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スウィート・シスター・ライフ! ~甘すぎる僕のお姉ちゃん~  作者: ひなた華月
特別章2 Episode Side 汐
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特別章2‐6 人見知りな私と心の葛藤


「あのっ! ほんっとうにごめんなさい!! ほら、華恋かれんも謝って!!」


「す、すみませんでした……」


「あはは、いいよいいよ。僕も変な勘違いさせちゃってた訳だし……」


 謝る高校生2人に対して、男の人は気まずそうに苦笑いを浮かべながら、そう言ってくれました。


「それに、やっぱりきみたちは僕らの後輩だったんだね。えっと、今はきみが部長さん、なんだよね?」


 そして、その男の人が、私に声を掛けてきます。


『形だけはな。実質はオレ様が部長みたいなもんだ』


「そ、そうなんだ……あはは」


 彼は、ブルースがしゃべりだしたことに戸惑いはしたものの、そのことには触れずに話を進めてくれました。


「一応、僕も部長をやってたんだ。でも、きみと同じで形だけっていうか……。ああっ、同じなんていったら失礼だよね! ごめん……」


 そして、彼はまた、レジ前に座っている結衣ゆいちゃんのほうに視線を向けました。


 今、私たちは『Wonder Land』の店内へと移動しています。


 華恋かれんちゃんがこの人を気絶させてしまった後、結衣ゆいちゃんが「とりあえず、店に運べばいいよ」と言って、彼をお店の中へと連れてきたというわけです。


 そして、結衣ゆいちゃんが彼の正体を教えてくれました。


 彼の名前は渥見あつみ綱吉つなよし。昔は結衣ゆいちゃんと同じ日暮ひぐれ高校の人形演劇部に所属していたそうです。


 それを聞いたとき、私は結衣ゆいちゃんに渡した写真のことを思い出しました。


 そういえば、今の渥見あつみさんに面影がある生徒が写っていたような気がします。


「あの、私から一つ、質問よろしいですか? どうして、しおちゃん……虎井とらいさんに近づこうとしたんですか?」


 質問をしたのは、生徒会長さんでした。


 すると、渥見あつみさんは申し訳なさそうな顔を浮かべながら答えます。


「えっと、それは……きみたちがこの店に出入りするところを見たんだ……それで……」


「……私がどうしてるのか、気になって聞き出そうとした。そうでしょ?」


 唐突に、レジカウンターに座っていた結衣ゆいさんが答えます。


 でも、いつもの結衣ゆいさんの雰囲気と、何だか違うような気がします。


 というよりも、私たちがお店に入ってから、ずっとこんな調子です。


「……うん、そうなんだけど」


 渥見あつみさんも、さっきから結衣ゆいちゃんのことをずっと気にしているのですが、まるで肩身が狭いといわんばかりに恐縮しています。


 しかし、結衣ゆいさんはぶっきら棒な調子のまま、話を続けます。


「……私はもう大丈夫だからさ。あんたが心配する必要なんかないよ。どうせ、母様から私がここにいることを知ったんだろうけど、もう来る必要なんてないから」


 それは、私が聞いたことのないような冷たい台詞に聞こえてしまいました。


「……ユイ、だけど……」


「いいから。あんたが気にすることなんて、本当に何もないんだよ……」


 その台詞は、本当に酷く、悲しい雰囲気を纏っていました。


「……わかった。ごめん、急に尋ねたりして」


 それだけ言って、渥見あつみさんは店から出ていこうとします。


「えっと、きみたちにも迷惑をかけて悪かったね。OBなのに、情けないところを見せちゃったよ……」


 そして、最後に私たちにそう告げて『Wonder Land』から出て行ってしまいました。



 その背中が、私は酷く悲しいもののように、見えたのです。



「……ほっ。とりあえず、良かったわ~。あたし、警察を呼ばれるんじゃないかって思ってドキドキしたわよ」


「まぁ、呼ばれててもおかしくなかったよね。今回は僕もさすがに肝を冷やしたけど……」


 2人が合わせて声を漏らしたところで、結衣ゆいちゃんが立ち上がります。


「さて、きみたちの用事は何だったんだい? 2日連続で来てくれるのはありがたいけど」


「あー、それは……」


 華恋かれんちゃんは、気まずそうに顔を逸らします。


 どうやら、華恋かれんちゃんは自分の推理が外れていたことが若干ショックなようです。


 名探偵華恋(かれん)は廃業をせざるを得ませんね。


「あの、あたしたち、今日はこれで失礼しようと思います! さ、帰ろう! りく! 紗愛さらさんも!」


 華恋かれんちゃんは、りくくんや紗愛さらさんも含めてお店から出ていくことにしたようです。


「それじゃあ、また来ますね! 結衣ゆいちゃん先輩」


「うん、またいつでもおいで。私も待ってるから」


 そう言って、去っていく私たちに、結衣ゆいちゃんはいつもの調子で答えました。


 本当に、さっきまでの雰囲気とは、全然違うかったのです。


 とにかく、私が付けられていたというのは勘違いで、何も問題はないということが分かりました。


「はぁ~、まぁひとまずはこれでしお先輩に危害が及ばないってことでいいのよね?」


 まぁ、そういうことになりますね。


 これで、事件は解決。


 私の物語も、これでお終いです。


しおちゃん、また何かあったら、私にも教えてね」


 生徒会長さんも、安心したように私にそう告げました。


「それじゃあ、しお先輩。また明日」


 そして、私はりくくんたちとは別の方角なので、商店街の入り口でお別れします。


 ……だけど、私の頭には、先ほどの結衣ゆいちゃんの顔が浮かび上がるのです。


 私は、去っていくりくくんたちの背中を見ながら、呟きます。


「    」



 ……ねえ、ブルース。



 私、少し気になることがあるんだけど、いいかな?



『そりゃあ、お前が決めることだぜ』


 ……ありがとう、ブルース。


 私は、灯りがぽつぽつと浮かび上がる商店街を、1人で引き返すのでした。


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