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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
囚われたネコ

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2 ネコ物思いに耽る

「まだ寝てんのか?ふてぶてしいガキだな…さぶろうのヤツは、いったい何を考えてやがるんだ?訳アリのガキに見えたのに、違うのかよ…?」

 独り言を言いながら、男は近づいてきた。

 わけありって、どう意味かな?

 猿ぐつわのせいで何も言えずどうしようかと思案していたら、足でころりと男の方に転がされた。

「おい、起きろ」


 おれが目を見開くと「マジか…」と小さく呻いて男はたじろいだ。さぶろうがいつも褒める、このおれの美しい瞳に驚いたに違いない。フフン。

「いいか、大きな声を出すんじゃないぞ」

 おれはこくこくうなづいて、口元の布切れを取ってくれるのを大人しく待った。


「ここどこ…?おじしゃん、だれぇ?」

 さぶろうがいつもおれの言うことを聞いてくれる、潤んだ上目遣いで普段使わない甘えた言い方をしてみると、男の顔は面白いように赤くなった。

 さぶろうのお兄さん…のはずだけど、似てるところが見つけられない。頭は白髪混じりだし、肌の色もソースの絡んだ焼きそばみたい。体型も縦と横にひと回りくらい大きいし。でも1番は、歪んだオーラがにじみ出てるところだ。顔つきからして尖っていて、仲良くなりたくも、なれそうにもなかった。


「ここまでとは聞いてない…。あいつ、何処でこんなん見つけて来て…?!」

 おれを無視してなんか言ってる…

「おじしゃん?」

 首をこくんと傾けて、おれはもう一度あどけなさ全開で訊ねた。

「…しばらくここにいてもらう。お利口にしてれば元の場所に返してやってもいい」


 ぬぅ…おれの質問はフルシカトなの…?

「さぶろうは?さぶろうに会いたい」

「おまえ、さぶろうの何だ?どういう関係なんだ?」

「おじしゃんは?さぶろうのおにぃさん?」


 ふぅとひと息ついて口を開いたが、やはりおじさんは質問には答えなかった。

「お利口にしてればすぐに会わしてやる」

「ほんと?ねぇ、なんでぼくここに来たの?」

 当然のように訊いてみたが、剣呑な顔と低い声で一蹴された。

「うるせぇガキだな!」

 仕方なく、大人しく黙る。ちょっと涙目にもなってみた。

「そうだ。それが利口ってヤツだ」


 とりあえず縄を解かれたおれは、一室に閉じ込められた。おれの知ってるさぶろうのマンションと違って部屋がいくつもあって、放り込まれた部屋には続き部屋のお風呂場にトイレまであった。外から鍵を掛けられていて外には出られないけれど、全く不便は無い。

 とりあえず猶予はあるみたい。とは言っても、さぶろうに心配をかけちゃうから長引かせられない。メッセージは残してきたけど、言葉をかけてきたわけではないから心ともない。


「さぶろう、どうしてるかなぁ」


 湯船にお湯を溜めながら、おれは物思いに耽った。

 出会ってからずっと、さぶろうはすっ…っ…っごく優しい。ただ、ちょっと抜けてて、いや、だいぶ抜けてる?あと、にぶくて…お人よしで…そしておれのことが大好きだ。どんな姿のときだって、上目遣いで目を潤ませれば、眉毛が下がって、たいていのことは言うことを聞いてくれちゃう。だからおれもさぶろうのいうことは一応ちゃあんときくんだ。それにしても、いろんなヤツらに狙われ過ぎなんだよね…。当然おれが守ってやってるんだけど、本人は全っ然気づかないし。


 先ずはなんと言ってもイヌ!!

 犬神あいりは、めちゃくちゃあざとい!!しかも、毎回毎回おれを子ども扱いしてさ。大人しそうなフリして、絶対計算してるんだから!!仕事にかこつけて、しれっとさぶろうとデートとかするの、ほんとイライラするよ!!さぶろうが熱出したときだって、電話なんかしてきちゃってさ、わざわざ家にまで来るの、ずーずーしくない?狙ってやってるのを匂わせないのが気にくわなーい!!

 お仕事に影響があるからって、さぶろうは強く出られないの分かるけど、おれには関係ないもんね。ちゃんと言ってやらないと!タヌキみたいに激情型じゃないのが幸いって…そう、

 そうだよ。田貫美穂はもぉ最悪だよ?!

 雑誌の撮影のとき、イヌとマウント取り合ってるのを、おれはちゃんと見ていたのだ。さぶろうが服を着替えに控え室へ行ってる間、タヌキの態度が気になったおれは、珍しくさぶろうには付いていかずに残って2人の様子を観察してた。


「ねぇ、前に言ってた大学の先輩ってあの人のことでしょう?」

 タヌキの台詞にぎくりとして、イヌは目を伏せつつも強がって言った。

「それがなんですか?」

「なーかなかイイ男じゃない?スレて無さそうなとこがそそるなぁー」

「無さそうじゃなくて、スレてないんですよ!!面白半分に手なんか出さないでくださいね!!ゆっくり攻略中なんですから…!」

 タヌキは声を出さずに、イヌの必死さをせせら笑った。わぁ、やっぱり今まで出会った女達と違って一筋縄ではいかなさそう…って、にしても、イヌの攻略中という言葉も聞き捨てならないよね…

 このあと、さぶろうが戻って来てタヌキは去ったんだけど、イヌが純情ぶって「またお家に伺っても…?」なーんて言っちゃってさ。

「大したもてなしは出来ませんけど、まぁ、また猫を構いに来てくださいよ」ってさぶろうもデレデレしちゃってさ。

 おれは構われたくなんかないっての!あんまり腹がたって、思い切りさぶろうのすねを齧ってやったの、まだ最近のことのようだよ…。



 それからサルね。

 ちゃんとおれに敬意を払ってる猿渡まいのことはまぁ、評価してる。

 あの手この手でさぶろうを誘惑してたのに、なんで本人は気づかないかな?!でもそのおかげでおれが何かしなくても、サルはだいぶ諦めてる感じだった。最近は会うこともなくなってホッとしてる。あの時だって、俺に協力してよとか言って来てたし、可愛いとこあると思ってる。

 もちろん協力なんてしないよ?

 当たり前でしょ?

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