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危機俺!  作者: 一集
第一部 イサークの奇行と愉快な仲間たち
4/54

4話 そうだ、畑を借りてみよう。




よし、諦めよう!(名案)

大丈夫、なにもない。そう信じるしかあるまい。


なぁにゾンビでもあるまいし。

内側から変異してゴブリンに変化したりはしないだろう!

はは!

……ハハ(冷汗)


うん、よし。


開き直った俺はダンおじさんが作った畑の食物をむしゃむしゃした。

実験である。

実証である。

結果の検証である。

ヤケクソとか、腹が減ってたとか、決してそんな低俗な理由ではない。


……ん、あれ?

毒にも薬にもなってない感じのごく普通の味がした。

予想と違う。

腹も下さなかったし、胃に違和感もない。

でも残念なことに、美味くもない。


いや、これで超美味いとかだと逆に怪しむんだけど。

ほら、振り幅っていうの?

ハイリスクハイリターンに通じる理論。


つまり、――ローリターンだから、きっとローリスクなはずだ。

きっと、たぶん、メイビー!


「なにを心配してるのか知らんが、これ(除草剤)マジで便利だぞ?」


知ってる。

草むしりがどれだけ重労働だと?

俺がそれを知らないとでも?

俺が草むしりにどれほど時間を費やしてきたと?(ギロリ)


危険とか考えずに、便利だというだけでほいほい行動に移せる奴が羨ましいぜ、ちきしょー!


「これこそ村のみんなに教えたら喜ぶんじゃないか?」

「……おじさん、これね、実はタネがちょっと人に敬遠される方法でね?」

「どっかで聞いた話だな、おい」

「おじさんは俺を村の鼻つまみ者にしたいの?」

「え? それ、今となにが違うんだ?」


!?

ほあ! 心の臓が! 刺さる!


い、たたたたたた!

クリーンヒットォォォオ!


……あのさぁ、せめてオブラートに包んで欲しいんだけど。

ノンデリすぎねえ?


「じゃなくて! いや、こればかりは真面目にやめた方がいいと思うけど!? 村の人たちだってよくわかってない除草剤なんて怖くて使えないって」

「いや、むしろそんな難しい事考えるのはお前くらいじゃないか?」

「どこが難しいんだよ」

「だってよー、魔道具とかあるだろ? 村長の家とか、アランの家とか。誰が怖がるんだ? 使い方とその効果以外なんも知らないだろ?」


それとどう違うんだと問われた。

思わずぐっと反論に詰まる。


たまに真理を突いてくるな、このおっさん。

脳筋の癖に生意気だ。


「ならさ、せめてちょっとだけ様子みない?」


具体的には一年くらい?

経過観察をどこぞの世界のように五年も十年も、というわけにはいかないのはわかる。


ここの人たちにとって大切なのは今だ。

明日、来年、そんなすぐそばの未来がないかもしれないことを知っているから、あまり後の事を考えないのだろう。

日々の生活が厳しいがゆえに、少しでもラクになる方法は即採用ってのもわかる。


だから断腸の思いでもって一年。


「仕方ねえな。ま、そもそもお前が見つけたんだし、俺がとやかく言う問題でもない」


おじさんも案外あっさり妥協してくれた。

妥協ってより、俺に対する尊重かも?


何のかんのと口は賢しいが俺の見た目は完全に子供だってのに。

おじさんはやっぱいい人だなと単純に思う。


なんてことを考えてたけど。

当の本人は俺の心中など知らず、妙にソワソワとしている。

疑問に思っていたら頬を染めながら、ちらっとこちらに目線を寄越してきた。


……なんだろう、ものすごく殺意が湧いてきた。

殴っていい?

たぶん攻撃力少ないからさ、俺。いいよな?


「話は終わったんだよな? なら俺は愛しのイザベラに会いに行ってくるわ」

「…………だれ?」


え、マジでだれ?


