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122:軍使

体調の問題でいつもより1日遅れたことをお詫びします。


 城門の前に数人の兵士が立っているが、そのうちの1人が前に出てくる。


「反逆者どもに告ぐ! 馬鹿げた考えは捨てて、さっさと城門を開け。

 今なら首謀者2~3人の首で勘弁してやる」


 大上段からの声掛けだが、それも当然だろう。

 どこから援軍が来るという当てがあるわけでも無く籠城などしても意味など無いからだ。

 だが、ギルドのおっさんは全然動じることもない。


「馬鹿な考えは、そっちでは? このまま我々を囲むのも良いが、貴殿らの後背を辺境伯に突かれないとでも思っているのかね?」


「貴様ら、あの反逆者と繋がっているのか?!」


「貴殿、さっき我々を反逆者と呼んだよな。

 なら、反逆者が反逆者と繋がってるのは当然だろうに、何を驚くことがある?」


「うっ!」


「まあ、我々も好んで辺境伯と(よしみ)を通じたい訳ではない。だが、あんたらがそういう態度なら、いずれはそれも現実になるだろうよ」


 あ、そういえばダニクス侯爵は正式には辺境伯だったかぁ。

 なんて考えてる俺とは関係なく使者は大慌てになってる。


「ま、まて! 早まるな!」


「では、我々の要求ぐらいは聞いてもらおうか」


「わかった! わかったが、こうして城門越しにする話ではあるまい」


「なら、中へどうぞ。代表者は5人まで認める」



 しばらく彼らは悩んでいたんだけど、話を本陣に持ち帰ると言って去っていく。

 けど、それから1時間もせずに、さっきより偉そうな鎧の人が現れて入城を求めてきた。

 どんな話するんだろうねぇ……、



 なんて思ってたら俺も呼び出される。

 “なんで?”

 とか、言おうと思ったけど、先読みしたピートが呆れた目で俺を見てくるから言うのはやめた。

 でもまあ、そうだよね。

 だって、ここシーアンを占領する原因はルルイエがダニクス侯爵、いやダニクス辺境伯に持ち掛けた話からかもしれないけど、元をたどれば俺やリバーワイスさんの奴隷解放が根っこなんだからなぁ。


 はいはい、素直に行きますよ。




 話し合いの会場は商業ギルドということになった。

 相手側が5人なので、こっちも5人で対面する。


 こっちのメンバーは、まず商業ギルド長のケッセルリンクさん。さっき城門で見事に相手を言いくるめてたおじさんだ。

 それからちょっと無口な自由人ギルド長のダイバーさん。

 あとはルルイエ、俺、ハルミさん。


 ギルドからもっと出すんじゃないかと思ったけど、どっちのギルド内でも意見はもう統一されてるから、これ以上の人が絡むのはダメなんだって。

 言うのは簡単だけど、これってケッセルリンクさんやダイバーさんの統率力がとんでもないってことだよね。

 カッコいい大人っているもんだなぁ。


 あとルルイエは座ってるだけで相手への威圧になるし、きちんと経緯を把握して最後はダニクス辺境伯に報告しないといけないのでメンバーに入る。

 最後に俺とハルミさんは、まあ実戦部隊のリーダーって位置づけだね。




 そうして始まった話し合いだけど、相手の伯爵軍の副官だとかいうおっさんは、いきなりとんでもない事を言い出した。

 特注だろう鎧の端からみっともない贅肉をぶるぶると振るわせて、偉そうにしゃべる顔つきはブルドッグそっくりだ。


「なるほど、つまり貴様ら5人が首を落とすから勘弁して欲しいという訳だな。

 だが、そうはいかん。

 我ら伯爵軍をコケにしたんだ。

 最低でもあと10人は首を落とさねば形にならんぞ!

 それから、商業ギルドから行軍費用に金貨5000枚は出してもらおう。

 ああ、将軍とワシへの迷惑料はまた別だ。

 それと、そこの娘は首は落とさんでいい。ワシが面倒を見てやろう」


 最後にはルルイエにいやらしい視線まで送ってくる。

 こりゃルルイエがミュゼーゼンベリア公爵家の令嬢だって気づいてないわ。

 残念、威圧になりませんでした( ´艸`)


 あまりの馬鹿馬鹿しさに、ケッセルリンクさんは完全におっさんの言葉をスルーして、こっちの要求を話し始める。


「使者殿、我々は別にこの地を統治するマイエル伯爵に反逆したい訳ではありません。

 何度、代官の非道を報告しても取り合ってもらえないから、このような強硬手段になったのです。

 代官であるザハクについてはすぐにでも引き渡します。

 また、この都市の自治を認めていただければ、税は今まで通りに支払います」


 ゆっくりと噛んで含めるように話すが、ブルドッグ副官は興奮して怒鳴り散らすだけだ。

 結局、お付きの兵士が記録を取って本陣に持ち帰ることになったんだけど、ブルは


「貴様ら、さっさと降伏しなければ住民は皆殺しになるぞ!

 いや、シーアンを取り囲んだまま飢え死にさせてやるわ」


 そう、脅すだけ脅して帰っていった。


 で、俺はというと、帰っていく奴の姿を見ながら、

「遠慮しなくていいって、すっごい楽だよねぇ」

 なんて思っていたんだ。




お読みいただきありがとうございました。

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