3歌
この村の、人々はどこか歪だ。
勉強机へと座った僕は、すぐさま引き出しからノートとシャーペンを取り出し先程の話を事細かく書き出していた。
時折、両親が顔を出しては嬉しそうにお茶やお菓子を差し入れにくる。
今の今まで、この世で何よりも大切な親友を失いベッドの上で泣き崩れる日々を送っていたんだ、両親が喜ぶのも無理はない話だろうと思いながらペンを走らせた。
ーーそれから、約数時間ほどたった頃だろうか
母「玲央、もう良い加減休みなさい。かれこれ2時間以上そうしているわよ?ほら、玲央の大好きなカレーライス作っておいたから一緒に食べましょう?お父さんも下で待っているわ」
今までは、側に来ることはあっても話しかけることはしなかった母が優しく微笑みながらそう言った。
「お母さん…うんそうするよ」
今までは、食べることすら億劫で苦しくて殆ど何も口にしていなかったけど、今日はなんだか不思議と食欲が湧いた。
きっと、渚を迎えに行く為の手掛かりが少しだけでも見つかったからかもしれない。
(待っててね、渚…必ず僕が迎えに行くからまた、あの太陽の様な笑顔で僕を照らして…1人にしないで…)
拳を握りしめ心の中でそう誓いながら、先にリビングへと向かう母の背を追う。
父「おう、玲央来たか。ほら、座りなさい玲央の分もう盛り付けておいたから」
父も母同様に、優しく愛おしむ様な微笑みを向け僕を席に座るよう促す。
「お父さん、ありがとう。あれ?婆ちゃんは?」
食卓には、先程まで話を聞かせてくれた祖母の姿はなく不思議に思った僕は父にそう聞いた。
父「あぁ、婆ちゃんはさっき村長さんのところに行くって言って出て行ったよ」
母「きっとすぐに帰ってくると思うから私達だけで先食べちゃいましょうか。ほら玲央いただきますは?」
「うん、いただきます」
久しぶりに、両親と食べる食事は不思議と先程までノートに死に物狂いでペンを走らせていた疲労を和らげてくれる気がした。
(ここに渚もいれば…)
なんて考えが浮かんできたが、今は考えるべきじゃないと頭をふり目の前にある好物にスプーンを走らせる。
そんな様子を、両親は微笑ましそうに見守ってくるから少し気恥ずかしくなってしまい気づかないふりをした。
【依存】…
ある対象(物質や行動、人など)に強く心を奪われ、それなしではいられなくなる状態。
…『『強い執着』』…




