表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
幸せをもたらしたネコ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/72

5 さぶろう少し怒る

意外すぎる兄の提案に呆然としていると、俺の腕から抜け出したネコが兄さんの足元に着地した。


「お前、猫を近づけるな」

「え?あれ?兄さん、猫嫌いでしたか?」

「気づいてないのは三郎だけだぞ!いつだったか、実家でも猫を飼ってたろ。昔っから嫌がらせばかりしやがって…」

「嫌がらせって…」

一郎兄あにきも俺も猫アレルギー持ちなのに、何言ってんだ」

そう言っているそばから、ネコが兄さんの足元に擦り寄り、転がって前脚をちょいちょい動かしたりして、めっちゃ媚を売ってる…。いや、分かってやってるアレは嫌がらせだ。

「ぅわっ」


両足をビュンと上に抱えて悲鳴を上げた兄さんの姿は、アレルギーを怖がると言うよりは単純に猫を怖がっているようにみえた。ネコも同じことを思ったのか、面白がるようにソファに飛び乗ってじりじりと近づき、それに合わせて兄さんはぎこちなく固まっていく。今までの兄さんのことを思うとちょっと面白い。が、はたと我に帰ってたしなめる。

「おい、ネコ?いい加減にしとけよ」

ネコは一瞬ピタと動きを止めてニャぅ?と、あどけない感じで顔を傾けながら俺を見上げた。

うう、可愛い…あざといなぁ、もう。


「ホラこっちおいで、鰹節かつおぶしあげるから」

心を隠し、怒ったままの顔でそう言うと仕方なさそうにこちらに来る。鰹節やるって言ってんのに…。


「お前、猫にネコって名前つけてんのか」

猫が離れてホッとしたのか、いつもの調子で兄が訊ねてきた。

「え、あ、うん。やっぱり変かな?」

「良いんじゃないか?お前の猫なんだろ?」

「…」

どうでも良さそうに素っ気なく返されて拍子抜けしたところで、一瞬躊躇する。そういえば、対外的には友人から預かっているというていだったな…と思い返したのだ。だが、もう首輪をつけさせるつもりもないし、まぁ良いか、と訂正はしなかった。

もはや言うべきことは言ったと、兄は居住まいを正した。後のことは税理士から聞くようにとその連絡先をもらい、これ以上猫が寄ってくる前にとばかりに、「一郎兄貴も気にしてるから、一度実家に来るように」と言い置いて、最後はそそくさと帰っていった。



「ネコ、兄さんに何言ったんだ?!」

俺はひらがなシートを床に置き、それをタシタシとしながらネコを睨んだ。

「グゥルニャーン」

そんなことより遊ぼうよとばかりに、くねりながら背中を床に擦り付ける。正座している俺は膝を叩いて強めに言う。

「こら、ネコ!」

しばらく見つめ合ったが、お互いに折れようとしない。



「んニャ…ア」

沈黙に根負けしたネコは大きな伸びをして、プイと何処かに行こうとする。捕まえようとするとスルリと逃げる。最後には追いかけっこになって、俺だけがハアハアいう始末である。

「なぁ、オイ頼むよぉネコ。兄さん達にこれからどんな態度取れば良いんだよ?お前、変なこと言ったんだろ?なんで、俺、お前を買ったことになってんだ?」

猫を買ったなら分かるが、兄さんが言ったのは少年のネコの方だ。俺相当にヤバいやつではないか。


…家族が欲しくてどっかから…一郎兄も気にしてる…


突っ込まれたらどう答えれば良いんだ。どのつら下げて実家に行けと?


そんな俺を尻目に、身軽に飛んだ本棚の上からネコは俺を見下ろしている。

「…わかった。ネコがそういう態度取るなら俺にも考えがある。こないだ買った煮干しは全部味噌汁に使う。お前は無しだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