表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
拾われたネコ
5/71

5 ネコ、ハンバーガーを食べる

 外食といってもファーストフードが関の山だ。床屋で払うべきだった現金が余ったのでもう少し奮発しても良かったが、俺にそんな意気地はなかった。誰でも、いつでも、どんな格好でもファーストフード店は受け入れてくれる…!久しぶりの外食に、俺も 少々ワクワクした。


 猫は大興奮なのを一生懸命に隠そうとしているのが丸わかりだった。目がもうキラキラとして発光するかと思うくらいだ。店内の匂いをクンクン嗅いでは、それをして大丈夫なのかとでも言うようにハッとして俺を見上げる。その度に安心しろと頭を撫でてやった。

 なんといってもここはファーストフード店だからな!多少変なことがあっても普通の人達は皆スルーだ。だいたい時間や金を惜しむやつがここに来るのだから、他人になどかまけていられないだろう。奇声を上げたり、四つん這いになったりしなけりゃ問題ない。

 二階席に移動して窓際に向かい合って座る。

「もう食べて良いんだぞ」

 といった瞬間にポテトに食らいついた。食べやすいようにハンバーガーの包み紙を剥いてやる。

「こっちも食べてみろよ」

 というとコクコクと頷いて無言で受け取ってむしゃぶりついた。自分の子供の頃を思い出す。顔じゅうケチャップまみれにはしなかったが。

「取り上げもしないし、食べ物は逃げてかないんだから落ち着いて食べろよ」と苦笑しながら顔を拭いてやっていると

「お子さんですか」

 と話しかけられた。小さい子の手を引いていて、若い母親らしき女性が微笑ましく俺達を見ている。

「はぁ、まぁ」

 面倒臭くてそれだけいうと

「素敵なパパさんで羨ましいですね」

「あ…ありがとうございます…?」

 フフと笑ってその女性は奥の席に子どもと一緒に座ったが俺は少し落ち着かない気持ちになった。



 マンションに帰ると一階で管理人と会った。俺の風貌に最初は戸惑っていたが、猫と一緒なので俺だと分かってくれたようだ。猫は洋服を着た自分を褒められて嬉しそうにしている。困った事はないかと聞かれて無いと答えたが、後で差し入れを持っていくといってきかない。

「ありがとうございます」

 そう言って部屋に戻ったが、またもや落ち着かない気持ちになっていた。猫と一緒だと、皆何かしてくれる…。今までは仕事の話でさえも電話かチャットだった。不思議な気持ちになっていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