最終話
まばゆい光が僕の視界に入ってくる。
久しぶりに見るように感じるその世界の光に、もはや懐かしさを感じる。
僕は重たく感じる体を無理やり起こし、状況を確認する。
ここは……魔王城の僕の部屋か。
僕は旅立つ以前に借りていた魔王城の一室で寝ていた。
どのくらい時間が経ったんだろう。
その時、扉が開く音がした。シルフィアさんだ。
「ヨ、ヨシト様!すぐにユラ様達に……」
僕のおきあっがている姿を見たシルフィアさんは、そう叫んで出ていってしまった。どうやら相当心配をかけてしまったらしい。あとでみんなに謝らなきゃな。
久しぶりの魔王城は以前と何も変わらない。この部屋の家具の配置や、飾られている装飾品、ベッドの感触もだ。それが僕の感覚をどんどんこの世界に引っ張ってくれる。
そして、しばらくしてユラと香織を連れてシルフィアさんが戻ってきた。
「「ヨシト(君)!」」
二人は本当にうれしそうな表情で、僕に駆け寄ってくる。その目には少し涙も浮かべており、どれだけ心配していたのかも伝わってくる。心配かけたことへの申し訳なさを感じつつ、この二人が僕のことを思ってくれているということが、ものすごくうれしく感じる自分がいた。シルフィアさんも、二人ほど近寄ってきてはいないが、安心したような表情を浮かべていた。彼女にも大変な気苦労をかけてしまっていたのだろう。
「みんな、心配かけてごめん。もう大丈夫。ちゃんと復活したから」
「急に倒れた時はホントにどうしようかと思ったわよ。でも、無事に目を覚ましてよかった」
ユラは笑顔でそう言ってくれる。
「義人君が目を覚まさなかったらなんて思うと、本当につらかったよ。だけど、こうして目を覚ましてくれたから……よかった。もうこんなことにならないでね」
香織もそう言ってくれる。
「二人ともごめん。そして、本当にありがとう」
僕のその言葉に二人とも頬を赤く染めながらもじもじしているように見える。
「ところで、僕はどのくらい眠っていたんだ?」
「今日でヨシト様が倒れられてから3日になります」
シルフィアさんがそう答える。3日も眠っていたのか。今後のことを少し考えなくてはならないな。
僕はそれから闇の中であったことを話し、次なる行先を亜人の森とすることを話した。
皆はそのことに納得し、ついてきてくれることになった。
そして、僕たちは亜人の森へ向かう。僕たちの意志を貫くため、絶対神の思惑通りにしないため、この世界を救うために。
今までお付き合いいただきありがとうございました。本来ならば、この後の話なども書いていくべきだったのですが、自分が最初に考えていた内容と大分外れてしまい、主人公のキャラも崩壊してしまったため、ここで打ち切りとさせていただくことにしました。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
また、次回作はこの作品を書いている中で思いついており、構想もほとんどまとまっております。この作品のようにならないためにも、さらに詰めていきたいとは思っていますが、そう遠くないうちに投稿すると思います。よろしければそちらの方もよろしくお願いします。




