21:奴隷狩り? ③
「馬鹿! ドアを開けろって言ったんだ。
誰が吹き飛ばせっていった!」
【うむ、スマン!】
「お前なぁ……」
あ、ヤバイ! メリッサちゃんの悲鳴が聞こえる。
奴らが突っ込んできたのかな。
急いでリビングに跳び込んだ。
【伏せろ】
ヒュン! ドス!
あれ? え~っと……。
ふたりが心配になって駆けつけたけど、まだ敵は家に入ってきてはいない。
その代わりに、お姉ちゃんがこっちに向かって矢を放ってきた。
レヴァの声が無かったら、間違い無く死んでた。
勘違いとか、危機一髪とか、そんなチャチなもんじゃねぇ。
頭がどうにかなりそうだぜ!
って、何でお姉ちゃんは次の矢をつがえて俺を狙ってるのかなぁ?
「あんた、やっぱり奴らの仲間だったのね。
わざと捕まってでも、中から火を付けようとは良い根性じゃないの!
それにしても、あの部屋からどうやって出られたのよ!」
は? 奴らの仲間? 火を付ける?
「リョーヘイ、本当は悪い人間だったですか? メリッサはとても悲しいです」
?????
【お前が持っているものを見れば誰でもそう思うだろうな】
レヴァの言葉で我に返った。
「あっ!」
レヴァが言葉を中継する為には、火が必要だ。
だから、俺は……、
あの部屋で“たいまつ”を作って、今、それを手に持ってる。
つまり、お姉ちゃんとメリッサちゃんの立場に立って今の状況を考えるなら、
①敵襲→②火矢→③室内爆発→④捕虜が火をもって登場。
どうみても内部破壊役のスパイです。
ありがとうございました。
「いや、いやいや、いやいや! 違うって! これは違う!」
「あんた、喋れたの! やっぱりスパイだったのね!」
お姉ちゃんが、あっけに取られた顔で俺の顔を見ている。
やった言葉が通じてる! レヴァ、やったぞ!
じゃない、最悪だ~!
OH~、NO~! 泥沼です。
「良い人だと思ってたのに、ですぅ……」
ひ~、メリッサちゃんに泣かれるのは困る、ですぅ~。
って、口調を写してる場合じゃない。
えっと、とにかく敵意が無い事を示さないと!
たから慌てて両手を挙げる。
そう、右手にたいまつをもったまま……
そして、たいまつの火は天井の梁から垂れ下がっていたタペストリーに燃え移った。
三人の息が同時に止まる。
俺の頭上でタペストリーが燃え上がる。
火の粉が舞い落ちて来たけど、とても動けるものじゃないよね。
顔を引きつらせていたお姉ちゃんが、不意ににっこりと笑う。
やだ、可愛い!
俺も釣られて笑い返す。
でも、この後どうなるかは知っている。
「死ね!!」
迷わずの矢が飛んできた。 距離は5メートルもない。
やっぱり~!
あ、死んだ! 俺、死んだ! またも煉獄行き決定です!
もう、いや~!




