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危機俺!  作者: 一集
第二部 モノ作り:冬
31/55

31話 そうだ、見極めてみよう。




画期的なのは縁遠いはずだった魔道具が、すぐに手に入る材料で作れるってことだ。

設計図は俺が作れるし?


「ソコを普通に流せるお前がよくわからん」

「むしろ材料うんぬんより設計図(ソコ)が一番異常だと思うんだけどな?」


テラーさんがため息を吐き、ダンおじさんが首を傾げていたけど。俺にだって言い分がある。

客観的で理論的な理由が。


だって、ほら。この村だと魔道具自体ほとんどないから魔法陣に触れる機会すらないでしょ?

機会がないという事は、『俺だけができる』って決まったわけじゃない。


つまり――、


「やれば出来るんじゃね?」

みんなも。

俺にできる位だから。たぶん。

俺に功績があるとしたら、やっぱりゴミ魔石でもそこそこ動く様に改良できたことだろう。


「まあ、それも十分な驚き(功績)だけど」


トーマス小父さんが丸い顔の中、眉を下げて笑った。

テラーさんはずっと怒ったような顔をして口を真一文字に結んでる。

うむ、触らぬ神に祟りなし。


おっと、そうそう。

その後、ランプがどうなったかの話をさっさとしてしまおう。


もちろん急遽、村を挙げての大事業が始まった!


――と思ったら。

あっという間に縮小された。


結局、お婆はランプについて大っぴらにした方がいいという判断を下した。

もちろん自分の分をゲットした後に!


ズルい!と言ったら、

「賢いとお言い!」


と間髪入れず殴られたけど。

それはいい。


シャルが、いいんだ?と小さく呟いてたけど、いいの!

だっていつもの事だし。なんならポカスカ殴る気力が湧いてるって事で、しおしおと枯れているよりはよっぽどマシ。


その結果、村長筆頭に簡易魔道具(ランプ)を披露したわけだが。

その時の村人たちの目の輝きと言ったら。


……こわかった。

マジで怖かった。


だいたいの人間が瞳のハイライトを失っているような村だぞ?

それが煌めきだしただけで普通に怖い。


あの時は我も我もいつ手に入れられるのかと、えらい騒ぎだったもんだ。

しかしすぐに問題にぶち当たった。


一つ、俺は不器用だったわけじゃない。

一つ、俺はそんな事態を想定してない。


つまり、シャルが器用なだけで村人のほとんどは俺以下。

試しに四苦八苦しながら完成させた品は使い物にならなかった。


使えても数時間で焼き切れるとか。

ある意味色々なサンプルが取れて有意義だったわぁ~。


更にもっと大きな問題は、大量生産できるような体制なんて整えてなかったことだ。


いや、そんなん俺に求めんなよ!

なんで俺がそこまで用意しなきゃいけないの。


んでもって、なんでそんな恨みがましい目で見るの……。


「どうせ手に入れられないものを、そんな風に自慢げに披露されてもな!」


吐き捨てられた台詞はこんな感じ。


くっ! 一体俺にどうしろと!

全てを万事用意して、完成したものを配れば満足か!?


しかも俺、隠れてたのに!

プレゼンはお婆がやったし、披露会ではおじさん三人衆が実演したし。

なんでわざわざ俺を見つけて言ってくるんだ!


「お、落ち着け、イサーク! どうどう」


あの時は珍しくテラーさんまで宥めに入ったから、俺の荒み具合はそこそこなレベルだったんだろう。


もう落ち着いたから。大丈夫だから。

……よく考えたら、いつものことだった。

怒る程のことでもなかったような気がしてきたし、うん。


「おっまえ、ほんと不憫なやつだなぁ!」


おいおいとなぜか男泣きのダンおじさんの胸に抱かれて慰められた。

男臭い。嬉しくない!


……あ、あのイザベラさん? 俺、マジで平気だから。

抱きしめようと手を広げないで。

俺がダンおじさんの慰めが嫌だと言ったからですか?

気をつかってくれたんですか?

ありがとうございます。

で、でも……ッ!

こわいこわい! 見た目が怖い!


