二話
あれから日は経ち、雪は花吹雪に変わっていた。
そうして執務室にてロワール伯爵とお話をすることになった。
「ご準備の方していただきありがとうございます」
俺は深々とお辞儀をする。
俺は今までお金などの準備はしていたが受験の用意はロワール伯爵がしてくれていたのだ。
「構わん、これを」
ロワール伯爵は俺に受験用紙をお渡しされる。
もらうと軽くお礼を言う。
「では行っていきます」
これ以上の時間稼ぎはもう無意味だ。
「ああ、行ってこい」
俺とロワール伯爵は笑顔をしていた。
そうして執務室をあとにした。
国立魔法魔術第三校は首都であるカイヱーミにあり、伯爵領から定期馬車に乗れば三日の距離にあるため受験日の四日前に出ることした。
そうして今は定期馬車の中にいるのだが..困ったことがある。
「あんたも第三校を受けるんだろ?なら休憩している時に戦ってくれ」
そう戦闘狂に絡まれてしまっているのだ。
困った、俺は戦闘に関して初心者なのだから勘弁してほしい。
「俺は戦闘やったことないし、座学で点を取りに来ているからしない」
さっきから俺はそう言っているのに全く聞いていない。
全く困ったものだ。
そうしている間にも無常にも休憩場へと着いてしまう。
俺は馬車が止まったと同時に出て隠れられそうな場所を探す。
「あった」
いい感じなところがあった。
そして大きな岩裏に隠れることにした。
ここは探そうと思えばすぐに見つかるだろう。しかしそれでいい。
だが見つかることはなかったその代わりに、
「キャーーーーー!」
と悲鳴が聞こえた。
さきほど乗っていた馬車から。