第一章のまとめ
第一章の簡単なあらすじと、登場人物の紹介。
及び、きっと二度と出てこないキャラクターの掘り下げがメインです。
興味がなければ、とばして頂いてもかまいません。
~第一章のあらすじ~
『ある少女の日記から』(注、ギョクによる漢字修正済み)
私はスズです。カガミさんから、文字の練習に日記をつけると良いってこの紙を貰ったので、これまでの事を書いていこうと思います。
これまで、ヤーアトの街で生きていた私は、ある日凄いことを言われました。
私のお母さんはずっと前に死んじゃって、それからずっと一人で暮らしていたのですが、実は、お父さんが凄いお金持ちだったそうなのです。だからそのお金もちの家に行きなさいって、冒険者ギルドの人に言われたんです。
そして、私の護衛をしてくれる冒険者が、ツルギさん、ギョクさん、カガミさんの三人でした。すっごい美人で、かわいくて、綺麗な三人でした。言葉は男の人みたいだったけど。
途中で魔物に襲われたりしながら、私たちは旅を続けます。そしたら、私を殺そうってしてくる冒険者に襲われました。実は、私を呼んだお金持ちの家には、私のことが邪魔な誰かもいるそうなのです。
私はすっかり嫌になって、もうここで死んじゃってもいいかなって思いました。
でも、その時ギョクさんが、本当に欲しいモノがあるならちゃんと言わなきゃダメだ。今までは運が無かっただけで、これからは違うって言ってくれました。その時のギョクさんは、やっぱりかわいかったですけど、それでもとっても格好良かったです。
そして、そんな三人に守られて、私はお父さんの家に着きました。そこで私は、自分のお兄さん達と会いました。見た目もお爺さんみたいだったし、この人達の誰かが私を邪魔に思ってるんだって考えると、私は怖くてたまりませんでした。
そこでも三人は、私をずっと支えてくれました。だから私は、自分がここの娘になりたくないって事をちゃんと言えたんです。どれだけ裕福な暮らしでも、血が繋がっていたとしても、家族から命を狙われるような家なんて、そんなの違うって思ったんです。
そして、お兄さん達二人は私のワガママを聞いてくれました。最初は怖かった二人だけど、話しているうちに、なんだかあんまり怖い人達じゃなかったのかなって気もしてきました。特に、弟さんの方。だから、私は最後には、ありがとうって言えたんだと思います。
ヤーアトに帰る途中、私は悲しくなりました。だって、もうすぐ三人と一緒に居られなくなるから。旅が終われば、他人になっちゃうから。
ギョクさんは、私に金貨を四枚もくれました。こんな沢山のお金があれば、大人になるまで生きていけます。でもそんなのより、私は三人と一緒にいたいと思いました。
そしたらカガミさんが言ってくれたんです。これからも一緒に居ないかって。ツルギさんも賛成してくれました。ギョクさんはむにむに言ってたけど、それでも私がちゃんと自分で、一緒に居たいって事を言ったら大丈夫でした。
そして私は、三人の素敵なお姉さん達と暮らすスズになったんです。これからは、ずっと一緒に色んなことをしたいです。
みんなみたいに、綺麗で格好良い女の子に、私もなれるかなぁ。
~登場人物~
○ギョク 身長:142cm 体重:37Kg スリーサイズ:Bリンゴ一個分 Wイカ Hモモ二個分
髪:銀髪、ツインテール 服装:ゴスロリ限定(甘ロリも可)
○ツルギ 身長:185cm 体重:64Kg スリーサイズ:峰不○子的なナニか
髪:黒髪 ポニーテール 服装:軽鎧 鎧下は比較的自由
○カガミ 身長:158cm 体重:47kg スリーサイズ:B87 W58 H85
髪:金髪 巻き毛セミロング 服装:神官服限定 下に肌着と鎖帷子(普段は下着のみ)
○スズ 身長:141cm 体重:39kg スリーサイズ:……ってなんですか?