「なに言ってんだよ、イザベラはイザベラだよ」


ははは、と照れながら答えるおじさん。

しかし俺にはその名前に聞き覚えがない。

小さな村だ、名前と顔は全員一致している。


ついに独り身の寂しさに耐えきれず、妄想の恋人でも作り始めたか?


「赤い花が良く似合わうんだわ、これが。うん、あのギャップがやっぱりイザベラの魅力だな。色白だし、艶があるし、何よりもあのしなやかで柔軟な肢体!」


あれ? これ子供が聞いちゃいけないヤツじゃね?

や、聞くけどさ。

興味津々だけどさ。

だって男の子だもん。


「最近成長が凄まじくて、そろそろ背が抜かされるんじゃないかと冷や冷やしてるよ。それにますます棘が鋭くなったし、やっぱりイザベラの世話はやりがいがあるな!」


ああ……、うん。

わかってた。期待はちょっとしたけど、わかってた。


骨喰樹(イザベラ)ね。

はいはい、そう呼ばせていただきます。

こういうのは逆撫でしちゃいけないって母さんが言ってた。


独身を拗らせるとこうなる。

ドドン!


本当にあった怖い話はさて置いて本題である。


「実はさ、除草剤の他にもう一つ試したいことがあるんだ」


そう、畑を持っていない俺にはあまり関係がないのだが、試してもいいと言われたら試したいことがある。


先日の、ゴブリンバラバラ死体放置実験の結果の話。

血と肝臓で草木が枯れていたように、実はもう一つばかり草木の様子に影響があったものがあった。


四肢を放置していた場所で、血や肝臓の影響を発見してから大分経ったある日。

――そこが草むらになっていることに気付いた。


控えめに言ってもぼうぼうだ。

魔石が苗を育てたように、何かが外部から影響したとしか思えない。


と、言うわけで。


「おじさんの畑貸してよ」

「何がと言うわけで、なんだよ。俺の畑が小さい事くらいお前も知ってるだろうが、もう実験に使うような余剰ないわ!」


確かに村に収める必要最低限の収穫量は確保しなければならないから、おじさんの言っていることはもっともだ。


さっそく壁が立ちふさがった。

ぐぬぬ。


「じゃあどうすんの?」

「実験なんてやめて公表すればいいんじゃね?」

「ふうん、そういうこと言うんだ」

「……な、なんだよ」

「いや、別に? ただ棘の木の成長薬の話を村長にしてこようかなって」


ちら。

ちらちら。


「ああ?」


怪訝な顔をしたおじさんに遠回しな表現は伝わっていないようだった。

くそ、これだから脳筋は!


「いや~、俺、良い事しちゃうな~。これでおじさん一人がイザベラの面倒見なくて済むしぃ? おじさんも仕事、楽になるよねえ?」

「っ!? わああああ、やめろおお! わかった、協力しよう! そうだ、いますぐいい案を考えるからちょっと待ってくれ!」


効果覿面だ。

愛しのイザベラとの間はどうしても邪魔されたくないらしい。


おじさん、木相手にこんなんでどうするの?

彼女とかできたら貢いで終わりそう。


イザベラ、頼む。君の力で女への免疫をつけてやってくれー。


「よし、いい案が思いついたぞ! シャルだ、シャルの親父さんに頼みに行こう!」

「……ああ~、なるほど」


即席にしてはマトモな意見が出た。


実はシャルが俺以上に侮られる理由を俺はちょっと察していたりする。

両親ナシ、奇行アリ、仲間を見捨てたとレッテル張られてる臆病者の俺以上だぜ?

そんな人材、シャル以外になかなかいない。


シャル自身もチビだし、どんくさいし、小心者だから元から立場は弱いのだけど、そこに追い打ちをかけるのが親父さんだ。


先に一つ言わせてもらえれば、トーマス小父さんはいい人なんだよ。

ダンおじさんに輪をかけていい人。


ダンおじさんが鈍感な厳ついオヤジなら、トーマス小父さんは温和な小父さん。

俺なら親しみやすいと表現する類。ちょっとぽっちゃり体形なところも好感度が高い。


ところがどっこい!

