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魔法の首輪をつけた猫 〜現代版長靴をはいた猫〜  作者: 東條 絢
拾われたネコ

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21 ネコ、バズる

「今日は…お電話でも良かったんですが、読んだ方が早いかもと思って……」

 そう言いながら猿渡さんに差し出されたのは猫のワクチン接種のパンフレットだった。先日は病み上がりだから免除されたが、本来は定期的に打たなければいけないらしい。実際のところ、また病気になられても困るので、前向きに検討したい案件だった。

「わざわざすみません、ありがとうございます」

「…というか、大山田さんLINEとかってやってないんですか?会員登録で病院からのお知らせやお得情報が送れるのに…」

「やってないですね、その方が便利だとは言われるんですけど」

 実は犬神にも何度も言わている。

「そうですよ、便利なんだからやりましょうよ、私入れてあげますから」

 いや、アプリを入れることが出来ない訳ではなく、LINEなんぞ不要な生活をしているだけなのだが…と思ってるうちに、俺のスマホは彼女の手の上に納まっていた。

 猿渡さんは、見た目おっとりした大和撫子風の可愛らしい女性なのだが、その風貌からは想像できないくらいチャキチャキ動く25歳の働くウーマンで、最近翻弄され気味だとうっすら自覚がある。

 色白の細い指が俺のスマホの上をスルスルと滑るのを、唖然と見つめる。俺の動きとは違う…これが若さというものか…


「あっ、大山田さん、アイコンを猫ちゃんと撮ったらいいんじゃないですか?」

「え?」

「んニャーん!(しゃしん、とりたーい)」

 すかさずシュタっと猫が俺の肩に乗ってくる。そこで初めて俺は猫と一緒の写真を残していないことに気づいた。猫単体の写真は山ほど撮ったが、あの外国人の子どものようなネコとのツーショットなんてレアだったのに…!自身の写真など何年ぶりなんだろう…どうも顔が固まる。猿渡さんがハイ!もう一枚!ハイ!もう一回!!と繰り返し言うので一体何枚撮る気なんですかとフッと笑ったそのときの写真を見せられた。

「ホラ、見てください!可愛いぃ〜!!私も一緒に撮って良いですか?」


 どうぞ、と俺が猫を差し出す前に、彼女はくるりと振り向いて俺の隣に座り、腕を前に伸ばしながら顔を寄せて来た。彼女のピアスがチャリというのが聞こえるくらいの密着度にドギマギする。

「私、自撮り苦手なんですよね、数枚写しますよー」

 彼女のテンポが早すぎてまたもや頭がついていかないうちに、俺のスマホの写真フォルダにはあっという間に写真が増えた。勝手にダウンロードされたアプリによって加工され、LINEのプロフィール写真も完璧になっている。

「これで大丈夫!また分からないことあったら聞いてくださいね!今度LINE通話もしましょ!慣れれば大したことないですよ」


「ンぬぅ…」

 年寄り扱いされているような気になり、猿渡さんから送られた可愛らしいスタンプが縦に並ぶ小さな画面を、複雑な思いで唸りながら見つめる。その腕に猫が前脚を掛けてきた。

「アハ、お前も見たいのか」

 画面を傾けてやると、軽くニャンと鳴いた。

俺がLINEの画面を閉じると猫は写真フォルダをタップして、ツイツイと画像をスクロールする。気になる写真があったようで、俺の手をタシタシ叩くので、ピンチアウトして拡大してやったが、思った写真じゃなかったのか、それはもう良いとばかりに前脚でぐいっと手を押され、またスクロールし始めた。

猫に戻ってもテレビを見たり、俺のスマホを弄ったりして楽しそうにしている。どんな景色が見えているのだろうか。言葉が話せないのはもどかしいんじゃないかなとぼうっと考えていると俺の肩に震える手が置かれた。

 猿渡さんが声を無くして立ち尽くしている。

「?」

「猫ちゃん…スクロールしてますけど…」

「はぁ、まぁ」

「スクロールしてますよ!!」


 普通の猫はしないのか…。しまった…。人間の時は警戒していたのに、猫になった途端その不思議さを違和感なく受け入れていた。

「なんかね、俺の真似をするようにね…なっちゃってね…」

 だんだん小さな声になる。チラリと上目遣いで猿渡さんを見ると白磁の頬は紅く染まり、元々目力(めぢから)のある瞳がまんまるになっていた。


「やっ…ば!!すンごい可愛いーい!!!インスタに上げたーい!!可愛いっ!!!」

 今までに見たことのない、年相応の彼女の迫力に負けたのと、猫をちょこっと自慢したい気持ちから、少しなら良いよと言ってしまったのが間違いだったのかもしれない。

 大山田さんが管理してる方が良いですもんね、と彼女はあっという間に猫専用のアカウントを作ってくれ、そのときは猫も一緒にはしゃいで言うがままにポーズを取っていた。

 ワクチンにはどうやって連れて行こうか、かかる金銭的な問題はどうしようかなどと考えていた俺の心配をよそに、猫が仲良さそうに楽しくしてるなら良かったなぁと、そのときはそう思って微笑ましく眺めていたのだったが…


 夜中にピロピロ鳴るスマホの通知音がうるさすぎ、夢うつつで電源を落とした翌朝。

 ザリザリと顔を舐められて目を開けた。

「んニャン」

 猫が俺の胸の上に乗って顔を覗いていた。

「何時だ?」

 まだ薄暗いが、朝ごはんの催促なんだろう。そういえばなぜ俺は夜中にスマホを触ったのかと寝惚け頭で考えながら伸びをした。電源を入れて数拍、画面に明かりがともるや否や、もの凄い勢いでブルブル震え出した。


「なっ…なんだぁ?!」 


 昨日のインスタのアイコンに、2Kとついている。「イイね!」の数…なのか??。昨日入れたばかりのLINEには猿渡さんからのメッセージとスタンプが届いていた。

『ネコちゃんバズってますね(^o^)』

「…」


バズったことなどないので詳しい事は分かりませんが、もし決定的な間違いがございましたらどうぞご指摘ください!!!

よろしくお願いします!

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