第12話 想いと謎と臆病な底辺冒険者
自衛手段ですので以下は気にせず、飛ばしてください。
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今話題の2CHRead無断転載問題、五分で出来るちょっと痛快な自己防衛対策のすゝめっ!
作者:MITT様よりお借りしました。
髑髏シーツの幽霊に近づくと、先刻と同様に幻の映像を右手に乗せて見せてきた。
二人に合図して招き寄せ、三人でそれを覗く。
◆
あのイケ好かない三角大エラ張り司教が奴隷となった子に鞭を振るいながら、なんか怒鳴り散らしてた。
「貴様ら穢らわしい悪魔族の子が光の民の為に働ける事を喜べ!」
愉悦に浸る歪んだ顔が醜く記憶だとしても目を背けたくなる光景だった。傷を負わせ、傷に教会のシンボルを魔法で刻み、ヒールでシンボルを隠す為にその傷を覆う。呪詛を埋め込んでるとしか見えない。完全に誰が見ても討伐対象だ。かと言ってハイ、そうですかと討伐すれば殺人罪やら、神への不敬罪やらと色々面倒臭い事になるだろう。曲がりなりにも司教様だし。
◆
「コイツ、教会の看板を汚してるとしか思えないですー」
「私もコイツは生かしていてはいけないと思う」
「あー、そこに関しては全員意見は一致なのかもしれないけれど、この映像が真実かどうかって考慮してるっスか?」
「「あ」」
あじゃねーよ。今回このくだり多いな!兎にも角にも俺たちは、また映像に見入る。
◆
重労働に耐えかね、倒れる奴隷達の映像が続き、そのすぐ後に奴隷達の死体を繋ぎ合わせた何かを崇めるような映像が映り、そこで映像が途絶えた。
◆
「よし、もういいッスね」
相棒を抜いて髑髏シーツに斬りかかろうと束に手を掛けた瞬間に隣から叫ぶような詠唱最後のキーワードが放たれた。
「ターンアンデッド!」
取っとけって言っただろう。この短絡脳め……。と、ティナ嬢に文句の一つでも言おうとして振り向くと大粒の涙を目に溜めながら髑髏シーツのゴーストが消えゆく虚空を睨むようないや、偲んで恨みを代わりに晴らす決意をした様な思い詰めた目をしたティナ嬢が居た。狡くないか? それ。
「……が……させます」
「え?」
「私がコレを解決させます!」
「いや、真実かどうか見極めようって話は?」
「知ってる子が居ました!」
「!」
「倒れた奴隷達の中でティナ嬢の知り合いがおられたのですか?」
深く頷き、その反動で涙が零れ落ちたのを見つめる。あかん。すでに仕組まれてたじゃーありませんか。取り敢えず、生き残るのに邪教徒どもの殲滅確定しとるし。これハードモード以上じゃ無いよな?
ちょっと絶望感にクラクラと眩暈を覚えたわ。
「一月程前に具合が悪いと言っていたのに、それから行方知れずでした」
「アリュフ。どうやらこの映像の信憑性は保障され掛けている様です」
「判った、判ったっスよ。次の幽霊の映像はどうするっスか?」
「……見る」
「一応、確認は必要かと思う」
「クライアントへの報告は?」
「……」
「次の映像を見てから考えよう」
「俺は伏せておいた方が良いと思うっス。多数決で決めるっスから次の映像だけでなく、真相を探ってからでないと……あ、や、知ったら知ったで命に関わるかも知れないっスけど」
「意外と臆病なんですね」
「シュツルム先輩。お言葉ですが弱者ソロは臆病じゃないと生き残れないっス」
「まぁ、仰る通りですね」
挑発してるのだろうか? チープな正義や大義名分で簡単にヒーローになれるなら誰もがヒーローになってるだろうと思う。現実には手練れが敵に居て、一筋縄で問題は解決しない。そして世界は残酷に染まっている。
「ま、何にしても残りを掃除してからっスね」
「そうだな」
「敬語やっと取れてきたっスね」
「な、何となく取ってみたんです!」
しまった。指摘しなきゃ良かった。また敬語のままにならなきゃ良いな。
◆
あの後探索を続けたが今夜は幽霊が出なくなった。噂の奥方の幽霊も見かけられず空振りだ。すぐに終わらせてシュツルム先輩と旅に出る予定が二、三日、場合によっては一週間以上遅れそうだ。
そして、夜が明けた。
「クライアントへの報告は義務。しかし全てを話さなくても問題はないと判断しています」
シュツルム先輩の口調からですますが無くなりつつある。このまま抜けてくれればやりやすい。今度は指摘せず見守りながら対応しよう。
「髑髏シーツの見せてきた事は、この際黙って置くのが良いと思うっス。だから、ティナ嬢には今は何も喋らないでおいて欲しいっス」
ティナ嬢は何も言わず泣いた後の目の周りを赤くしたまま、こちらを見るだけだったが続ける。