それがこの村じゃなぜか批判の対象になってしまう。


あれはただの体質だと思うんだけどな?

他からすれば、太ってるイコール食が過剰だと見なされるわけだ。

いつもカツカツな貧乏なこの村で。


誰かに責められても困ったように汗をふきふき。

怒られると反射的に謝るのも多分よくない。


しかもトーマス小父さんは畑仕事が好きなのである。

もう、あれが天職なのである。

イザベラ溺愛のダンおじさん以上に食物を育てるのが大好きだ。


食べるのももちろん好きだ。

食べてる時の幸せそうな顔を見るおばさんの嬉しそうな顔と言ったら……。


くそ、リア充爆発しろ!

いや、嘘、しなくていい。

小父さんたちに関しては許せる!


トーマス小父さんが面倒見た畑は、食物の出来が素晴らしく良い。

だから畑の持ち分が年々増えていく。

負担は大きかろうが、食料は配給制。

皆平等。

でも小父さんは太っているのである。


――おわかりいただけただろうか。

村人たちはトーマス小父さんの食料配分が等分ではないと思っているのだ。


自分たちはこんなにひもじい思いをしてるのに、あいつはあんなに肥えてる!

ずるい!

人の取り分奪いやがってこのやろう、と恨まれているのだ。


しかも村長はその不満を取りあってくれない。

だって、不正なんてないもの。

当然の話だ。


なまじ大きな畑を持ってるのもいけないんだろうけど、それはただの有能の証。


俺はたまにシャルの家にお邪魔するだけに、小父さんが大きな体で小さなお皿のメシをしょぼしょぼと食べているのを見ている。


ってかさ、あれだけ働いて成果も出してるんだから、少しの贔屓くらいあっても良くない?

ないけど。


今のところ、完全なる責められ損だ。

むしろ贔屓して差し上げろよと俺は言いたい。


もう一つついでに言えば。


詳しいことは知らないが、そもそもトーマス小父さんは昔、森組だったらしい。

が、どうにも性に合わない。


希望は聞けども、希望通りとはならない村での仕事。

基本的に勝手に振り分けられる役割に口出し厳禁、拒否権ナシなのだが、トーマス小父さんは勇気を出して言ったわけだ。


森組はいやだ!と。


建前は村の職業に貴賎なしでも、厳然とした意識の差はある。

世の中どこも一緒ぞ?


村の中の仕事より危険が多い森組の方がやはり花形であるし、尊敬もされる。


光栄にもその職を振られたにも関わらず、蹴っ飛ばしたトーマス小父さんはそりゃもう……すごかったらしいよ。

バッシングが。


トーマス小父さんは畑仕事が好きだが、そんな事情の元、楽しむ以前に彼らを黙らせる成果を出さなければならなかったのだ。

そしておじさんは文句なしの成果を出し続けている。


もう、ね。

あれだよね。

尊敬以外ないんだけど!?


ごめんシャル。

よく考えてみたら、侮るところが一つもなかったわ。


が、残念ながら村の目は俺とは違う。

シャルはかつて名誉ある仕事から逃げて、今は不正を働く畑成金の息子ということになる。


俺だったら根性が捻じ曲がるね。なんであんな素直なんだアイツは。

村の七不思議の一つに加えてもいいくらいだろ、コレ。


そんな話は置いておいて、いま重要なところはそこじゃない。


「シャルの親父さんなら畑の一画くらい貸してくれんだろ」


この村一番の畑持ちだからして。

つまり、そういうことだ。




善は急げと嫌がるダンおじさんを連れてシャルの家の畑にいった。

ダンおじさんが渋ってた理由はもちろんイザベラである。


「イザベラが! 今日はまだイザベラに会ってないんだ! 病気になってたらどうするんだー!」


べた惚れ!!