あ、落ち込んだ。


イザベラがしょんぼりしたせいで、ダンおじさんの形相が瞬時に変わる。

普段は陽気なおっさんなのに。どっちかというと温厚なのに。なんでイザベラの事となるとこう沸点が低いのか。

わお、イザベラの見た目よりこっちのがこわいかも~?(涙)


もう言わないと約束するんで。


「かぁわいいー、イザベラまじ美人。よ、村一番!」


死んだ魚の目をしながら懸命に褒めてたら、イザベラ(人型)の頭にポンと赤い花が咲いた。


お? おう……。似合うと思う、よ?

かわいさ倍増。うん。


「イ、イザベラ! なんてことだっ!!」


ダンおじさんが衝撃の美しさに言葉を失くして悶えてますが。


「……イザベラさん、コレどうにかしてもらっても?」


イザベラが頷いて、ぺこぺこと頭を下げながらダンおじさんを引きずって帰った。


何度考えても、ランプとか魔法陣とか以前にあの生き物が一番ヤバい気がする。


誰もが、なんなら村長すら気付いてて見ないフリをしてる感があるし。

村の一番のタブーと言ったらたぶんイザベラだと思う。


もう生け垣は村の3/8か2/5近くを囲んでるし、今さら騒いだところでイザベラの腹の中。守ってもらってる事実もある。


我が村は現在「見てない」ならなかったことに出来る。いわゆる臭い物に蓋をする理論を実行中だ。

わかる。気持ちは超わかる!


俺もいまだにしっかり目を瞑ってる。(チビ達は目をかっ開いてるけど)

イザベラの動作がどんどんスムースになってる事とか。人間臭い動作が多くなってきたとか。……もう尻尾ついてないな、とか。


見ないフリをしてるうちに、取り返しのつかない所まで成長してしまった気もするけど。

大丈夫、まだ目は瞑っていられるハズ!

瞑っていられるうちは瞑っていようと改めて決心する。


そんなこんなのドタバタがあったが、一応ランプ作りは細々と続けられることになった。

器用特化の人を一人選んで、シャルと二人体制。

あと数人選べと言われても、上位陣が揃って女性だったのはやっぱ毛織物や編み物なんかの経験があるからなのかなんなのか。


二人では作れる量が限られるから、この冬の間に全ての家に行き渡るのは無理だろう。


よし! ……シャル、空気を読んでのんびりやれ!

あいつらを無償で喜ばせるのはなんか癪なんだよ! いいな!?


聖人君子にはなれない俺。でもそんな俺が嫌いじゃない。


とはいえ、嬉しい誤算もあった。

正式に村の事業と認められたランプ作り。

だが困ったことに作業場がない。


ということで、提供しましたよ俺の家!

盗めるものもないし、どうぞどうぞと諸手を挙げて歓迎した。


代わりに、そう! 二人が作業する間の燃料! いただけますよね!?

