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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
人間になったネコ

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10 ネコと一緒に帰る

「今日どうだった?楽しかったか?」

 電車を乗り継ぎながらの帰り途、そう訊ねると、ネコは俺を一瞥いちべつして言った。

「まぁまぁかな」

 …まぁまぁ。


「ネコはさぁ、猫と…話とか…してたのか」

「どういう意味?」

 これは聞いてはいけない案件だったのか?お前元々ネコなんだろ?あの店での態度は割と不遜ふそんだったぞ…それこそ親分みたいな感じにみえたのは俺の気のせいだったのか…?などと、俺が続きをどう聞こうかためらっていると「さぶろうは?」とネコからも訊ねられてしまった。


「俺?俺は、まぁ、楽しかったよ。うん。」

「サルに、好きとか言われたから?」

「ぬン?!」

 喉の奥から変な声が出た。

 大きくなってからのネコはなんだ、そう、少しオマセさんになったな…。

 とりあえず「そういう訳ではない」と言おうとすると、前に踏み出してクルリと振り返り少し怒ったような顔をした。


「あのね、ネコだって、さぶろうのこと、だーーーーい好きだからね!!」

 そう言いながら俺の首に腕を巻き付かせてぎゅうと引き寄せる。


「!!」

 なんだ、そういうことか。可愛いやつめ。

「俺もネコのことだーいすきだからな!」

 抱き上げることは出来たが、小さかったときのネコと違ってイメージどおりにグルグル回すことは出来なかった。それでも満足そうに猫は笑い声を上げた。


 そう。猫だった時はしょっちゅう言っていた言葉だった。猫の機嫌を取ろうとするときくらいで、人間の姿になった途端に、そう口に出す回数は格段に減った。猫にとってみれば、俺は何一つ変化のない存在なのだ。急に態度に出さなくなるのは寂しかったんだろう。猫のときに少々、いや、だいぶ甘やかし過ぎたなと自嘲してしまう。



 そうして、その言葉の重みを改めて考えてみると、猿渡さんのあの「好き」だって、歳の離れた気安いお兄さんかおじさんだと思って言っているのかもしれない。言葉どおり受け取って自惚れるのはやめておこう。


「サルとまたどっか行くときはネコも一緒だからね!」

「はいはい」

 親子のように手を繋いで、俺たちは駅からの道を歩いた。




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