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2歌

小さな村の歪な言い伝え

あの日、大好きで唯一の親友を失った僕はベッドに横になり自室に篭るようになった。

それほど、渚は僕にとって大切な存在だった。

渚は、まるで太陽の様に人々を照らす女の子だった。

何時も、ニコニコ笑っていて誰にでも分け隔てなく優しくできる、そんな女の子だった。

「大切な子を守ることも出来ないなんて…」

自分の無力さが嫌になる。

僕は、ずっと渚に守られるばかりで僕は渚に何一つとして恩返しできていない。

ずっと部屋に篭って泣いてばかりの僕に見兼ねた祖母が、こっそりと言い伝えについて初めて詳しく教えてくれた。

祖母「玲央や、渚ちゃんのことは残念やったなぁ…でも玲央のせいやないよ」

「なんでそんなこと言えるん……あの時、渚を止めていればこんな事にはならなかったのに」

祖母「そやから、玲央のせいになるんか?悪いのはちゃんと言い伝えを教えてなかった婆ちゃんたちや」

「でも、婆ちゃん達にも言えない理由があったんじゃないの?」

祖母「せや、玲央達には余りにもむごすぎることかと思ってなぁあんま言いたなかったんよ」

悲しそうに言う祖母に、胸が苦しくなる

祖母「かごめかごめの歌はな、昔にこの村におった1人の妊婦を元に作られたんや」

「妊婦…?」

祖母「せや、この村には昔、村八分の様なものがあって。かなり昔のことなんやけど、村の外から来た人たちを孤立させて苦しめて。その中に、若い妊婦がおってな。その子は、まぁ大層の別嬪さんやったらしくてなぁ…その美貌に嫉妬した村人が、その妊婦を階段から突き落としてしまったんよ」

「突き落とすって…!それじゃあ、その妊婦さんは…」

祖母「…異変に気づいた、旦那さんが急いで村の外にいる医者の元に運んだおかげで母親の方は、なんとか一命を取り留めたんやが……」

祖母は、悲しそうに瞼を伏せ言葉を詰まらせる

祖母「…お腹の子の方は助からへんでそのまま、流れてしまったんよ」

祖母は顔を伏せてしまい表情は見えない。

祖母「それでなぁ…一命を取り留めた母親の方も、子を失ったショックで心を病んでしまって…その子を追って身を投げてしまったんよ。そこからやな…そこから、奇妙なことが起き始めたんや」

「奇妙なことって…?」

正直、この話の先を知りたくはないし、知ってしまったら後には戻れない気がして耳を塞ぎたくなった。でも、少しでも渚を迎えに行く為の手掛かりが欲しくて必死に自分の気持ちを押さえ込み、俯く祖母の方を向いた。

祖母「ある日の、夜明けの晩に村中の子供達全員が跡形もなくいなくなってしまったんや」

相変わらず、俯いたままの祖母の表情は見ないがその声色には、少しの恐怖心と悲しみが含まれているのが分かる。

祖母「『歌が聞こえる』って言いながら、何かに誘われる様に子供達は暗闇に姿を消してしまったと婆ちゃんは聞いたんや……」

「婆ちゃん、その歌って言うのはなんなん?渚もあの日、同じこと言ってたんよ…」

僕は、泣きそうになりながらも声を振り絞り祖母に問うた

『歌が聞こえる』渚もいなくなったあの日、そう呟き走り去った。渚は、特段耳がいい訳でもないはずなのに近くにいた僕には聞こえない歌が聞こえると言っていた。

祖母「詳しくは、婆ちゃんにも分からんのよ。でもなぁ、少なくともその『かごめかごめ』の歌が関係しとると思うんや。ごめんなぁ玲央、婆ちゃんが教えられることはこのくらいや…ごめんなぁ」

そう謝る祖母は、今まで伏せていた顔をあげ僕の目を見つめた。その表情は、言葉では表せない様な複雑な感情が入り乱れたような表情だった。

今まで、見たことのない祖母の表情に動揺したが

祖母は、僕が何かを発する前にドアを開き部屋の外に出て行ってしまった。

ドアが閉まる音で、我に帰り今聞いた話を掘り起こす。

『村八分で亡くなった親子』、『突如、姿を消した子供達』聞いた話し全てが信じられなくて思考を投げ出したくなったが、それでは渚を迎えにいけないと思い直した。

「取り敢えず、今聞いた話をノートにまとめて整理しよう」

話を整理する為に、久しぶりにベッドから降り、勉強机へと向かった。




玲央の家族は、両親、祖父母の5人家族です。


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