予想外に家を楽に維持できそうで、俺はランプ様様だと小躍りをした。




さて、シャルと共に魔法陣を描くことになった女性の名はローザ。

スキルは『手ブレ補正』(俺の意訳)。

細かい線図を描くのには確かに打って付けのスキルだった。


本人曰く、編み物への苦手意識から発生したものだろう、と。

スキルっておもしろー。


数少ない機織機は年上が占拠するからうんぬんという愚痴もついでにちょっと聞かされた。女性陣も色々面倒そうだな。


実はローザさん、既婚者の子持ちで立派な母親だ。

俺とはそこそこ接点がある。

といっても、他の村人よりちょっと多い程度で特別親しいわけではない。


んー、リンの同世代でガキ大将をやっているコールの母と言えば手っ取り早いだろうか。


コールはゴブリン事件の折、逃げ出したちび達のうちの一人で、つまり俺が子守をしていた。

リンより年は上だがうちの村じゃ年齢より「世代」で括られるから、あまり意味はない。


普段から元気が有り余ってるちび代表みたいなコールだが強がりも多い。大口叩きながら俺の足に引っ付いていた頃が懐かしいな。

最近ではイザベラの威を借りて、だいぶマシになった。

俺がいれば大丈夫(大丈夫じゃない)から、イザベラがいるから大丈夫(大丈夫)になったらしい。


そんなわけでローザさんは中立的立場ではあるものの、子どものせいで若干俺寄り(この表現嫌!)と見なされている。

お婆やテラーさんがその人選に頷いた位だから、ま、そういう訳だ。


俺がちっこい頃、ローザさんが少女だった時はそれなりに美人だった記憶があるけど、ここ一年でだいぶふくよかになりましたよね。

村の収穫物の恩恵をめっちゃ体型で示してくれる、豊かさのバロメーターみたいな人だ。

とシャルに言ったら、窒息するくらいの勢いで口を塞がれた。

そんな心配しなくても本人には言わんて。


「イサークはそういう所、全然信用ならないから」


どんだけデリカシーないと思われてんだ、俺。


ほとんどが十代後半から二十代前半で結婚する我が村だが、ローザさんも例に漏れず。コールが第一子という事もあり、母親集団の中でもかなり若い方だ。

なんならナティアさんのちょっと上くらい。……半面、ナティアさんがどれだけ呑気なのかという話でもあるんだけど。


ローザさんからの要望は一つ。

ローザおばさんと呼ぶなとおっしゃるので、俺とシャルは呼び名をローザさんで統一している。

女性のこういった希望は極力叶えられるべきだと思うので。はい。


ちな、ローザさんの旦那は森組。

故にローザさんも絶対安置とも言い切れないところだけど、一人で何ができるって話よ。


ぶっちゃけ同じ村で敵も味方もないんだけどさ。

……むむ、こういうの考えるの苦手だわ。疲れる。

とりま、仕事さえしてくれればそれで良し!


そして現在、二人はルーペを覗き込みながら毎日真面目に導線を引いている。

ルーペスタンドはテラーさんから借りてきた倍率違いのレンズを付け替えられるようになっていて、いっそう便利になったと思う。


一方の俺は外の氷積みを終わらせて、二人が作業する机から離れ暖炉の傍に陣取る。

へへ、あくまで自分の家なんで!

作業をしている間に家に入ったらいけないなんてルールはないのだ。


それにしても天国かよ。

暖炉に火が入りっぱなしとか。

……ま、どれだけみんながランプが手元に来るのを熱望してるかって期待の表れでもあるんだけどな。


ちらとローザさんが俺の方を見たけど、彼女の為に俺が出来ることはない。

俺じゃ他の村人同様、正確な魔法陣を完成させられん。

それはわかってくれてる、……ハズ。(ドキドキ)


というわけで、俺は自分の事を。

自分用ランプを着けながら、手元に紙を引き寄せてガリゴリと線を描き始める。

自分の時間を確保して、最近俺が取り組んでるのは、――相変わらず魔法陣だ。


思ったんだけどな。

ずっとランタンの魔法陣を応用してたじゃん?

あれって無駄が多い気がしてきた今日この頃。


ランタンには必要なものかもしれない。

まだ正確には読み取れない箇所もいくらかある。

だから全部が無駄とは言い切れないんだけど、少なくともランプとして使う為には不必要な命令文が幾つかあった。


だが完成された魔法陣から何かを抜こうとすると、これが途端エライ骨が折れる作業となる。

絶対に必要ないのに、それを消すと他の箇所に不具合が出たり。一気に動力の変質が起きたり。

魔法陣ってのは作用しあって一つの作品となるものなのだろう。


「こうなったら、一から俺が引きなおした方が早い」


たぶん。いや、絶対!

