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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
人間になったネコ

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8 ネコ猫カフェに行く

 その日は着る服を猫に指定され、2人とも黒一色のコーディネートだった。


「なんで黒づくめなんだ」

「おそろい、かっこいーから!!」


 振り返って楽しそうに言う猫は、いつものことだが街中で注目を浴びていた。初夏の日差しを受けてきらきら光るプラチナブロンドの髪。中性的に整った色白の顔にグリーンエメラルドの瞳が目立つ。バランスの取れた体躯たいくからしなやかに伸びた手足で、時おりそうやってクルリと振り向きながら軽やかに歩く。若さと恵まれた容姿を羨ましく思いながら、俺はその少し後ろを歩いた。


 猿渡さんとは猫カフェのある最寄り駅で待ち合わせをしていたが、地下鉄の出口を地上に上がったところで彼女はすでに待っていた。夏を先取りしたような、白色のニット、同色のタイトスカートから覗いたスラリとした素足にはヒールの高い華奢なシルバーのサンダルで、カッコよく決まっていた。動物病院での印象はカケラもない。猿渡さんは俺たちを見つけけると、髪を払って女優のようにサングラスを外した。



「大山田さん!

 黒なんか着ちゃって!猫の毛、ついちゃったら目立ちま…」

 笑顔で話しかけてきた猿渡さんは、俺の後ろにひっ付いているネコを見て、目を丸くして黙ってしまった。

「え…?!」


「お久しぶりです。知人の子どもを預かっていてね、猫カフェ初めてだし、連れてきたんだ」

「…ちわ」

 猿渡さんとは猫だったときに何度も会っていて初めての対面でもないのに、何故か猫は俺の背後からチラと顔を出して短い挨拶をするだけだった。インスタの撮影のときには、はしゃぎ合う仲だったと俺は記憶していたんだが。

「…そう来たか…」と、目の前の猿渡さんが言ったような気がした。



「初めまして。わたし、猿渡まいです。日本語わかるのかな?」

 少し身をかがめて顔を近づける猿渡さんから距離を置くように、俺の背中からちょろりと顔を出したままの猫がぶっきらぼうに応える。

「ネコです。よろしく…」

「えーと、ネコ…って言った?」


 そうだよな…そうなるよな…でも俺はもうこのまま行くと決めたのだ…。俺は補完した。

「そう、ネコって呼んでる」


「へえぇ…ネコ君!!フルネームはなんて言うんですか?」

 グギュと俺の喉から変な声が飛び出た。

「なんか…外国の発音は難しくってね…覚えてないんだよね…日常には不便ないから…」

 背中をいやぁな汗が伝った。猫はキョトンと俺の顔を見上げている。頼むから変なことを言うなよ…


「預かってた猫ちゃんのこともネコって呼んでたし、なんかいわくがありそうですね」

 猿渡さんはニマっと笑ったがそれ以上突っ込みはしなかった。ホッとしたが余計に怖い。

「お店、すぐそこなんで、そこでゆっくり話しましょ」

 彼女の指差した先には、小洒落こじゃれたカフェがあった。



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