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19:奴隷狩り? ①

 考えるほどに分からなくなる。

 俺はどうすれば良いのだろうか?


 イジメを受けてきた俺には分かる。

 人間はその集団のルールから離れてはいけない。

 暗黙のルールから離れたなら、そこに待つのは“死”だ。

 最初は社会的なものから始まり、最後は物理的な死に辿り着く。

 そのスピードがどれくらいのものかは、個人の強さや環境などの条件によって違うだろう。


 でも、とにかく人より早く死ぬしかない事は確かだ。


 何より、“死んで多くの人に惜しまれる”どころじゃない。

 集団のルールが良いモノだろうが悪いモノだろうが、それに抵抗した奴が死んだ時、喜ぶ奴はいても悲しむ奴は、まずいない。

 実はイジメで死ぬってのも、それに入る。

 一応、ポーズでは同情する奴は多い。だが、心から可哀想だとは思わない。

 何故かって?

 

 死んだ奴を心から可哀想だと思うなら、そいつはイジメを見て見ぬ振りをした自分の事も正面から見なくっちゃならないからだ。

 だから、あくまで“振り”だ。

 そうでなければ、“私って何って優しい人なんでしょ、私って素敵!”って自分を美化するために、他人の死を自分の人生のスパイスにしているだけだ。


 本当に悲しんでくれる人なんて、精々、生んでくれた親や兄弟くらいなものだろう。

 まあ、俺の場合は、その親や兄弟にすら悲しんでもらえなかったけどね。


 それはさて置き、今、はっきりと分かっている事。

 それは、この世界でメリッサちゃんやメリッサちゃんのお姉ちゃんの味方をするって事は、確実に人間を敵に回すって事だ。


 もし、メリッサちゃん達の味方をした場合、どうなる?

 死んだら『煉獄(れんごく)行き』は間違い無い、って事だ。


 何も無い空間に、宇宙の終わりが来るまで唯ひとり。

 ……恐い……。


 どうするんだ?

 あの天使! よりにもよって、こんな世界に送らなくても良いじゃないか。

 ちょっとでも良い奴だと思ったのは間違いだった。


 どいつもこいつも糞野郎だ!

 

 段々、不快感が増してくる。

 誰かを本当に憎む。あの負の感情だ。

 何が、人を信じろ、だ! 何が、人を許せ、だ!


 あの天使とやら、実は悪魔だったんじゃないのか?


【いや、違うな。奴は事実“天使”と言ってもよい存在だ。

 それに、お主に嘘も吐いておらん】


 いきなりレヴァが語りかけてくる、

 その声は、久々に冷たい。

 だがその声の中に、俺は冷たいだけではない“ある感情”を見つけた。


「なあ、レヴァ」


【なんだ?】


「おまえさ。やけに嬉しそうだよな」


【ほう。分かるか?】


「わかるさ。その声はな、あいつ等が、俺をどうやっていたぶるか相談してた時と同じ声だからな」


【ふ~む、そうか。我も、まだ小物よなぁ】

 そう言ってレヴァはケラケラと笑う。


「何がおかしいんだよ」


【いや、お主を馬鹿にしている訳ではない!

 嬉しかったのは、お主の“負”の感情が実に美味だったのでなぁ】


 その言葉と一緒に、俺の中に流れ込んできたレヴァの感情は、一言で言うなら“強烈な悪意”

 何とも言いにくい、とても嫌なモノだけど、何かを破壊するには丁度良い。そんな感情。

 その感情と一緒になれば、全てぶちこわして、燃やし尽くす事が出来る。


 そう!


 はっきりと、凄まじい力を感じる。

 その感情に、そっと近寄りたくなった。


 心の中で、その感情に向けて足を一歩踏み出そうとして……。


 と、その時、悲鳴が響いて俺は我に返る。


 メリッサちゃんの声だった!





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