そんなわけで、ランプ専用の魔法陣を作り直している所だ。

ルーペ用の光源として無理矢理働かせてる現状の魔法陣よりよほど使い勝手がいいだろう。


仮に描いた魔法陣に矛盾がない事を確認したら、シャルの仕事を邪魔しに行く。


「な、シャル。これちょっと彫ってくんない?」

「いいよ、導線は埋める?」

「そこまでしなくていい。線だけ正確に。動くかどうか確認したいだけだから」


という事をローザさんの目の前で繰り返している。

視線は厳しいけど、新参者故の我慢なのか不満を口にはしなかったし、誰かに告げ口した様子もない。

今のところは白に近いグレー。


そんなわけで実質ローザさん一人で作ってるランプ作りは全然捗ってない。

外からじゃなにがどれくらい作業に時間かかるのかわからないからか、今のところ誰にも文句を言われてないし問題ないだろ。


シャルに魔法陣を描いてもらっては、手直しに戻る作業を繰り返していたら、ローザさんの厳しい視線もいつの間にか消えていた。

実験時だけはじっと結果を見ていたけど、俺がシャルの邪魔をしに行っても気にもしないようになってしまった。


どうしてだろう。慣れた?

そうだ、たまには本人に話しかけてみよう。

わからないことは素直に聞くに限る。

そのような思考によって疑問を投げかけられたローザさんは、面食らったような顔をした後、苦笑した。


「あんたが何をしてるか、さすがにあれだけ目の前で見せられればわかるでしょー?」


ソレが完成すれば自分の作業が楽になるってこともね。

でっかいウィンクまでもらってしまった。


察しも悪くないし、……案外陽気な人だった?


「ふぅ~、シャルもあんたも警戒心が目に見える位だったから。こっちが緊張しちゃって、息が詰まるったらなかったわ」


まさか直接質問されるとは思わなかったけど。

と前置いたローザさんは、

「少しは信用してもらえたってことでいいのかしら?」と続けた。


俺は少し考えて、こくりと頷く。

べ、別に本気で疑ってたんじゃないんだけどね。ね?


「は~、最初に文句言わずぐっと我慢してよかったわぁ」


ローザさんが脱力しながら呟いた。

あ、やっぱ癇に障ってましたか(苦笑)。

別に本気で疑ってたんじゃないんだけどね?(大切な事なので二度ry)


「まあねー、でもそれよりももっと凄いもの見せてもらってたし」


饒舌に語り出したローザさんは、どうやら大変なおしゃべりだったらしい。


「もう、喋りたくて喋りたくて!」


ずっとうずうずしてたようだ。


「本当に感動したのよ。初めてこれ(ランプ)を見た日」


で、思わず製作者に立候補したんだとか。

自分のスキルが少しは役に立つはずと村長に直談判したらしい。


「え? 村長の肝いりだったの、ローザさん」


なんだ、純粋な実力順(魔法陣の出来)じゃなかったのか。


「そりゃそうよー。でもこうでもしなきゃ、この仕事に就けなかったんだから仕方ないじゃない?」


そもそもローザさんは冬の編み物仕事が大の苦手らしい。

そういや、スキルが編み物苦手なあまり発現したとか言ってたっけ。


でも魔法陣の完成度も負けてないから。と一言付け加えられた。

そこは譲れないラインらしい。


「それでー、代わりに、村長に報告する約束をしたんだ」


と普通に言い出したローザさんに俺とシャルは思わずのけ反った。


「それ、言っちゃっていいの!?」

「ヤバい、僕たちの行動筒抜けじゃん!」


俺はローザさんに叫び、シャルが慄きながら俺の腕を揺さぶる。

ちょ、あんまり強く握らないで。もげちゃうから。


「……ん? 待てシャル。そもそも筒抜けでなにか問題あるか?」


思わずシャルの言葉に反応してしまった。


「ええと、……なにかあるんじゃない?」

「例えば?」

「魔法陣を新しく作ってる事とか」

「それって怒られるもの?」

「あ、じゃあ、僕がイサークの仕事ばっかり手伝ってる事とか!」

「……ふむ、確かにそれはちょっとマズいか?」


ちらと告げ口係のローザさんを見るとローザさんはあははと笑った。


「どうせ村長との約束なんてロクに守ってないんだから、あんたたちが心配する必要ないわよ」


毎回、「今日は一台分の魔法陣ができましたー」とか「今日は線を引いてる途中ですー」とか進捗を実直に報告して終わりらしい。

村長は初め、「そうじゃない!」と喚いていたが、ずっと「えー?」ととぼけてたら諦めたそうだ。


諦めが早すぎるわよねー?