髪:栗色 ショート 服装:縛りなし
~その他 登場人物~
○女性ギルド職員 長身・ブルネットのボブカット。
冒険者ギルド、ヤーアト支部職員。
三人がギルドに登録した際、見た目ではなく実力に目をつけた最初の人物。もっと女性らしくしてくれれば高位の依頼主を回す事もできるし、三人のランクも上げてあげられるのにとやきもきしている。
その為、日頃の三人の振る舞いに対するアタリがきつくなってしまい、かえって警戒されている。
○ロイ・オーカー 長身・陽気・片目が隠れるくらいの金髪
一般通過冒険者。成人とともに入隊したとある国の軍では、迫り来る小型の魔物180匹を撃墜……ではなく討伐し、一躍エースと謳われたことがある。それでも、どうしても戦争が好きになれず惜しまれつつも除隊し、冒険者として活躍中。敵の攻撃を紙一重でかわしつつ攻撃を加える軽戦士スタイル。
恋人のクラウディアとは、彼の一見不真面目で軽薄な振る舞いの中にある繊細さも見抜かれ、今では互いをよく理解しあうパートナーである。
サラダはちゃんと、彼女と一緒に食べられました。
○ディリホ・ツミワタ
現ツミワタ家当主。幼名、ウミサーチ。
弟に釣り道具を貸して、無くされた事がある。
○フォオリ・ツミワタ
ツミワタ家次男。幼名、ヤマサーチ。
兄の釣り針じゃなきゃヤだい、とゴネた事がある。
○ツミワタ家、使用人の男
スズの母にあたる、元ツミワタ家メイドの幼馴染。
自分が奉公先として勤めていたツミワタ家に、スズの母親がメイドとして採用されてからは、おっちょこちょいのクセに思い立ったら一本道な彼女のことを、影に日向に見守り続けてきた。
彼女が先代当主に手を付けられた時は、それまで完全に無遅刻無欠席を誇っていた彼が、二日ほど自室から出てこなくなるほどの衝撃を受けていた。だが、年老いた当主の思惑がどうあれ、彼女の方は真剣に愛情を送っていることを知り、自分は身を引くことを決めたのだった。
その後も、勤務上それとなく便宜を図り、彼女と当主の逢瀬を後押ししてやるなどの実に涙ぐましい気遣いを続ける。ちなみにその一部始終は現当主ディリホも知っており、ディリホが家督を継いだ後にこの者を重用し続けている背景には、そんな献身的にツミワタ家に尽くす姿を評価して、という事実もあった。
スズの母親が姿をくらました時は、その変化に気付いてやれなかったこと、更には一人で思いつめてしまったであろう彼女の支えになってやれなかったことを強く悔やむ。それでも、ツミワタ家使用人としての立場から彼女を探しにいけない自分を責めるのであった。
それ故に、スズ捜索の指令が出てからは、他の誰よりも率先して事に当たる。その姿はまさに寝食を忘れてというモノ。ヤーアトの路地裏で初めて少女を発見した時には、滂沱と流れる涙を止めることが出来なかったほどである。
直ぐにでも一緒に連れて帰りたいと望んだ男だったが、当主ディリホの指示により、発見報告だけでの帰還を命じられてしまう。もし、忠実な使用人と少女を同行させてしまえば、少女の暗殺を行う際、この使用人の命までも失ってしまうかもしれないとディリホが危ぶんだ為であった。
何も知らないこの男は、そうして、少女がツミワタ家に到着するまでの時間を、まさに身を焦がされるように感じながら待つことになる。少女が血縁であると認められた瞬間、マジメな堅物と評価され続けていた男が思わず溢した笑顔には、そんな彼の万感の思いが込められていたのだった。
だが、結果としてこの男は、若き日に愛した女性はおろかその娘までも、再度その手の中からすり抜けていくという結末を迎える。その時の彼の決して表には出さない落胆は、察するに余りあるものがあるといえよう。
それでも、屋敷を出る際スズと交わした最後のやり取りが、彼の心を救うこととなる。
「お嬢様……。いえ、お嬢様では無かったですね。私ごときが言える事ではありませんが、それでも、くれぐれも……くれぐれもお体には気をつけて……」
「えと……ありがとうございます、おじさん。でも大丈夫、私は自分の欲しいものを手に入れただけなんだもん。……それに、もう使えなくなっちゃったけど、私、お母さんに――って名前で呼ばれてたんです。この土地の言葉で『笑顔で元気な子』って意味なんでしょ? だから、私は大丈夫なんです」
それは確かに、ツミワタ家の長女に付けられる、トヨマフィーという名をもじった物のようにも思える。けれどそれこそ、まだ幼き日のこの男がスズの母親であった少女に向けて呼んでいた、二人だけの秘密の愛称でもあったのだ。
初恋の相手であり、そして今もなお、男の胸に残り続けるただ一人の女性。彼女がどんな思いで、先代当主との娘をその名で呼んでいたのかは判らない。
それでも、自分と共に生きた子ども時代の思い出が彼女の中に少しでも存在していたことを知り。たったそれだけで、これまでの全てが報われたように感じたのだった。
そして男は、少女を連れてきた三人の冒険者に、くれぐれも頼むと言い残してその場を去る。その頬を伝う暖かいものを、誰にも見られることが無いように、と。
その後の男は、これまでと変わらず、ツミワタ家の使用人としての人生を送る。だが、男が毎日欠かす事無く行っていた誰かの幸せを願う祈り。
その真摯な祈りの対象が一体誰であるのか、彼は生涯、口にすることはなかったという。