3 ネコひとりで風呂に入る
「いい、によぉーい…」
媚びる必要はないのに、思わず甘い声が出た。勝手に借りたお風呂に備え付けてあったソープ類は全部なんだか高級な香りで、おれは非常に満足して泡々に包まれていた。
質感のあるもったりした泡にすりすりするのは楽し過ぎる!今度こういうの、さぶろうに買ってもらえないかしら…。
おれは泡風呂の中でゆったりと、水滴の落ちてくる真っ白な天井を仰ぎ見ながら引き続きぼんやりと物思いに耽った。
…こないだ家にまで来たレオってのも胡散臭いんだよね。なんかキャラ被ってる気がするのよ。おれには分かんないイラストのことで盛り上がっちゃって、あの時はつまんなかったな…もっと勉強して、仕事のことでだってさぶろうのお手伝いができるようになれれば良いのに…。
おれに寂しい?とかなんとか言ってきてたけど、なーに言っちゃってんのって感じ!おれとさぶろうの仲を裂けるとでも思ってたのかな。
アイツ…ちゃっかり本とか借りてったから、それを返すって口実で、まぁたさぶろうに会いにくるつもりに違いないから早く家に戻って撃退しなきゃ。
そのためにも、最後に出会った障害物、熊谷ゆかりを何とかしないと!
初見からして、あの女ったら邪悪なオーラが半端ない。じろうおじさんなんか目じゃないくらいに真っ黒!!相当悪いことばっかりしてきたんだと思うんだ。ひょっとしてじろうおじさんはあの女に引っ張られてるだけかも知れないな…。とにかく関心を逸らさないと…。
さぶろうはおれのこと守んなきゃって思ってくれてるみたいだけど、そう思わせてるだけで、おれってば実はしっかりしてて何でも出来ちゃえるんだよね。掃除や洗濯だって、おれがやんなくたっていいんだけど、とにかくさぶろうのこと甘やかして、おれがいないとダメだって思わせたいんだー…。
さぶろうは知らないかもしれないけどさ、夜中にくっついて眠るのだって、ちゃんと計算して寝てるんだもんね。フフン。
気持ち良過ぎて、おれは寝落ちかけていたようだ。人の気配でハッとすると、足音がして
風呂のドアが開いた。
「大したガキだよ、悠長に風呂なんか入って」
熊谷ゆかりが凶悪な顔で立っていた。