のらりくらりと誤魔化してる本人にそれを言われたら、村長もちょっと可哀そう。(苦笑)


「たぶんあたし、村長には相当頭が悪いと思われてんじゃないかな? 嫁がこれでは旦那とコールがかわいそうだとか嫌味言われたしー、あはは」


ローザさんが愉快そうに笑い飛ばす。

うむ、どうやら村長に同情はしなくていいようだ。


「ええー? ローザさん、それでいいの?」


シャルが眉を下げて困り顔をしている。

自分のことでもあるだけに、他の人が悪く言われるのは居心地が悪いんだろう。

俺と違ってシャルは善人だしな。


「何か問題がある? こっちはやりたい仕事が出来て、村長は仕事状況が把握できて、あんた達も自由時間が増える。誰も損してないでしょー?」


ぶっ、ローザさん。もしや結構いい性格してます?


「でも何でわざわざ今、それを俺たちに?」

「最初から伝えてもよかったんだけど、余計怪しまれるかと思って。とりあえずあたしの言葉に耳を傾けてもらえる位の信用を得るまで待ってたの」


ローザさんは得意そうに笑った。


「時を待てる」人は強い。「他者の評価」に価値を置かない人間も強い。

テラーさんやお婆みたいな「頭がいい」や「知識がある」とはまた違ったベクトルで、こういう人はあまり敵に回さない方がいい。


……いやあ、この人を頭悪い扱いする村長評、ある意味すげーな。


そんなことを考えている内に、ローザさんとシャルはランプ(改良版)の話題に移っていた。


「太陽が部屋の中にあるのかと思ったのよ!」


とは、最近の俺たちの実験を見ていたローザさんの衝撃を物語っている。

んな大袈裟な、とは思ったけど少女のようにはしゃぐローザさんを見てると嘘とも思えない。

あとそれは失敗した実験です。恥ずかしいからあんま大声で言わないでください。


「はやくホンモノを作ってみたいわー」


新型ランプは本当にローザさんを感動させたみたいだ。

わくわくとした表情が物語る。


「……完成、急ぎますので。はい」


勝手にプレッシャーを感じて俺は小さな声で答えた。

本音を言えば試行錯誤が多いだけに、もう少し時間が欲しいところ。

だ、だって、俺チートじゃねーし!(涙目)


「それにしてもこんな村から、まさか魔法陣を描ける人が出るなんてねー? 今でもたまに信じられなくなるのよ。あんた、本当に凄い子だったのねぇ」


何の話かと思えば、コールが家で俺の話をよくするらしい。

話すのは俺の情けない姿や失敗談ばかりのくせに、ちょっと話に乗っかると怒るんだとか。


「にいちゃんは本当はすごいんだ。みんなにいちゃんのこと悪くいうけど、本当はいちばんすごいんだ」


うちの子かわいくない? とローザさんがにまにまと俺を見る。


コールのやつ、いつも俺をど突いてくるくせに。なんだよツンデレかよ。

今度会ったら肩車してやろう。

最近デカくなってきたという理由で乗車拒否ばっかしてたしな。


けど、まあ。否定材料も多いよね。

スゴく……は、ないと思うんだ。

ちょっと肩が落ちる。


「俺が運よくランタンの魔道具を貰えたってだけでしょ」


だってなぁ、……まあ多少俺に才能があったと仮定しても。

少なくともユリアとかテオなら、同じものか、むしろもっとスゴイものを作ってる気がしてならない。

今の俺みたいに、総当たり的な試行錯誤なんてせずに、最低限の試行回数でもっと効率的に終わらせてたんじゃないかな~?


俺が苦笑しながらそう言うと、ローザさんがぶんと音がしそうな勢いで後ろにいたシャルを振り返った。

ローザさんの表情は見えなくなったが、代わりにシャルは重々しく頷き、ローザさんが息を飲む音だけが聞こえる。


そして二人はがっしりと手を握った。


……二人でなにやら言葉のない意志疎通を始めたようだ。

え、二人だけでわかり合うのやめて?


寂しいから俺も入れてくんない?






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