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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
拾われたネコ

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3 ネコ、パンを焼く

 寝ている猫の隙を狙って首輪を取ろうとしてみたが、手にかけた瞬間にあの大きい目を勢いよくばちんと開けるので、ひどく心臓に悪い。数度試してみて諦めた。

 ペットなのか子どもなのかひどく曖昧(あいまい)な存在になっている。拾ってきてからの非日常が過ぎて、なんだかもう良いやという投げやりな気持ちになりつつもあった。


 あれから1週間、掃除も佳境を越え、ゴミを(また)いで生活することはなくなった。

 あまりにも大量のゴミを出していたので1階の管理人に呼びとめられた。まぁなんとなく何か言われるだろうと予想はしていたが、手伝ってくれている猫をチラチラ見ているのが気になり、異国に住んでいる友人の子を預かることになってしまって、と説明すると、使ってない掃除機を使うか?から始まり、住居用洗剤のアドバイスやら、不燃ゴミを捨てるための公的サービスの話やらいろいろ世話を焼いてくれた。

 その子供をいつまで預かるか分からないが、慣れないだろうから困ったことがあったらなんでも言ってくれとまで言ってもらえた。掃除が早く終わったのは管理人のお陰だとも思う。



 その日の朝はパンの焼ける良い匂いで目が覚めた。

 と、同時にべそべそとすすり泣く声も聞こえてくる。布団の上で微睡(まどろ)んでいたがハッと覚醒して慌ててキッチンへ向かう。

 トースターでパンを焼くことを覚えた猫が、パンを取り出そうとして熱を持った金網を触ってしまったようだった。

「ああっ、ネコ!!」

 慌てて冷水で小さな指を冷やす。

「痛いよなぁ、まだヒリヒリするか?」

 涙目で目の周りを真っ赤にしたまま無言で頷く。幸い水脹(みずぶく)れにはならずに済んだので、オロナインクリームをつけてやった。目当てのものがスッ見つかるようになったことに少し感動する。 


「取り出すのは俺がやるから、パンは入れるだけにしとけ、な?」

「うん」

 すっかり目が覚めてしまったので自分用にコーヒーを入れ、猫には牛乳を電子レンジで温めてホットミルクを用意した。 

 何処かで鳥のさえずりが聞こえてくる。初秋の柔らかな陽の光の中で、猫の寝癖のついた髪の毛を眩しく見ながら2人向かい合ってパンだけの朝ごはんを食べる。 

 片付いたスッキリとした部屋で、この現実こそが夢のようだった。

 夜は夜で、ひっついてくる猫の体温が高くて、そのポカポカに癒されているうちに眠っているし…


 そう、気づけば俺は健全な朝型生活を享受していたのだった…。


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