「交渉ごとで感情に流されるとロクな事にならないっス。何事も冷静になるべく対処する事と、感情に流される演技は駆け引きで必要なんスけど、演技じゃないのは不利にしかならないって理解できるっスね?」
ティナ嬢は頷く。
「それと、先輩もネザーツの事は他言無用で、頼むっスよ」
「それは大丈夫だから、安心して欲しい」
報告する為、バンダノフ氏にブヒボンド卿への御目通りを依頼した。
朝食と共に報告をすると一旦休憩室へ案内される。こんな状況で悠長な事だ。幽霊騒ぎより商談の方が大事なのだろう。
◆
「幽霊達は如何でしたか? 出ましたか?」
バンダノフ氏が休憩室に案内した後、お茶を入れてくれながら質問して来た。
「出ましたっス。両方ともターンアンデッドで昇天させたっスよ」
「両方とも? 幽霊は二体でしたか。ターンアンデッドと言うとお二人は活躍しなかったんですか?」
「ターンアンデッドがある彼女に経験を積ませる事も兼ね、花をもたせたんスよ」
「モノは良いようですね」
「バンダノフ氏の我々に対する評価は中々、手厳しい様ですね」
バンダノフさん、なんか怒ってる? はて? 何か地雷でも踏みましたかねぇ? まぁ、今はどんな些細な事もメモっておきますか……
「ま、話はそれくらいにして明日じゃ無かった、今夜の対策立てるっスよ」
「そうだな。そう言えば、奥方様は狂ってから悪霊となった。で、あるならば、あの髑髏にシーツの幽霊とは、どんな因果関係があるのだろうな?」
「え? 因果関係とは何スか?」
「大抵のゴーストは基本的に生前の記憶みたいなモノを持っていてどれも生前の姿を持っていた」
「そう言えば、生前を知らなくても、大抵のゴーストは何かしら姿を持っているっスね」
「ゴーストが記憶を持つ場合、幸せな時か怨嗟に囚われた想いなどの印象深く刻まれた記憶に基づいた姿で認識させられるみたいだ。また、相手にイメージを彷彿させる因子のみ持っている個体も居る。まぁ、既に朽ちているのだから、情報を維持する事もままならない結果なのだろう」
「髑髏のような顔にシーツのような服か……その理論だと、まるで情報が抜け落ちて抽象的なイメージのみになったみたいっスね」
「そこに疑問を抱かざるを得ません。奥方様の生前に所縁ある者達ではなさそうです。かと言って無縁低級霊でも無さそうです」
「ちょっと待ってくださいっス。幽霊退治しか依頼されてないんスよ。あの髑シーが何者だったろうと知ったこっちゃないっス。ビジネスなんスよ。正義の味方ごっこでボランティアは勘弁してくださいっス」
余裕の無い底辺冒険者の立場は弁えたい。こちとら、既に英雄に魅力も感じないのだ。日銭を稼ぐのがやっとの冒険者に多くを望む方が間違ってる。
「ボランティアでなければ貴方はあの幽霊達の訴えを聞いてくださいますか?」
バンダノフ氏が突然、割って入って来た。
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戦闘系職業について②
大区分:後衛
中区分:狙撃手
冒険者界隈では盗賊からの派生が主。ボウガン
が流行ってからの職種でストーンスリング、魔法の
矢等も一応ここに含む。
小区分:
狙撃手
ボウガンや大弓を主に使う。
前哨狙撃手
メイン武器が短剣とスリング系と携行良好
を好む傭兵寄りな狙撃屋。主に偵察や囮等を
得意とするスリリングを好む性格の者が多い。
魔法の矢手
投射式攻撃魔法を使う者の総称。派手好き
が多く、決定力の豪華一点張りが犇き合う。
特殊スキル:スナイプ・ショット
命中精度に特化した者が取得したスキルに命名。
これは投擲の投げて当てると区別される最大の特徴
『どの部位に当てられるか』と言った精密さが要求
されている。
特殊スキル:スコープ・ターゲッティング
物理望遠レンズ、魔法による望遠で使用される。
通常視覚と異なる視界の敵に射線計算が可能とした
技術に命名。これが無いと遠距離射撃は難しい。
特殊スキル:斜方投射
初速威力を到達時に発揮させる為に編み出された
重力を利用する射撃方法。一発で当てるのは神業。
同じ高さの敵に当たれば、ゼロ距離とほぼ、同等の
威力。位置エネルギーの恐怖。
※斜方投射は相手が高い位置だと威力が減少する。逆
に低い位置に居るなら威力の増加がする。また、
魔法も質量を持つ現象だが、魔法使いスナイパーに
斜方投射する変態はギルド記録では、まだ居ない。
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