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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
幸せをもたらしたネコ

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11 さぶろう公園に行く

ネコの調子がよろしくなかった。

医者からは大丈夫だと言われたのだが、あんなに活動的だったネコが、最近では日がな一日寝てばかりいるので心配でたまらなかった。


「あの、大山田さん…。基本、猫はそうなんですよ」

俺の長い愚痴ぐちのような、惚気のろけのようなネコの話をさえぎって、猿渡さんはため息まじりに言った、

「まぁ、ネコちゃんはちょっと普通じゃないですもんね…」

「だろう?!だから心配なんだよねっ…」

前のめりになって続きを話そうとしたが、


「てか、大人になったんですよ。もう仔猫って感じじゃないですもん。人間だって子どものときは何にでも興味あるじゃないですか。もぉそーゆう時期が過ぎたんだと思いますけど」


「…っ」 


俺は動揺した。何処でどうしていたかわからない、あの一緒にいなかった数ヶ月…。そうか、俺のもとを離れていたあのときに、知らない間にいろいろ経験を積んで大人になってしまったのか…

俺よりうんと年下の女性にそう言われて少し恥ずかしくもなるが、それにしたって、急すぎなのでは?!


「人間とは違うから…。子猫の姿なんて一瞬ですよぉ」

猫としか思っていない猿渡さんにはそうかもしれない。しかし、俺にとってネコは半分は人間だったのだ。まあ、もう人間などには変わらないとは思うけど…俺も人間にする気はないのだけれども。

…だよな?



そう思ってることはおくびにもださずに、俺はネコの両前脚を持ってだらんとさせながら膝の上にのせた。確かに、ぶら下げた状態のネコは随分と長くなった気がする。

「ミャーン」と可愛らしく鳴いた後、グルグルと喉を鳴らして俺の腹に顔を擦り付ける。俺はやにさがった。


「マイクロチップが入れられないなら、せめて首輪したら良いんですよ」

「まぁね…、でも俺の猫じゃない(設定だ)からなぁ」

「首輪くらいなら良いでしょう?」

ふとネコをみると、らんらんとした目で俺たちの会話を聞いている。ネコとしては猫と人間、どちらが都合が良いのだろう。まさか人間の方になりたくて猿渡さんの話をうながそうとしているんじゃないだろうな?拾ったときは猫 (のようなもの)だったが、最近流行りのファンタジー小説みたいに、実は人間だったりして…。『ネコ、首輪つけてみる?』などと聞いてみようものなら、また何をしでかすか心配で、俺はするりと話題を変えた。

「それより、もうすぐワクチン接種しないといけない気がするんですが」

そう言った瞬間にネコは俺の膝を降り,素早い動きで近くの木の上に上ってしまった。

「ほんとにネコちゃんは人間の言葉が全部分かってるみたいですね」

ネコの動きを追って木の上を見上げながら猿渡さんは言った。 

「ハハ…いやぁ、言うことをよく聞いてくれるから俺は助かってますよ」

俺も同じ方をみながらやんわりと言う。


ネコが猫になってから、なぜかまたこうした猿渡さんとの直接の交流が再開した。いつもネコは最初に嫌がるが、だったら俺1人で行ってくるというと俺の背中にじゃれついてくるのだ。このツンデレめ。

ちなみに、この話を猿渡さんは「へー」と無表情で聞いていた。


引っ越して動物病院からは遠ざかったが、我が家と病院のちょうど真ん中くらいに位置するT公園は、気分転換にぶらぶらするには距離も規模もちょうど良かった。たまにネコとくつろいでいるときに猿渡さんから連絡があって、そのまま合流することもある。ネコ抜きでも良いんですよと言われたこともあったが、どう受け止めて良いのやら。

「若者同士で遊んだりしないの?」と聞いてみたときは、答えがなかったが、「俺と会ってばっかりじゃないよね?笑」と冗談を言った時は「そぉですよー。大山田さんとだけですよー。」と言われてしまった。そういうの要らないんだけどなぁ。

いや、意外にも本当に友達がいないのかもしれない。猿渡さんのつついてはいけない闇に触れるかもと思い、それ以来話題にすることはやめて今にいたる。

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