父からの便り
雛子(瀬那)·····現世ではSaas系上場企業のトップセールスマンだった。誰かの声に導かれて雛子として大正末期の1920年に生まれ変わり、日本軍のとある部隊の隊長の娘としていきている。
吉田幹夫·····輪廻転生した主人公、雛子の父。帝国軍のある部隊の隊長を務めており、部下からも慕われている。
吉田幸·····輪廻転生した主人公、雛子の母。専業主婦で大きい屋敷を取り仕切っている。
「ごめんくださ~い」
ある日、学校から帰って宿題をしていると誰かが訪ねてきた。
「はぁい」
お母様が出迎えたのは郵便配達員だった。
「どうもご苦労様です~」
労う声が聞こえたと同時にお母様が私を呼んだ。
「雛子~~!!お父様から文が届きましたよ!」
お父様から!?
わたしは手を止めすぐにお母様のもとへ駆け寄った。
お父様が満州に行ってからはや2ヶ月程経っていた。
「お父様からですか?見せてください!無事なのですか?私に何か書いてありますか?」
わたしが一気に質問してしまった様子を見てお母様が笑った。
「そんな慌てないの。あなたは本当にお父様そっくりね。見てみなさい、無事の便りと、雛子への文も書いてありますから」
そう言うとわたしに手紙を見せてくれた。
『雛子。勉強はちゃんとしているか。稽古は手を抜いていないか。風邪はひいていないか。わたしは身体は問題ないが、少し元気はない。雛子の笑顔が見れないからかな。あと20日もすれば日本へ帰国できるそうだ。父が戻ったら笑顔の雛子で迎えてくれ。母さんのことも頼んだぞ』
お父様からはなんとも愛が詰まった文章が書かれていた。
あと20日か。。
短いようで長い。
お父様が戻ったときには笑顔で迎えよう。
お母様に手紙を返し、わたしはお父様からの便りに嬉しくなり、鼻唄を歌いながら自室に戻った。
「ほんと、あんなところもあなたそっくりね」
幸は手紙を抱きながら独り言を呟き、父親そっくりな娘を見て微笑んでいた。
この物語は一部歴史の実話を含むフィクションです。
歴史上の出来事以外の登場人物や場所は一切関係はございません。