合わせ鏡
私は〇〇高校の2年生、今日は友人から聞いた超常現象を実際に試してみる事にした。
やり方は簡単、鏡を2枚用意して向かい合わせに置いて合わせ鏡にする
その合わせ鏡に自分を写し、鏡の中の自分に
『あなたは誰?』と、問いかけ続ける
すると鏡に写った自分が反応するらしいのだ
こんな事に時間を使うくらいなら、友人とラインで話してた方が、よっぽど有意義だと正直思う。
でも、その友人との会話のネタの為にも、こんな時間も必要なのだ。
バカバカしさが半分と好奇心が半分、私は早速試してみる事にした。
鏡を向かい合わせに設置して合わせ鏡にする、
そこに自分を写すと、合わせ鏡の中で無限に増殖する自分と目が合う。
さっそく始めてみる
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
鏡に写つる自分に問いかける
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
鏡の中の自分の瞳を見つめながら問う
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
鏡の中の自分が同じように問いかけてくる
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
段々と焦点が合わなくなって来る
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
視界がボヤけ始める
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
鏡の中の彼女が尋ねる
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
瞼が重くなってくる
『あなたは誰?あなたは誰?あなたは誰?…』
やって来た睡魔を自然と受け入れ、私は知らずの内に眠りに落ちて行った…。
『…あなたは…誰…?……』
目を覚ますと辺りは真っ暗だった
そっか、合わせ鏡をしてたら眠くなって…。
合わせ鏡をしてる最中に寝落ちした事を思い出し、部屋の電気を付けようと立ち上がる
スイッチの方に向かい、手探りでそれを探すと違和感を感じた
伸ばした手で周囲を探りながら、違和感の正体に気付く
スイッチがない…。壁もない…。
私の部屋は、だいたい6畳ほどで、部屋の端から端まで数歩歩けば辿り着ける程度の広さしかない、なのに壁にすら触れない…。
違和感が恐怖に置き換わる
ここは…どこ…?
手を伸ばしたままで歩き回ってみるも、スイッチにも壁にも触れる事ができない
なんで…?ここ私の部屋のはず…。
正体不明の恐怖に全身が包まれ、思わず身震いする
立ち止まり周囲を見渡すと、突然暗闇の一部に光が灯った
私は縋る想いで光の方に向い、光を覗き込んだ
……なんで?
光の中に居たのは、私だった
向こう側の私は焦点合わない目でこちらを見つめている
思わず口を付いて出た言葉が、もう一人の私の言葉と重なった
『…あなたは…誰?…』『…あなたは…誰?…』