相手は木だって忘れてるんじゃないかと心配になってきた……。


今度正気に戻す会議を開催しよう、そうしよう。

このままではダンおじさんが道を踏み外してしまう。


あまり事情を説明せず頼み込んだものの、トーマス小父さんは顔の全面にハテナマークを張り付けながら了承してくれた。


「え、いいの!?」


俺の方が驚いて聞き返したくらいだ。


「イサークにはシャル(息子)を助けてもらった恩もあるしなあ」


畑に出ていたおじさんは汗を拭きながら柔和に笑った。

それに、とおじさんは続ける。


「ダンももうちょっと広い畑をもらってもいいだろうと、前々から思ってたんだよ」


どうやら俺というよりダンおじさんのおかげらしい。

食物と植物の違いはあれど、土いじり趣味同士で通じ合うものでもあるのかもしれん。

無理矢理にでもダンおじさんを引き摺ってきてよかった。


そんなこんなで無償貸し出しを受けた畑に撒くのは除草剤各種。

適当に区切って作り方を変えた除草剤をポポポイ。


「それなに?」


見ていたおじさんが首を傾げて聞いてくる。

よーし、その仕草はかわいい女の子以外禁止っていう法律作ろうぜ?

名案だろ。


俺は人差し指を口に当ててウィンクで返した。


「内緒です♪」


とても嫌そうな顔をされた。


そっちのレベルに合わせたはずなんだけど!?

く、屈辱!


次に元はゴブリンの手足だったもの(誤字ではない)を撒く。

そう、俺はゴブリンの何らかが肥料に相当するのではないかと踏んだワケ。


準備はしておいた。

なにせダンおじさんがイザベラの餌を確保するために村周りを絶えず徘徊しているので、材料には事欠かなかったのだ。


なにが肥料になるかわからなかったから、骨粉と肉粉とでわけてみたり、乾燥具合をかえてみたり、ゴブリンの手足ごと埋めてみたり。


……さすがに最後のはなかったな。

畑から生えるゴブリンの手足。普通にこわかったので、効果以前の問題ですぐに引っこ抜いた。


あとは俺お得意の経過観察。


畑の面倒そのものはダンおじさんがみてる。

トーマス小父さんはダンおじさんに貸したつもりだしね。


で、結果はすぐに出た。


「おい、イサーク。どうすんだ、これ」

「いやあ、出来てるねぇ……」


収穫予定よりだいぶ早く、立派な食物が目の前に。

これが肥料の成果だとしたら空恐ろしいな。


さすがにこの結果は予想外すぎる。


「ねえねえねえ、なんかダンに任せた作物、成長早くない!?」


おじさんのねえねえねえ攻撃は中々ウザ、いやしつこかったからそろそろ誤魔化すのも限界だったのでちょうどよかった。


俺とダンおじさんはそそくさと食物を収穫した。


「イサーク、俺コレ育ててる時から思ってたけどよ……」

「あ、ソレ。言わなくていいかも」


今多分同じこと思ってる気がするし。


で、食べてみる。

感想は単純。


「……まっず」


うん。

ゲロまず。


なんだろ、中身がスカスカすぎて栄養素の欠片も取れてる感じがしない。

ホンモノに比べて明らかに脆く砕けやすく、水分を内包してない。言うなれば中身空っぽの容れ物。

まるで霞かスポンジかってなモンよ。


「収穫した時、明らかに質量が異常だったから。……まあ、予想は出来てたよね」


ダンおじさんは肩を竦めて俺の言葉を訂正した。


「こっちは世話してる時からだ。なんせ不用意に触っただけで弾けたし、寄ってきた虫すら一口食べて見向きもしなくなったしよ」


アレか、無理な成長促進の弊害か?


