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スウィート・シスター・ライフ! ~甘すぎる僕のお姉ちゃん~  作者: ひなた華月
第2章 お姉ちゃんと僕と部活動
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第25話 カワイイ先生と僕からの活動報告

「それじゃあ、掃除当番の人は自分の担当箇所に向かってくださいね」


「は~い、さよなら~、美羽みうちゃん~」


「だから、新田にった先生ですっ!」


 先生が必死に反論をするが、それを聞いてまた笑顔になったクラスメイトたちは、先生の前を横切ってそれぞれの放課後を過ごすことだろう。


 我が1-C組のHRは、大方こうして終了する。


「ううっ~、このままでいいのかなぁ~」


 頭を悩ませる先生に、僕のクラスメイトたちは容赦しなかった。


「いいの、いいの。先生は私たちのカワイイ先生なんだから」


「あ、ありがとう……ん?」


「じゃ、私たちは掃除に行ってくるね~、美羽みうちゃん」


「もう、だから……! 行っちゃった……」


 色々な生徒から弄られて、新田にった先生はため息を吐く。


 先生も色々と大変みたいだ。


 肩を落とす先生に、僕は話しかける。


「あの……先生」


「ん? ああ、天海あまみくん。どうしたの?」


 先生は、落ち込んでいた表情から一変、少しだけ不思議そうな顔をして僕を見てくる。


 そんな先生に対して、一応、昨日のこともあったので念のため報告しておくことにした。


「先生、僕、部活に入ることにしました」


 僕が部活に入ろうと思ったキッカケは、新田にった先生と話したことからだった。


 だから、先生にもちゃんと報告をしておこうと思ったのだが……。


「えっと、それで……」


 あれ? このあと何を言えばいいんだっけ?


 全然先のことを考えていなかったので、言葉が詰まってしまった。


 しかし、戸惑う僕とは裏腹に、先生の顔が見る見るうちに明るくなっていった。


「そ、そうなの!? 良かったね、天海あまみくん!」


 僕の手を握りながら、飛び跳ねるくらいのリアクションをする先生。


 いや、実際は飛び跳ねたりしてないんだけど、それくらい、先生は嬉しそうにしていた。


「あっ、そうだ。申請届とかは先生がちゃんと用意するからね。先生、応援するから!」


「は、はい……ありがとうございます」


 まさか、ここまで喜んでくれるとは思わなかった。


 だけど、こうして嬉しそうにしてくれるのは、何だがむず痒いところもあったけど、素直に感謝したほうがいいのだろう。


「それで、天海あまみくんは何の部活に入ったの?」


 先生の質問に、僕はすぐに答える。


「えっと、人形にんぎょう演劇えんげき部です」


「にんぎょう……、ああ、虎音とらねさんがいる部活ね」


「先生、しおさ……虎音とらねさんのことを知ってるんですか?」


「ええ、彼女、ちょっと有名人だから」


 少しだけ言いにくそうにする先生だったけど、僕が人形演劇部の部員になることが分かったからなのか、色々と話してくれた。


天海あまみくんは、もう知ってるかもしれないけど、虎音とらねさんって人と話すことが少し苦手みたいなの。それで、パペット人形を使ったらコミュニケーションを取ってくれるんだけど、それで本当にいいのかって、先生たちの間でも心配している人が多くて……」


 先生は、最後には悲しい声色になっていた。


「先生たちも歩み寄ろうとするんだけど、なかなか上手くいかなかったの」


 確かに、初めてしおさん……ブルースさんと喋った時は、少し高圧的な態度だったことを思い出す。


 そんなしおさんを見て、先生たちがどんな風に思うのか、なんとなく想像はできてしまう。


 そして、しおさんがどう思ってしまうのかも、僕には想像できた。


 他人の目を気にして話すほど、苦痛なことはない。


 僕はそれを、自分自身でよく知っているから。


 でも、その態度の裏には、きっと汐さんなりの理由があるんだと思う。


 たった一日だったけれど、汐さんの瞳を見て話した僕は、そんな風に感じたのだ。


「でも、同じ学生の天海あまみくんなら、虎音とらねさんと仲良くできるかもしれないわね」


 そう言った先生は、どこか僕に期待を込めているようだった。


「それじゃあ、明日の朝までには部活に必要な書類はこっちで用意しておくわね」


 先生の顔は、いつもの柔和なものに戻っていた。


 よろしくお願いします、と僕は先生に伝えて、教室を後にする。



 今日から僕も、部活動を開始する。


 中学のときも、帰宅部だったので、ちょっとだけ緊張している自分がいた。


 僕は意外と身構えると固くなるタイプなのだと、このとき初めて知ったのだった。


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