらわないと困る」

「能力ですか?まぁ規定上はそうなっていますが…本当に必要ですか?

「当たり前だ!ないよりは断然ましだ」

「いいですけど、あの規定は形骸化してて得られる能力はろくでもないものですよ?」

「それでもいい、あとは規定に基づいて加護さえつけてくれれば同意書にサインしてやる」

「こんなことになるなら願いなんて聞かなければ…」

スカラはぶつぶつ言いながらどこからか書類を大量に持ってくる。

「転生同意書に能力授与証明書と確認書、ほかにも書いてもらうものがたくさんありますからね」

見るだけでうんっざりするほどの量の書類であったがすこしずつ記入していく。

2日ほどかかったが全部の書類に記入し終わる。

「なんとか間に合いましたね…これで転生の準備は整いました」

「まだ納得いかないがグダグダ言っても仕方ないしな」

会話をしながら転生陣のある空間へと向かう

「こんなに粘られたのは初めてです。まぁ何はともあれ間に合ってよかったです」

「何もなしで転生させられるよりははるかにましになったな」

「向こうの世界は平和な世界だと思いますから心配することないですよ」

転生陣のある空間に着く。そして俺は転生陣の中央に立つ。

「転生者高崎海よ。与えられた使命を全うできることを祈っています」

ニコッと笑う。少し心を奪われそうになったがぐっとこらえる。

スカラが転生の祝詞を唱え始めると地面から光が湧き上がる

「頑張ってくださいね」

そうして俺は光に包まれ意識を失った。


俺が目を覚ました場所は森の中だった。近くには川がありさっきまでいた空間との違いに少し戸惑いを覚えてしまう。

俺は転生前にスカラに言われたとおりに言葉を発する。

「メニュー オープン!」


後書きでは本編に出てきながらも説明しきれなかった単語の説明をしていきます。

本編とはあまりかかわることがないのでお時間がある人やより詳しく知りたい人は是非お読みください。

①球 一つの世界を球体に押し込めたもの。生成されたばかりの世界を球に押しこんでいる。様々な世界があり海しかない世界やマグマが無限に湧き続ける世界、平原のみの世界などやや失敗作が基本的には押し込められる。


②神 作中に登場したスカラや同僚の子など 正確には神ではなく転生司者といって完成した世界から人を集め未完全な世界へと転移、転生させる役割の天使である。彼女らの上の上の上に唯一神が存在する。



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