「いくら成長が早くてもこれはダメだな」


むしろここまでとんとん拍子にうまくいきすぎてたんだよな。

しゃあない。こういうこともあるだろう。


「じゃあ、この計画は失敗の上凍結って事で」

「いいんじゃねーの?」


結論を話し合っていたら、意外なところから「待った」が入った。


「ちょ、ちょっと待って! ずっと見てたんだけど、なんなの! なんか色々おかしかったけど、どういうことなの!?」


あれ? 居たの、小父さん。


「いや、もう終わったことだし」

「ちょおっと! 勝手に終わらせないで!」


温厚な小父さんが迫ってくる様子は正直怖い。


俺とダンおじさんは顔を見合わせて全てゲロることにした。

どうせ失敗談だし。


むしろ、食べ物を弄ぶなって怒られそう。

畑ラブの小父さんなら俺と同じで除草剤や謎肥料の弊害を考えるだろう。

ついでにダンおじさんが除草剤の件で怒られればいいと思う。

なので、ここは素直に謝るべし。


「なんという愚かな!」


案の定、温厚なはずの小父さんが激昂した。


「どぉぉぉ―――して僕に先に話してくれなかったんだ!」


ガッデムとばかりに上半身がのけ反った。

わあ、体、柔らかいですね。(拍手)


あとすいません。

ごめんなさい。

反省してます。

怒るならダンおじさんを怒ってください。


びしっと指差した俺に目を引ん剝いたダンおじさん。

だが、トーマス小父さんは、


「え、何のこと?」


小粒な目をぱちくりと瞬かせた。

すぐにはっと我に返った(?)小父さんはまた勢いを取り戻す。


「僕にも参加させて! それ、試したい!」


あ、そう来ちゃうんだ?


「でも結局失敗したんですよ?」

「一回や二回の失敗で諦めるとは、農業を志すものとしてけしからん!!!! おのれ等、そこになおれー!」


小父さんの怒声をはじめて聞いた。

説教は長かったとだけ伝えておこう。


わかった気がする。

ダンおじさんがイザベラ至上主義なら、トーマス小父さんは畑馬鹿ですね?


俺とダンおじさんがぐったりしてたら、がばりとトーマス小父さんが頭を下げてきた。


「この通りだ! 頼む、この計画に一口噛ませて!」


あ、いや、もうむしろ主導でお願いします。


熱意がスゴイ。

なんか農業理論とか言われてもよくわからんす。

適当に成果を求めちゃいけないってことも今回の実験でよくわかりました。


トーマス小父さんに、ドン引きの俺と逃げ腰のダンおじさん。


……俺もういいや。

疲れたよ、パトラッシュ。


「おお! さすがイサーク! こんな画期的で前進的で革新的な計画を任せてくれるとは!」


なんか色々革命がゲシュタルト崩壊しそう。

感動してるところ悪いんだけど、押し付けた形の俺とダンおじさんはバツが悪い。


「じゃあ、あの、よろしくお願いしまっす……」


お詫びを兼ねて土下座をしておいた。




ちなみに結果は、と言えば。


「うっま! なにこれうっま!」


俺たちの野菜がえらい早くできたのに対して、小父さんからはきっちり収穫予定日に1.2倍くらいの大きさになった作物を差し出された。


「だろう、だろう。これはすごい発見だよ、まだまだ研究の余地はあるけど。あとは通常肥料との配合とか、材料は処理の仕方や部位の違い、混ぜ方でどう効果が変わるのか……。ああ、やることがたくさんある! 楽しみで仕方がない! それで相談なんだけど、」


得意気でしたり顔の小父さんがなにやら長台詞を披露している。

申し訳ないが興味ない話は右から左へ通り抜けるように出来てるんだ、俺の耳は。


無心で食う。

夢中で喋る。

そっと輪を抜けてイザベラの元へ駆けつける隙を狙っている頭が花畑な人もいる。


けどさ、そんなのどうでもよくて。

収穫率が上がる、それが美味い。

それってつまり正義では?

あとはどうでもいいのでは?


つまり、

ゴブリン万歳!!

ですよね?


「お前、ゲンキンすぎねえ?」


ダンおじさんが呆れてたけど、メシが美味い以上に大切なことはないと思う。

うん。


ゴブリン万歳。











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