前触れ
瀬那·····Saas系上場企業のトップセールスマン。性格はハッキリしていて仕事中は厳しいが、小さな変化にすぐ気付いてフォローしていることから部下からは姉御と呼ばれ慕われている
奏·····瀬那の幼馴染み。特殊な病気を専門で扱ってる病気のリハビリ先生で、小さい頃からなんでも溜め込みがちな瀬那のことを常に気にしてる
翌日、私と奏は靖国神社に来ていた。
「なんかすごい雰囲気だね、、」
「そうだね、、、」
私はなんだかソワソワしていた。
記念館の中に入ると迎えてくれたのは零戦と呼ばれる、正式名<零式艦上戦闘機>
思ったよりも小さく、本当に人1人しか乗るスペースがない。
「これが零戦、、、」
これ以上声がでなかった。
なぜなら既視感があったからだ。
なんでだろう。なんでわたしは知ってるんだろう。
テレビで観たからかな?…いや違う。
「……瀬那?大丈夫?具合悪い?」
「…あ、ごめん、大丈夫大丈夫。行きたい場所あるんだけど先にそこいっていい?」
「いいよ!」
からだが勝手に動く。迷いもなく。
頭がそこに行けって言っていて体も自然とそこに行く。
たどり着いた先は、特攻によって戦死した方々の写真が展示されているブース。
そしてある人の写真の前で立ち止まった。
【満田要】
この人の写真だけ光って見えた。
それと同時にひどい頭痛とめまいがした。
『……あの場所でキミを待ってる』
「……誰?」
あの場所ってどこ?あなたは誰なの?
もっと声を聞きたいのに耳鳴りで全然聞こえない。
見えたのは桜が道一面に咲いてる場所。
「ちょ、瀬那?大丈夫?どうした?頭痛い?」
「……奏、桜が一列で咲いてるところって知ってる?」
「え?東京だったら目黒が有名だと思うけど……って本当どうしたのよ」
「なんか聞こえたの。私を待ってるって。桜が一面に広がってて、それ以外は耳鳴りがひどくて聞こえなくて……」
「ねぇ、瀬那の本家ってどこ?」
「うちらの地元。いわきだよ」(※福島県いわき市)
「そしたらもしかしてさ、富岡の桜道じゃない?」
「富岡?富岡に桜なんてあったっけ?」
そこは私の実家からは1時間ほどかかる隣町だったが本家からは2,30分ほどの距離の場所だった。
「めっちゃ有名じゃん!瀬那行ったことない感じ?」
「んー、記憶にないから無いんじゃないかな」
「そっか、、、、じゃあ明日いこっか、一緒に。うち有給とれるように上に言っとくよ。瀬那のそんな姿みてたらただ事じゃないもんね?」
あぁ、本当に友達に恵まれたな。
「奏、ありがとう」
「いいってことよ!学生時代は私が助けてもらってたしねぇ^^」
……そんなことあったっけ?
記憶にないが、、、
「どーせ覚えてないって顔でしょ?いいよそれで笑」
「いつかちゃんとお礼言わせてね^^」
「…(ニコッ)」
私は笑い返すことしかできなかった。
「じゃあとりあえず今日は帰ろっか!明日からの荷造りしないとね!あ!お母さんに帰るって連絡しとこーっと!」
【満田要】か、、、
かなめ、、
一体誰なんだろう、、、
この物語は一部歴史の実話を含むフィクションです。
歴史上の出来事以外の登場人物や場所は一切関係はございません。