しばしお別れ
雛子(瀬那)·····現世ではSaas系上場企業のトップセールスマンだった。誰かの声に導かれて雛子として大正末期の1920年に生まれ変わり、日本軍のとある部隊の隊長の娘としていきている。
吉田幹夫·····輪廻転生した主人公、雛子の父。帝国軍のある部隊の隊長を務めており、部下からも慕われている。
吉田幸·····輪廻転生した主人公、雛子の母。専業主婦で大きい屋敷を取り仕切っている。
ある日、母の表情が暗かった。
「お母様?」
「...あ、雛子」
「どうしました?」
「3日後、お父様が遠征に行かれることになったのよ」
「...満州ですか?」
「よく知ってるわね。。そうよ。追い討ちをかけるために既に行ってる軍にひきつづきお父様の部隊も行く事になったの」
確か満州事変とは日本軍が満州で南満州鉄道の線路を爆破し,中国に対して攻撃をしかけて,満州を占領した戦争。そして太平洋戦争の先駆けとなる戦い。
ついに始まるんだ。。。
「大丈夫ですよ、お父様達は強いですから^^」
「あなたが言うとなぜか説得力があるわね笑」
そりゃあ、日本軍が勝つって知ってますから、、、笑
しかしお父様個人が生きて帰れるかはもちろんわからない。
ただ今回は既に作戦は成功しており、追い討ちをかける+統治後の整備のために行くとのことで追い討ちで生き残れば生きて帰れるだろう。
「...きっと、、、きっと大丈夫です」
成功するとは言いきれるものの、お父様の無事に関してはどうしても言いきれなかった。
その後、父は出発前日まで自宅に帰宅せず、恐らく軍の基地で寝泊まりしていたのだろう。
前日の夜に自宅に帰宅したお父様。
「雛子、こっちに来てみなさい」
「はい」
わたしは父のもとへ歩みよった。
「私は明日、満州へ行く。母さんを頼んだよ」
「はい。お父様、あの...」
「ん?なんだ?」
「これ、わたしが剣道の試合で必ず持っているお守りです。これ持ってるときは負けたことないので、お父様にお貸しします。なので必ず返してください!!」
「なんとまぁ笑
そうだな、じゃあありがたく借りるよ。雛子みたいに
無敗で帰ってこなきゃな」
「お母様とお待ちしております」
お父様はありがとう。といいながら私を抱き締めた。
これまで、お母様とお父様は愛情溢れる育て方で私を育ててくれた。
今までは訓練の為基地に1週間泊まり込んだり地方に遠征に行くことはあったが、海外遠征に行くのを見送るのは私は初めてだった。
お父様とわたしの様子をみていたお母様は涙ぐみながら黙ってみていた。
普段お父様が帰宅した日はわたしが寝た後、お母様がお父様へわたしの出来事を話したり、近所の出来事を話したりと、夫婦の時間をいつも過ごしているから今日もそのように過ごすのだろう。
、、今日は早く自分の部屋に入ろう。
そして次の日、私とお母様に見送られ、お父様は満州へ向かった。
お父様、どうかご無事で...
この物語は一部歴史の実話を含むフィクションです。
歴史上の出来事以外の登場人物や場所は一切関係はございません。