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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
幸せをもたらしたネコ

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6 ネコ煮干しをねだる

 ネコはその場で足踏みし、ヒョイと降りてきて俺の脚に八の字に擦り寄った。

「んにゃ?」

 小首を傾げて見上げてくる。

「その手には乗らないからな」

 俺はもう一度ひらがなシートを指差した。


 ネコは寂しそうな顔の後、尻尾をフニャリと落とした。のっそりとシートに近付いて俺をもう一度見たが、俺の表情が変わらないのをみてシタッと前脚を動かし始めた。

『ゆ、か、り、の、は、な、し、に、あ、わ、せ、た、だ、け』

「なんだって?」

 熊谷ゆかりの話に合わせた…?!ということは…

「どういうことだ?」

『に、ぼ、し』

「いや、それはやるよ、オヤツでな。…じゃなくて何の話なんだ?!」

 少し間をあけてネコは再びひらがなを辿った。

『ゆ、か、り、が、さ、い、し、よ、に、ど、か、か、ら、か、っ、た、て、じ、ろ、に、い、っ、た』

 なんだか、前脚の動きもおざなりだ。

『ゆ、か、り、の、せ、い、に、し、と、け、ば』

『し、よ、ー、に、ん、は、い、な、い、よ』

「使用人?」

 ネコは小さい『よ』を前脚で小刻みに押さえた。しょーにん、証人…?!

 確かに、兄の話ではゆかりはもう戻って来ないというし、ネコはこのままなら猫のまま、人の姿で会うことはないだろう。事情を知る、というか説明できる者は俺1人ということになる。


「俺の裁量で良いってことか?!」

 ネコの顔を覗き込むと、また『に、ぼ、し』と信号を打って来た。


 そこではたと気づく。

 ネコの一連の態度は寂しそうじゃなくて呆れてたのか。俺がよく分かってないことに失望でもしたかのように…

「ぬぅ…」


 俺はプラスチックの大きめな四角い容器に入れ替えた煮干しを、赤い蓋を回し空けて4、5匹取り出して皿に載せた。状況的にネコに振り回されてるのは分かってるけど、なんか…だんだん立場が、なんというか…ネコの方が…

 いじいじと考え始めたそんな俺の腕にネコは顔を擦り付けて「ニャー…ん」とか細い声で甘えて鳴いた。


「あっ、食べていーんだぞぅ?教えてくれてありがとなぁ」

 自分の甘い声に、アホ過ぎじゃないか?と思い返しながら、美味しそうに煮干しを食べるネコのピンと立った耳の間を何度も撫で返した。

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