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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
幸せをもたらしたネコ

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8 さぶろう大爆笑する

 わざわざデパ地下で買って来てくれたというお土産のニューヨークチーズケーキをいただこうと、リビングに移動した。レオ君のオススメらしい。

 ネコはキッチンの冷蔵庫の上に陣取り、しっぽを妖しく動かしながらじっとりと上から俺たちの方を見下ろしている。背後を気にしつつコーヒーを淹れた。


「俺今日ネコちゃんにお土産買って来たんスよー。」

 一息ついたところで、カバンを引き寄せたレオ君が何やらを取り出しながら嬉しそうに言った。

「コレなんすけど、あげても良いすか?」


 ()()()()入りの魚型ぬいぐるみだった。


「猫にまたたび」は俺も聞いたことがあるが、与えたことはなかった。実際どうなんだろうか…?

「今日こそひと撫でしたいオレの悪あがきっス…!」

 唸るように言って上目遣いで俺をチラリと見る。

「いいよいいよ、だってそれペットショップで買って来たやつだろ?」

「っす…」

 そう言ったレオくんの呼吸が止まった。見れば音もなく、真隣にネコがやって来ていたのだ。今までにない距離である。レオ君がビニル袋から開けかけた魚のぬいぐるみに、ネコの前脚がスルッと伸びて触れる。

 なんと、そこですかさずレオ君はネコの脇に手を差し入れて抱き上げることに成功した。


「あっ」

「おっ」



 やった!!ついにネコチャンを抱き上げたっス…!!とでも言ってそうな恍惚(こうこつ)とした表情のレオ君の顔面をキックしながらネコは魚のぬいぐるみを奪い、消えた…。



「…」

「…」



 頬を押さえて涙目のレオ君には悪いが、俺は大爆笑してしまった。

「ごっゴメン…って…ヒヒっでもアハっ…

 面白過ぎて…スマン…あはっあは、ワハハハハハ!!!」

「どっちも…ひどいっスよぉ」


 家の中に居るはずなのに姿を見つけられず、結局ネコを触ること叶わず、レオ君は悲し気に帰っていった。平屋建てというものの、以前の1Kマンションに比べれば格段に広くなったのだ。ネコを探し出すのに苦労する。

 最終的に俺は寝室の物入れの中で酩酊(めいてい)状態のネコを見つけた。周りに散らばっている青色の布切れとスポンジのようなものはたぶんあのぬいぐるみの成れの果てだろう。サカナの形は微塵もなかった。

「おまえ…たった半日だぞ…」


 押入れの中のシーツやらタオルやらに入り混じってクチャクチャになったぬいぐるみを片付けてもネコはそのまま腹を向けてむにゃむにゃと転がっていた。

 こんなことされても、苦笑しかない。なんで許しちまうんだろうなぁ…全くお前が何やったって可愛いんだよな。腹をわしゃわしゃと撫ぜると俺の足元に寝返りをうった。


「グゥるニャン」

 背中を丸く押し付けて短く、ネコは満足気に鳴いた。


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