004 旧式遺物
石造りの外門を通り、整備ハンガー内で金属の甲高い音に混ざり若い整備士の声が聞こえてくる。
「整備長!第4ハンガーに鹵獲機体入れました」
「あんた、あの鹵獲機体どう思う?」
「?、何のことですか?」
「はぁ、いいかい?あの鹵獲機体は国旗は私達の軍の三代前。ローウェンス王の近衛だった時のものなんだよ。」
「え?三代前って50年も前ですよね?」
「そうさ。私が見習いの時に塗り替えたから良く覚えてるよ。」
「見習いって・・・」
「しばくぞ見習い。」
「すいませんでした。あまりにも意外で」
「とりあえず、こいつは50年前の国旗を付けた身元不明の機体なのさ」
見上げた機体は塗装が焦げてはいるが藍色と銀の光沢が見える。
「はぁ、ですけど我が国の機体にしてはかなり歪な形ですね」
「・・・もしかしたら隠月の最新型か?にしては色が濃い。どういうことなんだか」
「とにかく中の搭乗員が生きていたらどうします?」
「うちの国旗使ってんだ。生きてるようなら独房にぶちこんどきな。あとこの機体から魔導と右手右足を外しときな。」
「わかりました!」
若い整備士はそう言うと走っていった。整備長は腰から工具を取り出し
「あんたたち!今日中にこいつの解析を終わらせるよ!」
と嬉々として大声を出した。