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「あのね、ママにプレゼント買ったんだけど、昨日この辺りで落としちゃったみたいなの。探してるんだけど、見つからなくて……」
よし来た!
一番楽な落し物探しだ!!
「オッケー、どんな物なの?」
「んと……、これくらいのね、ピンクの箱」
少女は小さな手で、四角を作って見せた。
なるほど、思っていたより小さい箱だな。
「わかった。じゃあ、俺はこっち側探すから、君はそっち側探してね」
「うん! ありがとう!!」
案外可愛く笑うんだなと、俺は少女の笑顔を見て思った。
寒空の下、防寒具もなしに、河原の土手で落し物探しなんざ、普通ならごめんだ。
だけど、状況が状況だし、できるだけ早く見つけてあげないとな、と、俺は懸命にピンクの箱を探した。
しかし、この河原の土手では、冬場でも負けん気の強い雑草が生い茂っていて、なかなかに箱は見つからない。
鼻水が垂れそうになるのを、俺は必死にすする。
やっぱり、この季節にはティッシュペーパーが必需品だな、そんな事を思いながら……
どれくらいの時間、探していただろうか。
「あっ!? あった! あったよ!!」
なんと、少女は自分で箱を探し当てた。
嬉しそうに笑って声をあげた少女を見て、俺はなんとなく、少しばかり、虚しい気持ちになってしまう。
どうせなら俺が見つけてあげたかったな、と……
いやでも、見つかったなら結果オーライだ。
少女が指差す先に、そのピンクの箱はあった。
俺は、茂みに埋もれているその箱を、そっと拾い上げる。
五センチ四方のその箱には、血が乾いたのであろう、黒いシミがべっとりとついていた。
「良かった~。ずっと貯めてたお小遣いで買ったから、絶対ママに渡したかったの」
そう言った少女の顔は、天使かと見紛うほどに、優しく美しかった。
「良かったな、見つかって。じゃあ、渡しに行こうか」
俺の提案に、少女は首を横に振った。
「私は行けないよ。これが見つかったら、もうお空に昇ろうって決めてたから……」
なんとまぁ……、見た目以上には大人だな。
今の自分の状況、普通の人には見る事の出来ない存在となっている事を、少女は理解していたのだ。
しかし、ちょっとばかり惜しいな。
「いや、君はまだお空には昇れないぞ、死んでないんだから」
俺の言葉に、少女はとても驚いて、その可愛らしい目を大きく見開いた。




